ロシアがウクライナ東部への特別な軍事行動を発表、戦争懸念でビットコインなど仮想通貨が急落
仮想通貨市況と世界情勢
プーチン露大統領は24日、緊急演説でウクライナ東部における「軍事行動開始」を宣言した。ウクライナへの事実上の侵略との見方が強く、大規模な戦争に発展するリスクも懸念される。
緊迫化するウクライナ情勢を巡り、ここ数日間で市場の不確実性がさらに高まっていた。
ブリンケン米国務長官は、「夜が明ける前にロシアが侵略すると思われる」と危機感を露わにしたほか、米国防総省高官らも「臨戦態勢に入っている」と指摘。トラス英外相はロシアがウクライナの首都キエフを攻撃する可能性について「極めて高い」との見方を示し、ウクライナ全土への侵攻に乗り出すと言及した。
ウクライナは24日、ロシアが親ロ派武装勢力が実効支配するウクライナ東部の2地区を共和国について、ロシアが一方的に独立宣言し派兵したことなどを踏まえ、全土に非常事態宣言を発令している。また直近では、断続的に国防省など政府機関へのサイバー攻撃が発生しており、全面侵攻の前触れとして警戒が強まっていた。
ウクライナで大規模な軍事衝突に発展した場合、欧米諸国からの強力な経済制裁は免れず、資源大国であるロシアが報復措置を取ることで、原油や天然ガスなどの供給が逼迫することによるインフレの加速、半導体の供給不足などが指摘される。
これに伴い、リスクヘッジで買われやすい金価格が、1トロイオンス=1926.8ドルまで急騰した。
23日の米NYダウは、前日比464ドル85セント(1.4%)安と5日続落している。
プーチン大統領の緊急演説でウクライナへの軍事行動が発表されると、リスク回避の動きが急速に強まり暗号資産(仮想通貨)市場は急落。ビットコイン価格は、前日比-6.06%の408万円(35,489ドル)と大幅下落した。
金融引き締めに対する資金流出懸念もあり、デリバティブ(金融派生商品)市場ではこれを見越した動きが強まっていた。ビットコイン(BTC)先物市場では、FundingRate(資金調達率)がマイナス圏を推移する。
市場心理を示すCrypto Fear & Greed Indexも、依然としてExtreme Fear(極度の恐怖)にある。
Arcane Researchのデータによれば、ビットコインの取引量は、20年12月以来の低水準まで沈んでいる。
かつてない地合い悪化の影響を受け、現在は1日あたり17億ドルまで減少し、BTCネットワーク上のアクティビティが減少していることを示している。
Bitwise AssetManagementの最高投資責任者であるMatthew Hougan氏は、市場低迷要因として3つを挙げた。
1つ目は、金融市場のリスクオフ。金融引き締めやウクライナ情勢に起因するもので非常に深刻だ。
2つ目は、米バイデン政権による暗号資産(仮想通貨)に関する大統領令。現在、ジャネット・イエレン財務長官と一部要素について合意できず遅れているとの見立てもある。
3つ目は、2021年の金融バブルを念頭に、巨額の納税売りが発生しているとの観測である。米国の納税(確定申告)期日は4月18日にある。
一方Hougan氏は、「このままの勢いでネットワークが成長し続けた場合、2022年下半期には過去最高値を超える可能性もある」と楽観的な見通しも示し、その場合は現物の「ビットコインETF(上場投資信託)」承認がカギとなるとした。
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