「イーサリアム上のNFT取引高は約200倍増」=Banklessの22年1Qレポート
イーサリアムのレポート公開
暗号資産(仮想通貨)の情報を提供する「Bankless」は29日、2022年1Q(1月から3月)のイーサリアム(ETH)に関するレポートを公開した。
レポートで報告している主な数値は以下。増減の比較は前年同期比で行っている。
- ネットワーク収益:約2,000億円(16億ドル)から約3,100億円(24億ドル)と46%増
- ステーキング量:約520万ETHから約1,090万ETHと111%増
- DeFi(分散型金融)のTVL:約6.3兆円(491億ドル)から約11兆円(895億ドル)と82%増
- レイヤー2のTVL:約890億円(6.8億ドル)から約9,400億円(73億ドル)と964%増
上述した数値を含め、22年1Qにおけるイーサリアムプロトコル上の結果は以下。
NFTの需要が急増
他に大きな増加を見せたのが、NFT(非代替性トークン)電子市場の取引高。22年1QのNFT電子市場の出来高は約778億円(6億ドル)から約15兆円(1,164億ドル)相当に増え、前年同期比19,290%増となっている。この数字は「OpenSea」と「LooksRare」のみの数字だという。
関連:「NFTを国の成長戦略に」自民党デジタル社会推進本部・平将明議員インタビュー
また、NFTを保有しているウォレットの数は前年同期比で約98万から約398万と306%増加。22年1QにおけるNFTの「Unique Walletアドレス」の数は22万超だった。Unique Walletアドレスは、期間内にNFTの売買のどちらかを行ったウォレットを指すと説明している。
一方で、イーサリアム全体における日間のアクティブアドレスの数は50万7,662から52万9,018と4%の増加となっており、ネットワーク上のアクティビティの大半は既存ユーザーによるもので、新規ユーザーはあまり増えていない可能性があることを示唆した。この要因について、アバランチ(AVAX)やテラ(LUNA)など他のスマートコントラクトプラットフォームをユーザーが利用している可能性があるとの見方も上がっている。
関連:初心者でもわかるAvalanche(アバランチ)とは|注目すべき点や将来性を解説
関連:初心者でもわかる「テラ(LUNA)」とは|仕組みと将来性を解説
今後の見通し
Banklessはレポートの中で、イーサリアムの今後の見通しについて、ポジティブな材料を2つ挙げた。
1つは「The Merge」。The Mergeとは、コンセンサスアルゴリズムを「プルーフ・オブ・ステーク(PoS)」に変更する大型アップグレードを指す。PoSは現在の「プルーフ・オブ・ワーク(PoW)」に比べ、エネルギー消費量が少ないため、環境への影響を懸念する従来の機関投資家の参入を増加させるのではないかとの見解を示した。現時点でThe Mergeの実施は、22年3Q(7月から9月)から22年4Q(10月から12月)を予定している。
もう1つは、レイヤー2ソリューションによる独自トークンの発行。新たなトークンの発行がレイヤー2の需要を高め、イーサリアム全体の発展を促す可能性があるとの見方を示した。27日には、イーサリアムのレイヤー2ソリューションを開発するOptimismが、独自トークン「OP」を発行し、エアドロップ(無料配布)を行うことを発表している。
関連:イーサリアムL2「Optimism」、独自トークン発行へ 22年2Qにエアドロップを実施
画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します