米IT・コインベースや仮想通貨も続伸 インフレ減速で利上げ緩和期待|28日金融短観
1/28(土)朝の相場動向(前日比)
- NYダウ:33,978ドル +0.08%
- ナスダック:11,621ドル +0.9%
- 日経平均:27,382円 +0.07%
- 米ドル/円:129.85 -0.28%
- 米ドル指数:101.9 +0.09%
- 米国債10年:年利回り3.51 +0.6%
- 金先物:1,928ドル -0.09%
- ビットコイン:23,170ドル +0.5%
- イーサリアム:1,603ドル +0.1%
伝統金融
暗号資産
本日のニューヨークダウやナスダックは6営業日続伸。米物価統計などの最新データがインフレ減速と米FRB利上げ緩和の裏付けとなったか。
昨夜発表の米個人消費支出(PCE)は前月比-0.2%と予想を下回った。コアPCEの前年同月比伸び率は+4.4%、11月の+4.7%から鈍化。両指数共に前年同月比で鈍化が進み、過去1年余りで最も低い伸びとなった。なお、個人所得や賃金など他のインフレ指標も著しく鈍化してきた。
個人消費支出(PCE)は米商務省が毎月末に発表する個人消費の物価動向を示す指標。GDPの7割弱を占める米国の個人消費支出はGDPの先行指標として注目される。名目PCEを実質PCEで割ったPCEコアデフレーターは米FRBが最も重視している物価指標として知られている。
12月の弱いCPIに加え、今回の統計を受けてFRBが2月と3月にそれぞれ0.25%ポイントの利上げを決定する可能性が高まった。また、利上げを近く終了させて9月にも利下げに着手するとの観測まで浮上。一方、FRBの要人らは年内の利下げは想定していないという。
- 12月個人消費支出(PCE):今回+5.0% 予想+5.3% 11月+5.5%(前年同月比)
- 12月個人消費支出:今回-0.2% 予想-0.1% 11月-0.1%(前月比)
- 12月個人消費支出コア(食品とエネルギー以外):今回+4.4% 予想+4.4% 11月+4.7%(前年同月比)
- 12月個人消費支出コア:今回+0.3% 予想+0.3% 11月+0.2%(前月比)
- 1月ミシガン大学消費者信頼感指数(確報値):今回64.9 速報値64.6 12月59.7
- 1月ミシガン大学1年期待インフレ率(確報値):今回3.9% 速報値4.5% 12月4.4%
- 1月ミシガン大学5-10年期待インフレ率速報値(確報値):今回2.9% 速報値3.0% 12月2.9%
デフレーター
ミシガン大
米国株
今週はマイクロソフトやテスラの決算が発表されたが、来週はアップル(2月2日)、アマゾン(同日)、アルファベットC(同日)などのIT大手も決算を控えている。
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個別銘柄の前日比では、バズフィード+85%、ビッグベア・ai(AI関連)+7%、テスラ+11%、マイクロソフト+0.065%、アルファベットC+1.9%、アマゾン+3%、アップル+1.3%、メタ+3%、コインベース+15.7%。アルゴ・ブロックチェーン-7.5%。
オンラインメディアのバズフィードは27日も高騰。26日(米国時間)にオンラインクイズなどのコンテンツ生成やパーソナライズに、米OpenAI社が開発したAI技術を使用する情報が浮上したことを好感され株価は一時120%暴騰した。BuzzFeedはその後ChatGPTではなく公開されているAPIを使用すると明かしたが、CEOがAI統合の計画を示したことも材料視されたもようだ。
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来週以降の重要な経済指標・イベント
- 2月2日(木 4:00):FOMC政策金利
- 2月3日(木 22:30〜24:00):米失業率・非農業部門雇用者数
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米ドル/円:129.85 -0.28%
ドル円は1ドル=129.85円、前日比-0.28%。上述した米個人消費支出などの指標がインフレ鈍化を示し、FRBの利上げ緩和期待が高まっていることを受けてドルは反落。米長期債相場は日銀長期金利上昇の期待から売り先行で小幅続落。一方、米インフレ鈍化のデータを受けて買い戻され下げ幅を縮小した。
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仮想通貨相場
ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などはNYダウやナスダックの続伸に連れ高。Web3ゲーム銘柄の「MAGIC」は前日比+30%。年初来高値を大幅に更新し1月1日からは約3.2倍となった。
MAGICは、ブロックチェーンゲームコレクション「TreasureDAO」のネイティブトークン。TreasureDAOは『分散型任天堂』を目指すプロジェクトで、L2ブロックチェーンArbitrumで運営されており、The BeaconやKuroroといったゲームをホストしている。26日に、MagicSwap v2という新たなAMM取引所をリリースした。
また、マイクロソフトのOpenAIへの追加出資や上述したバズフィードのAI採用といったニュースなどを背景に、一部のAI関連トークンは高騰している。
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仮想通貨・ブロックチェーン関連株(前日比/前週比)
- コインベース・グローバル|61.3ドル (+15.7%/+11%)
- アルゴ・ブロックチェーン|1.9ドル(-6.4%/+9.8%)
- マラソン|8ドル(-8.3%/-0.6%)
- マイクロストラテジー|258ドル(+5.3%/+7.6%)
コインベースについては、26日にマネロン対策など適切な登録なしでのサービス提供でオランダ中央銀行から360万ドルの罰金を科されたが、インフレ減速による株・仮想通貨高などを受けて大幅に続伸した。
仮想通貨マイニングのアルゴ・ブロックチェーンの株価は大幅に下落した。要因は集団訴訟のようだ。26日に、同社が2021年9月に行ったIPOの際、提出書類に「事実と異なっていて虚偽または誤解を招く記述がある」として、集団訴訟を起こされている。
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別のマイニング上場企業マラソン・デジタル・ホールディングスは昨日、中東アブダビでマイニング施設の拡充としてFS Innovationと提携しジョイントベンチャーを設立することを発表した。家庭用1キロワットあたりのアブダビ電気代は米国の半分以下に相当値段。マラソンは安価な電気代を利用して新施設の容量を250メガワットと設定する。
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GMラヂオ 「zkSync」
今週配信された今年初のGMラヂオのアーカイブはこちら。
今回は特別ゲストは、Matter Labsのエンジニア部門のトップAnthony Rose氏。同社はイーサリアム(ETH)のL2ソリューション「zkSync」を開発している企業だ。Matter Labsはゼロ知識証明という暗号技術を活用してイーサリアムのスケーラビリティを向上させる技術を開発している。ラヂオでZKロールアップの強みや課題、zkSyncの今後の見通しについて語った。
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前回、アニモカ・ブランズのYat Siu会長などの回のアーカイブの視聴はこちら。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します