
仮想通貨ETFの国内上場への道筋
SBIホールディングスが7月31日に発表した決算資料にて、暗号資産(仮想通貨)を組み入れた投資信託・ETF(上場投資信託)の商品開発を進めていることが明らかになった。
金融庁が「仮想通貨に関する制度のあり方等の検証」を開始し、仮想通貨を金融商品として法改正を検討する動きを受け、当局の認可を得られ次第、具体的な商品組成を予定するとしている。
SBIHDは、傘下に国内大手の暗号資産交換業者「SBIVC」を擁している。
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2つの商品案を検討中
検討している商品は2つのカテゴリーに分かれており、それぞれ異なるアプローチで仮想通貨投資を可能にする構想となっている。

出典:SBI決算資料
第1の商品案として、「SBI Fund of 仮想通貨ETFs」という国内公募投信の形で展開予定のゴールド・仮想通貨混合ETFがある。
この商品は「金(ゴールド)」と「仮想通貨(デジタルゴールド)」を組み合わせた構成となっており、ゴールドETFに51%以上を配分し、ビットコインETF等の仮想通貨ETFには49%以下の配分とする計画だ。投資家への分配金・運用損益の仕組みも整備される予定となっている。
第2の商品案では、「ビットコイン(BTC)やエックスアールピー(XRP)など」を組成して東京証券取引所での上場を目指すETFを計画している。この商品はビットコイン、XRP等の主要仮想通貨を直接組み入れる構成で、より純粋な仮想通貨投資商品としての位置づけとなる。
制度整備が追い風に
金融庁による仮想通貨の制度検証開始は、これまで規制の不透明さなどから実現困難だった仮想通貨関連金融商品の開発にとって大きな前進となる。
従来、日本国内では仮想通貨を直接組み入れた投資信託やETFの組成は認められていなかったが、今回の制度見直しにより、機関投資家や一般投資家が既存の証券口座を通じて仮想通貨への間接投資が可能になる見込みだ。
これらの商品が実現すれば、投資家は従来の仮想通貨投資とは大きく異なるメリットを享受できると考えられる。
まず、仮想通貨取引所での口座開設が不要となり、アクセシビリティが大幅に向上する。また、特に第1の商品案では、地合い悪化時などの避難資産として買われる傾向にある金(ゴールド)との組み合わせによるポートフォリオバランスの実現が期待できる。
さらに、金融商品取引法(金商法)の下での投資家保護が適用されれば、制度的な安心感も得られる。税務面でも、既存の投資信託・ETFと同様の税制適用により、手続きの簡素化が図られることになる。
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今後の展望
2024年1月に米SEC(証券取引委員会)がビットコイン現物ETFを初承認した米国では、すでにイーサリアムETFの承認・上場もされており、日本市場でも同様の商品への需要は高まっている。
SBIグループの取り組みが成功すれば、他の金融機関による類似商品の開発も加速すると予想される。仮想通貨投資の裾野拡大と同時に、日本の金融市場における仮想通貨の地位向上にも寄与することが期待される。
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