ビットコイン前週比20%高、グレースケール投信流入は週間+4693BTC|CoinPost週次レポート
ビットコイン、過去最高値を更新
2月第2週の暗号資産(仮想通貨)市場。週明けの8日のテスラ社のビットコイン購入やBNYメロンの仮想通貨カストディー開始の報道(11日)を受け、ビットコイン(BTC)価格は2度も過去最高値(ATH)を更新した。
またツイッター社やウーバー社、マスターカードなど既存の大手企業も仮想通貨関連の報道が相次ぐ事例が散見された。
2月8日:テスラ社が総額15億ドル分のBTC購入
世界有数の大手企業で電気自動車(EV)を手掛けるテスラ社のビットコイン保有が判明したのは日本時間8日の夜。米証券取引委員会(SEC)に提出された資料でテスラ社が企業の純現金保有額の15%に相当する総額1550億円相当のビットコインを購入していたことが明らかになった。報道を受け、ビットコイン価格は47000ドル台(約500万円)に達していた。
SECの資料では1月にテスラ社の投資ポリシーが改定されビットコインやゴールド(金)、ゴールドETFへの出資が可能となったもの、BTCの具体的な保有数は明かされていない。しかし純粋な投資額では歴代1位を誇る。
テスラ社のCEOであるイーロン・マスク氏は昨年12月には、マイクロストラテジー社のMichael Saylor CEOに対してビットコイン購入に関してツイッターで質問する場面もあった。また1月末にはプロフィールを「#bitcoin」に変更したほか、今月1日には話題の音声SNSのClubhouseに登壇し「ビットコインを支持する(I am a supporter of Bitcoin)」などと発言し、話題となっていた。
2月11日:BNYメロンが年内に仮想通貨カストディーサービス開始へ
また11日には米国で最も長い歴史を誇る世界最大級の投資・カストディ銀行であるBNYメロンが仮想通貨カストディーサービスを年内に開始する方針を表明。カストディ&アドミニストレーション資産残高が41.1兆ドル(約4300兆円)の規模を誇るなど、資産管理や資産運用に特化した大型金融機関がカストディー事業に乗り出したことで、ビットコイン価格は再び急騰した。
これまで米SECはビットコインETF(上場投資信託)を承認していないが、主な却下理由としては「カストディソリューションの欠如」と「市場操作のリスク」の2点が繰り返し挙げられてきた。しかし、4300兆円相当の資産などを管理する大手銀行がカストディソリューションを提供すればこのような課題克服につながるとする前向きな見方が増えている。
関連:ビットコイン最高値更新 BNYメロンの仮想通貨事業展開に関する報道受け
13日には世界的な金融大手のドイツ銀行(Deutsche Bank)もカストディやブローカー事業を2021年内に予定している構想が昨年12月に世界経済フォーラムのレポートに掲載されていたことが判明。またJPモルガンチェースのCOOも「需要が高まれば、ビットコイン取引の提供を検討する」などと言及しており、このような発表が相次いだ。
関連:ドイツ銀行も本格参入か、仮想通貨カストディとブローカーの事業計画が明らかに
さらに週末にかけてはモルガン・スタンレーがビットコインへの投資を検討していることが判明。21年1月には、モルガン・スタンレーがビットコインを大量保有する米上場企業MicroStrategyの株式を約80万株取得したことが明らかとなっていた。全株式の内、10.9%を保有している。
大手仮想通貨取引所BitfinexのCTO分析(寄稿:Paolo Ardoino)
ビットコイン価格が5万ドルに近づくにつれ、より多くの企業も世界最大級の仮想通貨を認め、企業のバランスシートに含む準備をしている。ビットコインのメインストリーム化への舞台は整えられたかもしれない。
仮想通貨に詳しくない初心者はむやみにFOMO(取り残される恐怖)に屈し、投機目的で投資するのではなく、時間をかけて根本となる技術について学ぶべきだ。
驚異的なペースで状況が加速化する中、今後どのような企業がビットコインを保有するのか注目が向いている。
時価総額TOP20銘柄(前週比)
過去最高値を更新したビットコインに続き、2月の第2週は上位アルト銘柄も軒並み好調。リスクオンの傾向から循環物色が相次いだ。
関連:2015〜2020年、仮想通貨「時価総額TOP20」の顔ぶれと変化
大型アップデート(≒ハードフォーク)Maryを控える仮想通貨カルダノ(ADA)は週初めにXRP(リップル)を抑え、時価総額ランキングでは4位に浮上。2月初頭に大型アップデートMaryのハードフォークがテストネットで無事完了しており、2月末に予定されており、プロジェクトの進捗に関心が高まっている。12日時点では現物価格でも前週比+72%の騰落率を記録した。
関連:大型アップデート「Mary」控える仮想通貨ADA、時価総額4位に上昇
また時価総額7位のバイナンスコインも過去最高値を前週に続き再び更新(一時148ドル到達)。週間では100%超えの騰落率をマークした。
そのほかにもコスモス(ATOM)やイオス(EOS)、さらにマスク氏に取り上げられたドージコイン(DOGE)なども高い上昇を見せた。
関連:高騰続くバイナンスコイン(BNB)100ドルの大台突破、仮想通貨市場の循環物色が顕著に
BTCハッシュレート推移とチャート
2021年2月5日~2021年2月12日
今週は2021年2月5日から2021年2月12日の期間を対象に、BTCのハッシュレート(採掘速度)および価格について分析を行なった。
BTCハッシュレート(採掘速度)について
最低値:約149.9TH/s(前週比 +102.3%)2021年2月5日
最高値:約165.8TH/s(前週比 +108.5%)2021年2月9日
BTC価格について
最低値:約388万円(前週比 +115.1%)2021年2月5日
最高値:約506万円(前週比 +126.1%)2021年2月12日
今週、ハッシュレート(採掘速度)とBTC価格は大きく上昇し、ハッシュレートは165.8TH/s、BTC価格は約506万円と過去最高値を記録する結果となった。また、基本的にはハッシュレートとBTC価格には相関関係が見られる。
また12日にはビットコインの採掘事業者(マイナー)の1時間当たりの収益が過去最高の4億円以上を記録している。
米グレースケール社の仮想通貨購入
また機関投資家向けに仮想通貨の投資信託商品などを提供する米グレースケール社は過去7日間で4693BTCを購入。そのほかにも92297ETHや69032LTCなどアルト銘柄も大幅に買い増しした格好だ。
全面高の影響もあり、資産運用総額は3781億ドル(約4兆円)規模になった。
ETH2.0ステーキング
2020年11月に開始されたETH2.0のデポジットコントラクトには、全体の供給量の2.67%に相当する300万ETHが預入られており、執筆時点では約6000億円に相当する。
先週3日時点では約290万ETHがステーキングされていた。
DeFi(分散型金融)
DeFi(分散型金融)ネットワークに預け入れられた総額を示すTVL(総ロック額)は13日時点で4176億ドル(約4.4兆円)を記録。約2週間で1兆円以上もTVL額が増加している状態だ。
関連:DeFi(分散型金融)とは? 特徴と仕組みを初心者にもわかりやすく解説
クリプト指標
また2月15日(月)は連邦祝日で米国の株式市場は休場日となる。米国の初代大統領のジョージ・ワシントンやエイブラハム・リンカーンなどの大統領の誕生日を記念して、毎年2月第3週の月曜日にプレジデント・デー(大統領の日)が祝われる。
一方、中国では春節(旧正月)を記念して11日から17日までが祝日となる。過去には春節を目前にBTC価格が下落する傾向が一部懸念されてきたが、2021年はこのような動きは見られていなかった。
日程 | 指標 |
---|---|
2/15 |
10-12月期四半期実質国内総生産(GDP、速報値) |
2/17 |
米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨 |
2/18 |
RobinhoodCEOに対する下院公聴会開催(米国時間) |
2/19 |
1月全国消費者物価指数(CPI) |
2/19 |
【Deribit】オプションカットオフ |
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関連:クリプト指標導入「CoinPostアプリ」の使い方をトレーダー目線で解説|寄稿:Bit仙人
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します