短期保有者(STH)のビットコイン保有量が歴史的低水準に CoinPost週次データレポート Vol.40

1月の仮想通貨動向

1月第2週の暗号資産(仮想通貨)市場。ビットコイン(BTC)価格は一時3万ドル台まで下落するも反発。米CPI(消費者物価指数)指数が市場想定の範囲内だったことで買われる場面も見られたが、軟調な推移が続く。

出典:Tradingview

時価総額2位のイーサリアム(ETH)も年初から4,000ドルを下回るなど上値の重さが目立つ。11日には一時3,000ドルを割る場面もあった。

出典:Tradingview

また、NFT市場の取引量活発化を受け、取引手数料(Gas代)の高止まりも続いている。

関連:イーサリアムの週間バーン数11万ETH超える ビットコインは反転示唆の分水嶺か

時価総額TOP20の騰落率

時価総額上位銘柄の週間騰落率は以下の通り。(16日時点:ステーブルコイン除く)

  • ニアプロトコル(NEAR)+48.52%
  • カルダノ(ADA)+19.88%
  • ドージコイン(DOGE)+17.28%
  • テラ(LUNA)+16.76%
  • バイナンスコイン(BNB)+13.59%

ニアプロトコル(NEAR)はレイヤー1(L1)ネットワーク。分散型アプリ開発の基盤を提供するスマートコントラクトプラットフォームで、先週も170億円相当の資金調達を完了した。

先週11日に初めてTOP20に浮上したばかり。12月上旬時点からNEAR価格は2倍以上高騰している。

関連: Near Protocol、170億円を資金調達 Web3.0の普及加速へ

参照:CoinMarketCap

関連:2015〜2020年、仮想通貨「時価総額TOP20」の顔ぶれと変化

ビットコインのオンチェーン・データ

ビットコイン(BTC)関連の注目のオンチェーンデータは以下の通り。

ハッシュレートATH更新

ビットコイン・ネットワークのハッシュレート(採掘速度)は13日、183エクサハッシュを記録。2021年5月に記録された181エクサハッシュを抜き、約8ヶ月ぶりに最高記録を更新した。

ハッシュレートと難易度(ディフィカルティ)については、21年5月に中国政府が発令した仮想通貨(マイニング)全面禁止令後、一時急落したが、同年7月末よりマイナーの海外移転と分散化が進むにつれ、大幅回復している。

オンチェーンアナリストのWill Clemente氏は「かつてない水準でビットコイン・ネットワークの安全性は保証されている」とコメントした。

ハッシュレートとは

マイニングの採掘速度のこと。日本語では「採掘速度」と表現される。単位は「hash/s」。「s」は「second=秒」で、「1秒間に何回計算ができるか」を表す。マイニング機器の処理能力を表す際や仮想通貨のマイニングがどれくらいのスピードで行われるかを示す指標として用いる。

▶️仮想通貨用語集

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短期保有者のHODL状況

オンチェーン分析企業Glassnodeは、過去数ヶ月以内にビットコインを購入した短期保有者のBTC保有量(300万BTC)が、2020年8月以来の歴史的低水準であると分析した。

長期保有者(LTH)と短期保有者(STH)を区分するもので、未使用トランザクションの出力(UTXO)が一定期間内に消化される確率調査を根拠に、LTHとSTHの閾値を「155日(約5ヶ月)」に設定したもの。

このメトリクスに示されたデータでは、短期保有者のBTC供給量減少は、長期保有者の増加を示唆しており、上図における山の部分は短期保有者比率の増加を、谷の部分は長期保有者比率の上昇を示す。

また、大口投資家傾向を追うWhale Mapは、過去3ヶ月から6ヶ月以内にビットコインを購入した投資家の平均取得価格は44,585ドルであると算出。この価格帯がレジスタンスラインとして機能しているとした。

個人投資家の保有量

Will Clemente氏によれば、10BTC以下を保有する個人投資家が保有するビットコイン供給量は、引き続き増加傾向にあると指摘。

オンチェーンデータにて、取引所やカストディアンを含むクジラ(大口投資家)のビットコイン購入・売却に注目が集まる中、注目に値するデータと言える。

保有(HODL)傾向は、中・長期保有を示唆する取引所からの出金動向からも見られた。

オンチェーンデータ企業Coinsyghtによれば、1月11日には過去最大級のOutflow(取引所からの出金)があったと指摘。25,000BTCが引き出されたことが確認されている。

ビットコインと上海総合指数

テクニカルアナリストのMatthew Hyland氏は、ビットコイン相場は2016年あたりから中国市場との相関性が高まりつつあると指摘。過去5年間という長期スパンで見ると、米ドルや米国株式市場よりも高い相関性が見られたという。

上海総合指数(SHCOMP)は中国を代表する株価指数。上海取引所に上場している全ての銘柄から構成されている。

イーサリアムのオンチェーン・データ

イーサリアム(ETH)関連の注目のオンチェーンデータは以下の通り。

BTCとETHのセンチメント

仮想通貨分析企業Santimentは14日、ビットコインの投資家心情(センチメント)は21年6月以来最も低い水準を記録したと報告。イーサリアムに関しても、21年11月以来では最も低い水準となっており、弱気相場が目立っているという。

センチメント分析とは

AI(人工知能)などの機械学習モデルを利用し、ツイッター上のデータから文字情報を「ポジティブ」と「ネガティブ」に分類し、点数化する分析手法。これまでの傾向では、価格上昇に伴い楽観系ツイートが増加し、下落に伴い悲観的な投稿が増加する傾向がある。

▶️仮想通貨用語集

ETH2.0 ステーキング額

ETH2.0のステーキング数は16日時点で897万ETHを記録。前週比では7万ETH増加した。

現状のペースでいけば、今週中にも900万ETHを突破しそうだ。

ステーキング額:897万ETH(前週比+5万ETH)

CrytoQuant

関連:仮想通貨ステーキングとは|初心者でもわかる「報酬」の仕組み

バーン数

イーサリアム・ネットワークのバーン(焼却)数は17日、153万ETHを突破した。前週比では11万ETH、前月比では31万ETHがバーンされている。

Watchtheburn参照

バーンとは

株式の「自社株買い」に近い形で仮想通貨の供給量を減らす仕組み。自社株買いをする企業は、発行している株式を自分たちのお金で買い戻す。買い戻されると市場に流通する株数が減少することで一株あたりの価値が向上し、株主に対してプラスの影響を与える。

▶️仮想通貨用語集

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DeFi(分散型金融)

DeFiプラットフォームのTVLは17日時点で2,383億ドル(27.2兆円)だった。

出典:DeFi Llama

TVL(Total Value Locked)は、DeFiプロトコルへ預入れされた仮想通貨資産の総ロック額を指す。

NFT

NFTマーケットプレイスの月間取引量は1月半ばで既に21年8月の過去最高記録を更新。

1月10日時点でも8月を超えるペースだったが、過去1週間で取引量が引き続き急増した。

関連:NFT市場の勢いは2022年も健在

特に顕著なのは1月に新設されたばかりのLooksRareだ。これまで取引量の大半を占めていたOpenSeaに「ヴァンパイア攻撃」を仕掛ける形で、より低い手数料(OpenSea:2.5%、LooksRare:2.0%)と独自トークンとステーキングを組み合わせたインセンティブ設計が現状功を奏している。

関連:新NFTプラットフォームLooksRare、OpenSeaからユーザー獲得狙う

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クリプト指標

           
日程 指標

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SOLOエアドロップ配布日

前回の週次レポートはこちら:ビットコインのマイナー保有量が昨年末の最高水準に迫る、ETHクジラは買い増し傾向

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関連:クリプト指標導入「CoinPostアプリ」の使い方をトレーダー目線で解説|寄稿:Bit仙人

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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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