FOMC議事録発表を前に仮想通貨相場下落、ETHはオプション市場の関心が継続
仮想通貨市況
17日の米株式市場では、ダウ平均が前日比171ドル(0.5%)安と6営業日ぶりに反落した。
米連邦準備理事会(FRB)は17日、7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録要旨を公開した。
高インフレ抑制のための金融引き締め継続姿勢を示す一方、「ある時点で利上げペースの減速が適切となる」としており、ハト派的な言及もみられたことから市場に好感された。
市場の関心は、来週開催の「ジャクソンホール会議」へと移りつつある。ジャクソンホール会議は、米中央銀行関係者や経済学者らが一同に会す米経済シンポジウムだ。金利先物市場では、0.5bpの利上げを64%、0.75bpの利上げを36%織り込む中、金融当局者の公演内容が注目される。
暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコインは前日比1.7%安の23,453ドルと続落した。
足元の過熱感から米株指数が反落しており、レジスタンスライン(上値抵抗線)で上値を重くしていたこと、FOMCの議事録発表を控えていたことも売り優勢に繋がったものと見られる。
米The Blockの報じたところによれば、ニューヨーク連邦破産裁判所の判事は、債務超過に陥り破産申請中の仮想通貨レンディング大手セルシウスに対して、流動性確保のため、採掘したビットコインを売却して事業資金を調達する計画を承認した。
セルシウスは資産43億ドルに対し55億ドルの負債を抱えているとされ、手許資金は10月にも枯渇する見込み。
公聴会に先立ち提出された資料によると、セルシウスは今年7月に1,030万ドル相当の計432BTCを採掘しているとされ、過去の保有分を含め一定の売り圧力を懸念する向きもある。
ビットコインなどリスク資産と逆相関傾向にあり、米ドルの強さを示すドル・インデックス(DXY)の再上昇も重石となった。
著名投資家のPeter Brandt(@PeterLBrandt)氏は、上昇ウェッジを形成しているとしてダウンサイドリスクに警鐘を鳴らした。
Northstar & BadchartsのテクニカルアナリストであるKevin Wadsworth氏も同様の悲観シナリオを示す。同氏によれば、70〜80%ほどの確率で10,000〜12,000ドルまで下落する可能性がある。
Crypto Academyの創設者であるJustin Bennett(@JustinBennettFX)氏は、2022年の米主要株価指数であるS&P 500の推移が、リーマン・ショックの発生した2008年のチャートに酷似していると指摘。「株や暗号資産(仮想通貨)は、まだ底を打っていない」との見立てを示した。
イーサリアム
イーサリアム(ETH)のプルーフ・オブ・ステーク(PoS)移行を伴う大型アップグレードThe Merge(ザ・マージ)が9月中旬に迫る中、オプション市場では、ETHのOI(未決済建玉)が過去最高値の81億ドルに達し、BTCの建玉数55億ドルを大幅に上回っている。
ETHのOIがBTCを超えるのは、今年8月まで過去例がなかった。建玉数が特に多いのが22年12月30日で、権利行使価格3,000ドル付近のコールオプションが集中しているとの指摘がある。
デリバティブ最大手Deribitのデータによれば、ETHオプションのプット・コール比率は年初来最も低い0.26に達し、強気のセンチメントを示している。
なお、ステークされたETHの合計額は16日時点で1,329万ETHを記録。ETH価格が前年比で43%下落する中ステークス数は順調に伸び続け、前年比でほぼ2倍に達した。
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