分散型取引所DODOで不正トランザクション、提携チーム側の無断行為
多額のステーブルコインが償還不可
分散型取引所DODOは20日、トークンプロトコル「ICHI」の開発チームが、暗号資産(仮想通貨)「oneDODO」に悪影響を及ぼす、不正なトランザクションを行ったと公表した。
「oneDODO」は、米ドルペッグされたステーブルコイン。開発は、DODOとICHIが共同で行っていた。
関連:分散型取引所DODOの女性CMOが語る、DeFiにおけるAMMのメリット・デメリット
DODOは、2月から4月にかけて、以下の動きが起こったと説明している。
- 2月2日、ICHIチームによって、100万USDCがトレジャリーからRARIプール136へ移動。
- 2月4日、ICHIチームによって、200万USDCがトレジャリーからRARIプール136へ移動。
- 3月31日、ICHIチームは400万USDCを利用して400万oneBTCをミントし、RARIプール136へ移動。
- 4月11日、ICHIトークンの大量売却をきっかけに、ICHIトークンの担保率(85%)によりRARIプール136の清算が連鎖。プール内で推定6,400万ドル相当の不良債権が発生。債権には、oneDODOトレジャリー由来の700万ドル相当のUSDCとoneBTCが含まれていた。
LTV引き上げが一因か
RARIプール136の清算は、ICHIが同プールのLTV(ローン・トゥ・バリュー)を85%に引き上げたことで生じた。LTVとは、評価額に占める借入金の割合のこと。この数値が高いほど、利用者はより多く(担保額に近い)の資金を借り入れることができる。
CoinPost提携メディアのThe Blockによると、LTVの引き上げ後、一部の利用者が高額のローンを設定し、その借入金で「ICHI」トークンを借りるプロセスを繰り返したという。
結果、トークンの価格は一時的に急上昇した後に下落し清算が連鎖、ICHIは事後報告で、1,000万ドル規模の売却が行われたと説明している。
現在は調査が進行中
清算イベントの後、「oneDODO」ユーザーは、トレジャリーの担保が回収できなくなったことを発見。残っていたUSDCは全て償還され、残った800万「oneDODO」は償還不可になったとDODOは解説。
また「ICHI」のプールから「oneDODO」を償還できないことを知ったユーザーは、イーサリアム(ETH)とBNBチェーン上のDODOから、USDC建てで「oneDODO」を売却。原資産との乖離が発生したという。
現在、DODOは事態の積極的な監視と調査を実施中。「oneDODO」保有者と流動性の提供者に対する救済の方法を、ICHIチームに働きかけていると報告している。
DODOは、20年8月にローンチされたDeFiプロトコル。BNBチェーンやイーサリアム上で動作しており、Coinbase Venturesやバイナンスラボ、パンテラ、Three Arrows Capitalなど業界有名なVCから資金調達したことで知られている。
関連:分散型取引所DODOの女性CMOが語る、DeFiにおけるAMMのメリット・デメリット
画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します