破産申請したVoyager、FDICの保険は顧客資産に不適用と発表
米ドルの保険は不適用と発表
暗号資産(仮想通貨)取引プラットフォームVoyager Digitalに顧客が入金していた米ドルは、米連邦預金保険公社(FDIC)の保険が適用されないことが分かった。
財政難に直面したVoyagerは5日、米連邦破産法11条(チャプターイレブン)に基づいた破産申請を行なっている。同社は以前から、Voyagerに入金された米ドルは、最大で約3,390万円(25万ドル)までFDICに補償されると説明してきた。しかし、Voyagerの顧客のドルを預かっているメトロポリタン商業銀行によると、Voyagerの破産には保険が適用されないという。
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FDICとは
「Federal Deposit Insurance Corporation」の略。被保険銀行における預金を保護するための預金保険業務等を行う米国政府の独立機関を指す。金融システムの安定を保ち、安全性や健全性の維持、また消費者保護のために金融機関を監督する役割を担っている。
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Voyagerの破産申請を受け、メトロポリタン商業銀行は声明を発表。その中で、同銀はFDICの被保険銀行であり、もちろん預金に対する保険はVoyagerの顧客にも適用されると説明している。現在は1つの口座につき、25万ドルまで補償されるとした。
しかし、それはあくまでメトロポリタン商業銀行が破産などに陥った場合だと説明。Voyagerやその従業員に起因する場合は、FDICの保険は適用されないとした。そして、同銀の包括的な口座で保有しているのは米ドルだけだとし、仮想通貨や他のデジタル資産は保有していないとも述べている。
さらに、2022年1月7日更新のVoyager自身の契約書にも、Voyagerの破産ではFDICの保険が適用されないことを明記しており、冒頭のような説明とは矛盾していることも分かった。
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Voyagerの融資先
Voyagerが破産申請を行った書類から、同社が、仮想通貨投資・トレーディング企業Alamedaに仮想通貨の貸付を行っていたことが明らかになった。Alamedaは、Voyagerが今回財政難に陥った際、融資を行なっている。
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破産の申請書(P13)によると、Alamedaの未返済分は3.7億ドル相当。融資の金利は1%から11.5%だった。
未返済分を記載した上記の表の中で、最も多くの金額を返していない借り手は仮想通貨ヘッジファンドのThree Arrows Capital。未返済額は6.5億ドル相当で、金利は3%から10%だったようだ。
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