米FRB「テーパリングの開始は今後も議論が必要」
FOMCを開催
米連邦準備理事会(FRB)は28日、米国の金融政策を決める連邦公開市場委員会(FOMC)で、ゼロ金利政策と量的緩和政策を継続することを決定した。
債券と住宅ローン担保証券(MBS)の月1,200億ドル(約13兆円)分の購入を当面は継続すると説明。暗号資産(仮想通貨)などの金融市場では、量的緩和の縮小(テーパリング)を開始する時期に注目が集まっているが、パウエル議長は今後開催される複数の会合を重ね、経済情勢を見ながら検討していくと述べた。現時点で具体的なスケジュール決めていないとしている。
テーパリングとは
英語では「tapering」と表記し、動詞の「taper」は「徐々に減る、先細る」といった意味。
テーパリングは、量的緩和策による金融資産の買い入れ額を順次減らしていくことを指す。
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前回のFOMCが開催されたのは6月で、その際パウエル議長は、米国の経済回復を背景に、テーパリングについて議論を始めると説明。また、FRBによる金利予測分布図(ドットチャート)の予想中央値は、2023年末までに2回の利上げを見込んでいることを示していた。
その時点で、利上げは市場もある程度は織り込んでいたことではあったが、従来よりも約1年前倒しされたことになるため、米長期金利が上昇。ダウ平均は前日比0.77%安の265ドル安になるなどの影響を市場に与えた。当時のビットコイン(BTC)価格の反落も影響を受けたとの見方がある。
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一方で今回、当面はFRBが現在の政策を維持するとした理由は、変異株の感染拡大など、新型コロナウイルスが経済に与える影響に懸念が残っているからだ。パウエル議長は米経済について、雇用と物価の両方で進展があったが、最大雇用の目標にはまだ遠いなどと説明している。
今回のFOMCの声明には、最大雇用と物価安定の目標に向け、現在よりも著しい進展が見られるまで、債券などの購入を続けると今までの方針を明記。インフレ率についても当面は緩やかに2%を上回ることを目指すなどと従来の基本姿勢を強調した。インフレの加速については、「一時的である」との見方を継続している。
米国では2013年5月、当時のFRBのバーナンキ議長が、市場が予期せぬタイミングでテーパリングの実施を示唆し、株価が急落するなど市場の混乱を招いた事例がある。今回のコロナ禍の金融政策は規模が巨大であるため、テーパリングに対する投資家の注目度は非常に高い。
パウエル議長はテーパリングの開始について、市場と十分に対話すると述べており、今後の経済指標などを見て判断していく意向を示している。
2021年のFOMCの開催は残り3回で、9月21日から22日、11月2日から3日、12月14日から15日の開催を予定。9月のFOMCの声明では、8月26日から28日にかけてワイオミング州ジャクソンホールで開催される恒例の経済シンポジウムの議論を受け、テーパリングに関する計画が示される可能性があるとの見方が上がっている。
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