伝統金融市場と仮想通貨
11日に開催された米上院公聴会でFRB(米連邦準備制度)パウエル議長の発言が想定内だったことから、警戒感が後退。米株式市場を中心にリスク資産が買われた。
12日にかけて暗号資産(仮想通貨)市場も反発。 ビットコイン価格は、前日比+2.61%の491万円(42,500ドル)まで上昇した。テーパリング(量的緩和縮小)の影響で、昨今では伝統金融市場に揺さぶられる展開が目立つ。
4万ドルの心理的節目を割り込んだ後に急反発すると徐々に下値を切り上げ、レジスタンスライン(上値抵抗線)で揉み合っている。
大規模なロスカットこそ発生していないものの、足元で売り過熱状態にあったほか、Crypto Fear & Greed Indexが過去最低水準に達するなど反転シグナルが出ていた。
底入れの可能性も無きにしも非ずだが、現時点でトレンド転換したと判断するのは早計だろう。米株市場との相関が強まっており、当面振り回される展開が続きそうだ。
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投資家の目下の焦点は、日本時間22:30に発表予定のCPI(米消費者物価指数)にある。昨年12月に公表されたCPIは、約40年ぶり水準となる前年同月比+6.8%に達し、インフレ抑制の観点からFRBのタカ派転向を余儀なくされた。
今回マーケットコンセンサスの前年同月比+7.1%を上回るような水準であれば、FRBによる年内4回の利上げとバランスシートの縮小圧力をさらに高めることになりそうだ。
金融引き締め局面では、金融緩和局面で選好された割高グロース株から資金が逆流する懸念があり、昨今では米NASDAQ100や国内マザーズ指数の下落が目立っている。金融マーケットがリスクオフに傾き、ドル買い進行が加速すれば、ドルインデックスと逆相関関係にある暗号資産(仮想通貨)市場にとっても向かい風と言える。
一方でビットコインは、株式、投資信託、デリバティブと連動しやすいリスク資産でありながら、金や米国債といった「代替(オルタナティブ)資産」としての側面も併せ持つ。インフレ局面が長期化した場合、相対的に現金(預貯金)の価値が目減りする懸念が生じるため、価値の保存手段としてのビットコインに関心が向く可能性も考えられる。
7日には、米著名投資家ビル・ミラー氏が、ポートフォリオの実に50%を暗号資産(仮想通貨)や関連銘柄で保有していることを明かし、ゴールドとの相違点にも言及した。
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アルトコイン市場の動向
ビットコイン(BTC)反騰に伴い、アルトコイン市場も軒並み反発した。
上位アルトでは、ビットコイン(BTC)の前日比+0.82%に対し、イーサリアム(ETH)は+3.54%、バイナンスコイン(BNB)は+5.74%、ポリゴン(MATIC)は+7.51%となった。
国内上場銘柄では、下落の続いていたシンボル(XYM)が前日比+10.7%と上昇した。フォビジャパンへの上場が材料視されたか。
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NFT市場の勢い健在
Arcane Researchによる最近レポートによると、NFTマーケットプレイス最大手「OpenSea」の勢いは陰りをみせていない。厳密には、昨夏のNFTブームを経て一時的に沈静化しかけたものの、年初にかけて再び活性化しつつある。(下図)
2022年以降、すでに20億ドル相当のイーサリアム(ETH)取引を記録。22年1月9日に記録した2億6,100万ドル相当のETH取引は、21年8月に記録した過去最高記録に迫る水準だ。
背景には、高額NFTコレクションのBoredApe Yacht Club(BAYC)や新シリーズMutant Ape Yacht Club(MAYC)のほか、次世代コレクティブルの「Doodles NFT」やバーチャルコンサートへのチケット権を持つ「PhantaBear」コレクションなどの需要拡大があるとされ、これらが巨大な出来高を牽引している。
無論、これだけの市場規模に達すれば大企業や有望プロジェクトの参入も相次ぐことから、NFT業界の変化も目覚ましいものがある。
11日までに、「OpenSea」の対抗勢力として誕生したばかりの分散型NFTマーケットプレイス「LooksRare」が、好調なスタートを切ったことがわかった。
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プラットフォームトークンの「LOOKS」をOpenSeaのコアユーザーにエアドロップするなど、模倣した仕組みで本家の流動性を吸い取る”ヴァンパイア・アタック”は、ETH基盤最大手の分散型取引所(DEX)として地位を確立したUniSwapとSushiSwapの事例を想起させる。
LooksRareは、ステーキング主体の独自経済圏で古参ユーザー囲い込みを図るものであることから、OpenSeaの脅威となる市場規模にまで成長することができれば、サービスやインセンティブ競争が加速する可能性もある。
LOOKSトークンが早くも大手デリバティブ(金融派生商品)取引所FTXへの上場を果たしたことからも、一過性の取り組みで終わるか、新興勢力として勢力図を塗り替えるほどに至るのか、ますます今後の趨勢に着目される興味深い構図と言えよう。
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