大手会計事務所EYとポリゴン、サプライチェーン向けソリューション(ベータ版)をローンチ
パブリックブロックチェーンの課題を解決
世界四大会計事務所の1つ「アーンスト・アンド・ヤング(EY)」は17日、パブリックブロックチェーンを基盤としたサプライチェーン向けソリューション「EY OpsChain Supply Chain Manager(ベータ版)」のローンチを発表した。
このソリューションは、製品の在庫管理や供給網の追跡に活用するためのプロダクト。透明性の高いパブリックブロックチェーンはプライバシーがハードルとなり、サプライチェーン管理では普及が広く進まなかったが、暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)のスケーリングソリューションを提供する「ポリゴン(MATIC)」のプロダクトを活用することで、この課題を解決するという。
ポリゴンとは
イーサリアムのスケーリングソリューションを開発するプロジェクト。セキュリティを犠牲にすることなく、安価な手数料でブロックチェーンを活用できる環境の提供を目指している。
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EYとポリゴンについては、昨年9月に協業を開始したことが発表されている。両社で協力して企業向けのイーサリアムのスケーリングソリューションを開発するとし、「Polygon Nightfall」の開発についても協業していくと説明していた。
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Polygon Nightfallは、ポリゴンのプロダクトの1つ。ロールアップとゼロ知識証明を活用したスケーリングソリューションで、プライバシーに特化している。Polygon Nightfallも17日に、メインネットのベータ版のローンチが発表された。
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EY OpsChain Supply Chain Managerでは、利用する企業が、商品や資産をトークンとして発行することが可能。このトークンはNFT(非代替性トークン)またはFT(代替性トークン)として発行できるという。Polygon Nightfallとオフチェーンでの情報管理を組み合わせることで、プライバシーを確保したまま資産を移動することも可能だとした。
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EYのブロックチェーン部門のリーダーは、今回の発表で以下のようにコメントしている。
企業の境界を超えた複雑な運営を管理できることは大きな前進だ。
我々の新しいソリューションは、ユースケースを広く拡大してくれるだろう。
また、ポリゴンの担当者は以下のようにコメントを寄せた。
今回のソリューションはまさに、Polygon Nightfallで我々が思い描いていた商業利用だ。
金融領域以外の企業ではまだ普及していないが、プライバシー確保のためのツールが新しい世界を切り開いてくれるだろう。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します