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AIがもたらす労働市場の変化と失業リスク、アンソロピックが新指標で職種別に実態調査

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

この記事のポイント
  • プログラマーの75%タスクにAI影響
  • 実業務での活用はまだ「3割」程度

若年層の新規雇用に影響可能性も

米生成AI(人工知能)企業アンソロピックは5日、AIが雇用市場に与える影響を分析するレポートを発表した。現在のところ、AI失業が体系的に上昇している証拠はないものの、若年層の新規雇用に影響が出ている可能性があるとしている。

アンソロピックはAIが人間の仕事を代替することに関して、新指標「Observed Exposure(実測曝露度)」を考案した。これは、米国労働省による職種ごとの詳細なタスクリストや、アンソロピック独自の利用データを分析したものだ。

LLM(大規模言語)モデルによって理論上高速化できるタスクのうち、実際に職業現場で自動化が行われているタスクを定量化することを目的とする指標である。

出典:アンソロピック

上の図は、LLMが理論的に実行可能なタスクの割合(青色)と、新指標による実際にAIが行っているタスク(赤色)を比較したものだ。

赤い部分は青い部分の一部を占めているにすぎず、現在はまだAIが理論上可能な能力の多くを行っていない状況であることが示される。例えば、理論上はコンピュータ・数学分野で94%のタスクが可能だが、実際の利用状況としては33%しかカバーしていない。

アンソロピックは、このギャップの背景には、法的規制、ソフトウェア要件、人間による確認の必要性などがあると考えられるとしている。

関連:人工知能時代の到来はビットコインの追い風となるか、鍵は「金利政策」=NYDIGレポート

現時点で失業への影響は限定的か

アンソロピックは、AIを実際に業務に活用しており、AIへの曝露度(代替リスク)が高い職種についても分析した。最も高いのはコンピュータープログラマー(75%)であり、カスタマーサービス(70%)や、データ入力係(67%)などが続いている。

一方、AIによる自動化が行われていない職種には、調理師、オートバイ整備士、ライフガード、バーテンダー、皿洗い、更衣室係などが含まれていた。

さらに、属性についても分析。AIへの代替リスクが上位25%に入る労働者の特徴として確率が高かったのは、「女性」「大学院卒などの高学歴者」「高収入」「白人やアジア系」であると指摘している。

AIが失業に与えている影響については、現時点で限定的だった。ChatGPTが登場した2022年末以降のデータを分析した結果、まだ、先に挙げたようなAIへの代替リスクが高い職種で失業率が一貫して上昇しているという証拠は見つかっていない。

一方で、AIは人間の仕事を完全に代替するのではなく、効率化・補強するためにも使われている。

ただし、22歳から25歳の若年労働者に限定すると、ChatGPTがリリースされた後には、それ以前と比べてAI代替リスクの高い職業の就職率が14%低下していた。これは、AIが雇用に及ぼす初期の影響の兆候を示している可能性がある。

アンソロピックは、採用されなかった若年労働者は、別の仕事に就いているか、あるいは復学している可能性もあるとして、この解釈には一定の保留も必要だと続けた。

同社は、AIの影響がまだ統計上の「ノイズ」に紛れやすい段階だとしており、今回の研究は、AIが労働市場に与える影響を網羅的に把握するための「第一歩」だとしている。今後も分析手順をアップデートしながら定期的にレポートする見込みだ。

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