シンガポール中銀、Three Arrowsの規制違反を指摘

仮想通貨の運用で規制違反

シンガポール金融管理局/中央銀行(MAS)は6月30日、暗号資産(仮想通貨)ヘッジファンド「Three Arrows Capital」が、同局の規制に違反していたことを発表した。

虚偽の情報をMASに提供していたこと、そして規定の資産運用額(AUM)を超過していたことを指摘。また、最近のThree Arrowsの財政状況を受け、他にも違反がなかったか調査していると説明した。

MASとは

「Monetary Authority of Singapore」の略で、シンガポールの中央銀行および金融規制当局のこと。金融業界と協力しながら、シンガポールが国際金融の中心地となれるようにも取り組んでいる。

▶️仮想通貨用語集

多くの仮想通貨やNFT(非代替性トークン)、DeFi(分散型金融)のプロジェクト等に投資し、テラ騒動や市場全体の暴落によって大きな損失を被ったThree Arrowsを巡っては、ポジションが清算されたことや債務不履行に陥ったこと、そして先月末には、英国領ヴァージン諸島(BVI)の裁判所から企業の清算を命じられたことも伝えられている。

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今回の発表によると、Three Arrowsは2013年8月、一定の規模のもとでファンド事業を行う認可をMASから取得。その後2021年9月、ファンドの運営をBVIにある事業体で行うことにしたという。本記事執筆時点でも同社の公式ウェブサイトには、BVIの規制に準拠していると記載されている。

そして、MASが今回指摘したThree Arrowsの違反内容は以下の3つ。

  1. 虚偽の情報を提供した
  2. 管理者の職や株式保有に関する変更内容を期限内に報告しなかった
  3. 規定のAUMを超えていた期間があった

1について同社は「海外の無関係の事業体で資産を運営することになった」とMASに報告していたが、共通の株主がいることが発覚。これは、Three Arrowsの共同創設者Su Zhu氏を指している。2についてはZhu氏に加え、もう1人の共同創設者Kyle Davies氏も関係しているという。

また、3については、Three Arrowsがシンガポールで運用できるのは約240億円(2.5億シンガポールドル)までだった指摘。2020年7月から9月、20年11月から21年8月に基準額を超えていたと説明した。なお、どのくらい超過していたかは記載されていない。

MASの発表によれば、Three Arrowsは再度2022年2月にファンドの一部をシンガポールで運用するようになったが、同国での運用は終了することを4月29日にMASに通知。実際に5月6日に運用を終了したという。

今回の指摘は2022年4月以前の行為に対するもので、MASは21年6月から調査を行なっていたと述べている。

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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