ビットコイン週足終値23000ドル台をキープ、アーサーヘイズのイーサリアム強気予想の背景は
仮想通貨市況
5日の米株式市場では、ダウが前日比76ドル(0.2%)高に。
労働市場の指標を示す「米雇用統計」で市場予想を大きく上回る良好な数値が出たことから、足元の景気後退懸念が後退した反面、FRB(米連邦準備制度)の金融引き締めにつながるとの見方から米長期金利の上昇とハイテク株の下落を招く局面もあった。
市場関係者の関心を目下集めるイベントとしては、10日発表予定のCPI(米消費者物価指数)を筆頭に、17日公開予定のFOMC議事録要旨、8月25~27日に開催の経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」が挙げられる。ジャクソンホール会議では世界各国の中央銀行総裁らが登壇し、パウエル議長のスタンス及び米金融政策の行方に関するコメントが注目される。
週明けの暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコインは前日比1.49%高の23,309ドルに。
週足200MAの22,961ドルを上回っており、先月のレンジ上限である21,000〜22,000ドルをサポートに下値を切り上げつつ、一目均衡表の雲上に向けて推移する。
暗号資産(仮想通貨)先物市場では、8月以降BTCとETHの建玉が急増した。
すでに先月の14億7000万ドルを上回り、15億4000万ドルに達した。
なお、マーケットメーカーのQCPキャピタルは、先週末に掲載した週次レポートで「インフレ率の低下」兆候が見られる点をポジティブだと指摘した。今後インフレ率の低下が顕著になれば、抑え込みを念頭に金融引き締めを断行してきたFRBのタカ派スタンスが今後緩和される見込みであるためだ。
今年6月まで高騰していたニューヨーク原油先物相場が1バレル=120ドル台でダブルトップを付け、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻前水準である90ドルを下回った。欧米諸国のリセッション(景気後退)懸念で原油需要が落ち込むとの観測が強まったことが背景にある。
アルトコイン相場
暗号資産(仮想通貨)市場における目下の関心ごとは、時価総額2位のイーサリアム(ETH)の大型アップグレードThe Merge(ザ・マージ)に関するトピックだろう。
マージ予定日は22年9月19日に仮設定されており、多くのETHマイナー(採掘業者)はこれを機に事業撤退するか、GPUを用いたイーサリアムクラシック(ETC)の採掘に移行するかの2択を迫られることになると思われる。
6月26日には、大手マイニングプールであるAntPoolがETCエコシステムへ1,000万ドルを投じる計画を発表した。ハッシュレートがリダイレクトされる可能性も加味して投機筋によるETCの買い需要を集めたものの、ETCの採掘はエコシステムの規模や収益期待値の面でETHと比較すると歴然の差が生じることは否めない。
関連:AntPool、イーサリアムクラシックのエコシステムに投資へ
そこで少数派の中で浮上しているのが、イーサリアムのチェーン分岐を伴うハードフォークの可能性だ。中国マイナーHongcai Guoが主導する「ETHPoW(Ethereum Neoclassic)」プランは、PoW(プルーフ・オブ・ワーク)の採掘を続けハードフォークを目論むもの。
マイナーの完全移行を促すためにあらかじめ組み込まれたディフカルティ・ボム(難易度爆弾)は、指数関数的に採掘難度を引き上げるものであるが、彼らはこれを排除する方法を探るため、新しいハードフォーク・クライアントなどの開発に取り組んでいるとされる。
この動きを受け、調査を進めたデリバティブ大手BitMEXのリサーチ部門は1日に掲載したレポート内で、「技術的な課題も多く、経済的意義を保てるかどうかは不明瞭で、長期的な持続可能性には疑問符が付く。サポートが確約されるETH2の方が勝者になることは自明」と指摘しつつも、「ETHPoWに需要が集まれば、主要取引所に上場されるケースは十分想定される」との見解を示した。
ただし、その場合は極めて投機的なコントラクトとなり得るもので、市場の混乱をもたらす可能性が想定される。
関連:イーサリアム「マージ」後のチェーン分岐の可能性に注目高まる
BitMEXの前CEOであるアーサー・ヘイズ氏はイーサリアム(ETH)価格について、2023年3月末までに1ETH=5,000ドルに達する可能性があるとブログで予測した。
マージ後には、ETHの市場供給量が最大90%減少する(デフレ資産性を強める)見込みであることが背景にあり、トランザクション手数料を介して継続的にバーン(焼却)される分を加味すると、ETH価格を大きく押し上げる可能性が高いとの見立てを示した。
リサーチ会社IntoTheBlockのアナリストLucas Outumuro氏によれば、イーサリアムのマージ後の予想インフレ(デフレ)率は、-0.5%〜-4.5%に達する。
アーサー氏の強気予想の背景としてカギを握るのが、FRB(米連邦準備制度)の方針転換可能性とイーサリアムのマージが成功可否である。
米国経済がフェデラルファンド金利と直接相関していることが明らかな状況にある中、米国は世界屈指の”車社会”であり住宅や車のローン払いの利息において、政策金利動向は影響を与えると指摘。
「金利上昇は経済に打撃を与える。「CPI(米消費者物価指数)などの指標でインフレ鈍化が認められれば、パウエルFRB議長が金融緩和路線に再び舵を切るのに正当な理由を得ることができる」とした。
9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では0.5%〜0.75%の追加利上げは既定路線。11月には米中間選挙を控えており急な政策転換は難しいとしつつ、12月のFOMCでは緩和路線の転換を迫られる可能性があるとの見立てを示す。
その上で同氏は、「金融市場は常に先を織り込むため株や暗号資産などのリスク資産はすでに底を打った可能性が高く、過去の相場サイクル同様に反発局面ではBTCやETHが急先鋒となると確信している」と結論付けた。
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