NFT電子市場「OpenSea」の元製品責任者、インサイダー取引で起訴
NFTのインサイダー取引で起訴
米司法省は1日、大手NFT(非代替性トークン)電子市場「OpenSea」でインサイダー取引に該当する行為を行なったNathaniel Chastain氏が起訴されたことを発表した。
インサイダー取引を禁じる法律が、NFTのような新しい資産にどのように適用されるのか注目を集めていたが、従来の金融市場と同様に違法とみなされた。司法省はデジタル資産のインサイダー取引による起訴は初の事例だとしている。
OpenSeaがインサイダー取引に関する発表を行なったのは昨年9月。最初は対象者の氏名は不明確だったが、インサイダー取引を行ったのは元プロダクトマネージャーのChastain被告だったということになる。
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司法省の発表によると、Chastain被告は2021年6月から9月ごろにかけて、OpenSeaのウェブサイトでどのNFTが目立つように掲載されるかという情報を事前に入手。選ばれたNFTは注目が集まり価格が上がる可能性が高いため、Chastain被告は、事前に自身で対象のNFTを多数購入していたという。その後、各NFTを購入額の2倍から5倍の価格で売却して利益を取得。Chastain被告は当時、目立つように掲載するNFTを選ぶ責任者だった。
米国のDamian Williams弁護士は、司法省の発表で以下のようにコメントしている。
NFTは新しいかもしれないが、この種の犯罪は以前から行われている。
今回の起訴で、株式市場でもブロックチェーン上であってもインサイダー取引は違法であるということが証明された。
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匿名のアカウントを利用
Chastain被告は今回の取引を隠すため、匿名のウォレットやアカウントを利用。米司法省は、インサイダー取引に加え、マネーロンダリングも行なっていたと説明している。その上で、どちらの行為もそれぞれ最大20年の禁固刑が言い渡される可能性があるとした。
OpenSeaの担当者は、CoinPostの提携メディアThe Blockに対し以下のようにコメントしている。
世界をリードするNFT電子市場であるOpenSeaにおいて、信頼と完全性は事業の中核だ。我々は今回の行為を受けて調査を開始し、最終的にChastain被告に離職するよう伝えた。
インサイダー取引は従業員ポリシーに違反しており、我々のコアとなる価値観や方針とかけ離れている。
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