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米FRB副議長、中央銀行デジタル通貨(CBDC)発行の必要性に疑問符

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

そもそもCBDCは必要なのか

米連邦準備制度理事会(FRB)のランダル・クオールズ(Randal Quarles)副議長(金融規制担当)は、中央銀行デジタル通貨(CBDC)支持派の考えに懐疑的な見方を示し、CBDC導入の利点とコスト、実用性を慎重に分析し、検討することが重要だと述べた。

6月28日、ユタ州銀行協会の年次総会で講演したクオールズ氏は、CBDCがもたらす利益は不明瞭である一方、その導入は「重大かつ明確なリスクをもたらす可能性がある」と警鐘を鳴らした。FRBは今夏にCBDCに関する研究論文を公開するとしており、クオールズ氏の発言はその議論に一石を投じたことになる。

関連:米FRB、デジタル・ドルを検討するディスカッションペーパーを公開予定

クオールズ氏は、FRBがCBDCを導入するためには、まず、法律の改正が必要になってくるという立場だ。その上で、米国の決済システムの現状とCBDC提唱者の主張について、具体的なポイントを上げ議論を展開した。

ドルはすでにデジタル化されている

クオールズ氏は、すでに一般消費者の銀行口座では、ほとんど電子残高の送受信によってデジタルドルで決済していると指摘。つまり、米国では「連邦準備銀行が商業銀行にデジタルドルを提供し、商業銀行はデジタルドルやその他の金融サービスを消費者や企業に提供している」現状があり、「ドルはすでに高度にデジタル化されている」との考えを明らかにした。

国際決済銀行(BIS)によるCBDCの定義は、「国の勘定単位(法定通貨)建のデジタル決済手段で、中央銀行の直接債務」とされているが、すでに普及し毎日利用されているデジタルドルとCBDCとの違いは、中央銀行の債務であるか否かの部分だと同氏は言う。

リテール型のCBDCでは、一般市民が商業銀行ではなく、中央銀行のシステムと直接お金のやり取りを行うことになるため、これまで商業銀行が担ってきた役割の多くを、中央銀行が果たすことになる。

すでに「非常に優れた決済システム」を持ち、官民による決済イノベーションが進む米国で、FRBを「一般市民のための銀行」に変えてしまうことは、銀行システムを一変させ、経済の仕組みを根本的に変えることにつながり、予期せぬ深刻な事態を招く恐れもあるとクオールズ氏は懸念を表明した。

CBDC支持派の意見を否定

CBDC提唱者は、外国政府のCBDCと民間のデジタル通貨の普及が、米ドルを脅威に晒すと議論を展開している。

クオールズ氏は、第一に、世界経済における米ドルの地位が、外国のCBDCによって脅かされることはないと主張している。米国経済の強さと規模、世界各国との幅広い交易関係、大規模な金融市場、長期的に安定したドルの価値、法の支配と強固な財産権や金融政策などの多くの基盤の上に、米ドルの基軸通貨としての役割が築かれていることを強調した。

ステーブルコインは有益

クオールズ氏は、民間のデジタル通貨、特にステーブルコインに関しては「恐れる必要はない」と主張。却ってステーブルコインに対する様々な懸念を解消した上で、積極的に利用すべきとの立場のようだ。ステーブルコインに対する主な懸念は、その裏付けとなる原資産だが、その構築や管理方法を改善することで解消可能だと同氏はいう。

一方、ステーブルコインのメリットとしては、クロスボーダー決済に米ドル建てステーブルコインのネットワークを利用することで、迅速で安価な決済が可能になりドルの利用を促進すると考えられると指摘。「CBDCよりも遥かに迅速に、かつ、より少ないデメリットで導入できるかもしれない」と述べた。

クオールズ氏は、懸念が解消された場合、ステーブルコインには「イエス」というべきであり、「ノー」という理由を無理に探す必要はないとコメント。既存の決済システムの改善やイノベーションが進んでいる今、適切に構築されたステーブルコインの効率性が組み合わさると、「CBDCを開発する努力は不要になるかもしれない」との立場を表明した。

ステーブルコイン

法定通貨の米ドルなどに価値を裏付けられた、安定性の高い仮想通貨のこと。主に、法定通貨で価値を担保するタイプと、供給量を調整することで価値を担保するタイプの2種類がある。その性質上、決済で利用されやすい。

▶️仮想通貨用語集

マネロン対策とプライバシーのバランス、セキュリティ

その他にも、サイバー攻撃や不正アクセスなどセキュリティ上の問題、マネーロンダリング防止措置と個人のプライバシー保護のバランスの匙加減の難しさなどを、CBDCを設計する上での課題としてクオールズ氏は指摘した。

CBDCの導入は、法改正だけではなく大規模なインフラ構築を必要とし、FRBの役割が大きく変わる可能性も念頭に置く必要がある。

以上のような点からも、クオールズ氏は、米国がCBDCを導入するためのハードルは高いと結論づけている。

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