ビットコイン6万ドル割り込むも反発、3年半ぶりの朝山氏復帰でCMSやXYMが物色される
仮想通貨市場
週明け25日の暗号資産(仮想通貨)市場。 ビットコイン価格は、前日比+1.2%の704万円(61,800ドル)まで反発した。
10月以降はほぼ一本調子で高騰してきた反動もあり、過去最高値更新の節目で調整を余儀なくされた。24日には一時59,522ドルまで下落したが、その後2度に渡って切り返し、2日間滞在していた60,800ドルまでの狭いレンジは上抜けた。下値模索時の買い意欲は、やはり旺盛か。
21日以降の調整により、デリバティブ(金融派生商品)市場で今年4月以来の過熱感が見られた「FundingRate(資金調達率)」も若干落ち着いた。ファンディングレートとは、ポジション保有コストのことで、ポジションを保有し続ける限り掛かるコストを指しており、ファンディングレートの偏りは、すなわちポジションの偏りを示唆している。
米国で初めて認可された、プロシェアーズの運用する上場投資信託「BITO」の影響で、CME先物契約の建玉が急増している。
Glassnodeによれば、10月は前月比+265%の39億5000万ドル増加した。取引開始2日間で11億ドル(約1250億円)を集めている。
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これについて、JPモルガン・チェースのストラテジストは、「過度なビットコインETF需要は先物市場を歪めるリスクがある」と指摘。限月(先物の期限が満了する月)間の格差やロールオーバー(乗り換え)コスト拡大に対して懸念を示した。
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米大手資産運用企業のグレースケールは、先週提出したビットコインETFに続き、イーサリアムのETFに関する申請も検討していることを示唆しており、アルトコインのETFも今後実現する可能性がある。
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個別銘柄の動向
国内クリプト業界の第一人者で、テックビューロ株式会社、及び暗号資産取引所Zaif創業者の朝山貴生氏の復帰が反響を呼んでいる。テックビューロのCEOとして水面下では活動していたが、TwitterなどSNS上での活動再開は、1335日(約3年半)ぶり。
朝山氏は開口一番、新生COMSAのローンチ準備が進んでいることを発表。思惑を集めたZaif取扱銘柄のCOMSA(CMS)価格が急騰した。
朝山氏は、コムサのICO(Initial Coin offering)で大型の資金調達を実施した直後の17年10月、ビジネス+ITのインタビューで、COMSAは、「実業を持つ企業がブロックチェーン技術を導入するための総合サービス」と説明。
コムサのワンストップソリューションについて、mijinで構成された複数のプライベート・ブロックチェーン、およびビットコイン、NEM、イーサリアムといったパブリック・ブロックチェーンとの連携を取り上げた上、「スマート・コントラクトの提供」を挙げていた。
また、20年5月に発表した資料では、COMSAの新たな方針として、「CORE、HUB、NEM、SYMBOL、mijinの5つを活用した暗号資産とならないトークンの発行支援事業について」掲げている。
今回新たに、テックビューロの再始動とチェーン上でのCMSトークン価値最大化を目指して、新生COMSAサービス開始予定について発表した。このタイミングについてテックビューロは、「テックビューロでは暗号資産取引所のライセンス返上を含めた膨大な整理作業を完遂し、新サービスを開始できる環境がようやく整った。」としており、今後本腰を入れて取り組むことを示唆した。
そのほか、今回の復帰で新生コムサを促進するにあたり、ネムの新ブロックチェーンとして誕生した「シンボル(XYM)」との連携についても示唆。XYM価格は前日比+8.7%高の44円台まで上昇した。
朝山氏は、元NEM財団理事を務めるなど、国内のネム(XEM)普及にも黎明期から大きく貢献してきたキーパーソンだ。
テックビューロHDは21年6月、Symbolにも採用されている、NEMコアデベロッパーと同社が開発したCatapultエンジンを搭載した「mijin」を、有料エンタープライズ製品版として提供開始したことを発表している。
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