金融所得課税の「1億円の壁」、年末に向け議論へ

1億円の壁を議論へ

自民党の宮沢税制調査会長は17日、報道各社とのインタビューで、年末に向けて行われる与党の税制改正議論において、金融所得課税の見直しも議論する意向を示した。

金融所得課税の見直しというのは、「1億円の壁」と呼ばれている問題を解決すること。所得税の負担率が所得1億円をピークに下がる現象のことで、所得が多い人ほど税負担率が上がる累進制にひずみが生じている状態を指す。

以下は2018年10月の税制調査会の資料。この時にもすでに問題が指摘されていた。

出典:税制調査会

そして、このひずみは以下の理由などで生じていると説明されている。

  • 高所得者ほど、所得に占める株式等の譲渡所得の割合が高いこと
  • 金融所得の多くが、分離課税の対象になっていること

宮沢氏は以前から金融所得課税の議論が必要であると指摘しており、今回のインタビューでは具体的に時期を示し、金融市場の動向も見ながら見直しを検討すると話した。

岸田首相は昨年の自民党総裁選の政策集で「1億円の壁の打破」を掲げていたが、市場から批判が上がったり、株価が下落したりしたことを受け、現在も問題は解決されていない。

仮想通貨の税制

年末の税制改正の議論は、暗号資産(仮想通貨)の法人税制も対象になっている。岸田首相は今月、総理大臣官邸で「第10回新しい資本主義実現会議」を開催。この会議の資料では、以下のように説明されている。

暗号資産事業を行う法人が自ら発行して保有する暗号資産について、事業運営のために継続的に保有する場合は、法人税の期末時価評価課税の対象として課税されないように措置することについて検討し、本年末の来年度税制改正において結論を得る。

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なお、上記の法人税の問題解決が進められている中で、日本発のパブリックブロックチェーン「アスターネットワーク(ASTR)」の創設者である渡辺氏は、自社発行のトークンの期末課税以外に、他社が発行したトークンの期末課税の撤廃も必要だと指摘。子会社が「自社」の対象に含まれるかは不明であるとした上で、理由として以下の2つを挙げた。

  • 日本企業にトークンを買って欲しいプロジェクトがなくなるため、日本マネーが避けられる
  • 海外プロジェクトがトークンで日本の子会社や関連会社に支払いをすると、未実現利益期末課税に入るので、日本に来なくなる

また、他に日本の仮想通貨領域で課題として挙げられているのが、個人の仮想通貨取引に最大55%の税率が課されるなどの投資に関する税率の問題。この点については13日、Web3プロジェクトチーム座長の平自民党議員が以下のようにコメントした。

仮想通貨の投資に関する税制改革はハードルが高く、年末の税制の議論で解決できる見通しは今の時点では立っていない。

しかし、投資に関する税制の問題も理解はしているので、そこも含めて解決に向けて尽力していきたいと思っている。

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アスターネットワークとは

ステイクテクノロジーズが開発を主導するパブリックブロックチェーン。ポルカドット(DOT)のネットワークに接続し、ブロックチェーンの相互運用性の向上を目指している。

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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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