金融政策レポートで仮想通貨に言及
米連邦準備制度理事会(FRB)が、半年ごとに発行する金融政策レポートの中で、暗号資産(仮想通貨)に言及したことが分かった。Bloombergによれば、これは初めてのことだという。簡潔な記述にとどまってはいるが、政策立案者が、仮想通貨に以前よりも注目を高めていることを窺わせるものだ。
7月9日付のレポートは、現在の金融システムの安定性を全般的に評価する上で、仮想通貨価格の急上昇にも触れた。FRBは、次のように分析している。
様々な仮想通貨の価格が上昇しているのは、リスク選好が高まったという影響もある。米国債の利回りは2月中旬以降上昇しているが、歴史的に見て低い水準にある。このため様々なリスク資産の価格が高いのは、米国債の利回りが引き続き低水準であることを反映している部分もあるだろう。しかし、これを考慮しても、一部の資産は過去の基準に比べて高くなっている。
レポートは、「投資家のリスク選好度が低下したり、金利が予想外に上昇したり、景気回復が停滞した場合、資産価格は大幅に下落する可能性も否めない」と述べた。
FRBは仮想通貨や株式などのリスク資産の価格は全般的に上昇したが、この背景には米国における新型コロナウイルスのワクチン普及、金融政策、リスク選好の高まりがあるとみている。
FRB議長とコインベースCEOが面会か
今月初めには、FRBのJerome Powell議長が、米最大手仮想通貨取引所コインベースのBrian Armstrong CEOと5月11日に会談していた可能性が浮上した。この席で何が話されていたのか、あるいは実際に会談が行われたのかは明らかになっていない。
なお、翌12日には米商品先物取引委員会(CFTC)の元委員長で、デジタルドル・プロジェクトの責任者でもあるChristopher Giancarlo氏と会談。この後、Powell議長は5月20日にデジタル・ドルの発行可能性を検討するディスカッション・ペーパーを夏に発行する予定だと発表した。
デジタルドルをめぐる議論
連邦準備銀行は、すでに一部で中央銀行デジタル通貨(CBDC)についての調査や研究を進めているところだが、その必要性についてはまだ議論が分かれているところだ。
6月末に、FRBのRandal Quarles副議長は、CBDCがもたらす利益は不明瞭だが、「重大かつ明確なリスク」をもたらす可能性があるとして、その利点や実用性を慎重に検討するべきだと主張している。
関連:米FRB副議長、中央銀行デジタル通貨(CBDC)発行の必要性に疑問符