仮想通貨取引所を適切に規制するには
米証券取引委員会(SEC)のゲーリー・ゲンスラー委員長は、暗号資産(仮想通貨)取引所の規制に関する7月に受け取った議会の質問状に対し、回答を送付した。
この質問状は主に、取引所の規制に対するSECの権限が充分であるか回答を求めたものだ。ゲンスラー委員長は、仮想通貨の取引や金融商品、プラットフォームが規制の抜け穴を通り抜けないようにするために、さらなる権限が必要であると回答。「個人的な見解として、法整備の優先順位が高いのは仮想通貨の取引、貸付、DeFi(分散型金融)である」と、以前から行なっている主張を繰り返した格好だ。
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この質問状は先月に米民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員が送ったもの。ウォーレン議員は「価格変動が大きく不透明な市場で、投資家や消費者をリスクにさらしたままにしている現在のルールを改善するために、SECに適切な権限を与えるよう議会が取り組む必要があるかを判断したい」としていた。
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質問状には、上記の関連記事に掲載したように番号を振って個別に質問を書いていたが、ゲンスラー委員長は1つ1つに答える形式ではなく、全体としてまとめた回答を記載。5日付で送られた回答の書簡は、11日に公開されたという。
今回の回答を記した書簡では、「米国民は、中央集権的な取引所とDeFiのプラットフォームの両方で仮想通貨を売買し、貸付を行なっている」とした上で、「私はこういったプラットフォームは証券法だけでなく、コモディティの規制や銀行法にも関係してくると考えている。投資家と消費者の保護、違法活動の監視、金融安定性といった観点から、解決しなくてはいけない問題が数多くある」とした。
また過去の発言と同様、多くの仮想通貨が未登録有価証券に当たる可能性があると主張。詳細には言及しないものの、今回も「仮想通貨が有価証券かどうかを判断する基準は明確だ」と述べ、これからもSECの既存の権限を行使していくとした。
ゲンスラー委員長は、それぞれの仮想通貨の法的な分類は性質等によって決まるが、50超、または100以上の銘柄を取り扱っている取引所もあり、各プラットフォームが有価証券を全く扱っていないという可能性はわずかしかないと指摘している。
その他の問題点
他に問題点として、ゲンスラー委員長は法定通貨に価値を連動させたステーブルコインに対する規制を挙げた。仮想通貨の取引やレンディングでの利用が増加しているとし、7月は仮想通貨の全てのプラットフォームにおける取引の内、約4分の3がステーブルコインを使った取引だったというデータを引用。
そして、ステーブルコインの利用が、従来の銀行や金融のシステムをすり抜け、マネーロンダリングや脱税といった違法行為につながる可能性があると指摘している。
また海外の多くのプラットフォームが「米国民が利用できないようにしている」と説明しているが、VPN(Virtual Private Networks)を使えば、米国の規制下にない取引所にアクセスできる場合もあると主張。
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仮想通貨の取引は仲介者がいなくても24時間365日、世界中で取引が行われているとし、従来のマーケットとは性質が違う点も挙げ、SECには新たな権限が必要だとした。これから各国の議会や規制機関らと協力し、仮想通貨の規制を整備していきたいと書簡を結んでいる。