FOMC目前の手仕舞い売り優勢か、ビットコイン20000ドル台まで続落
仮想通貨市況
26〜27日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)において、米連邦準備理事会(FRB)の金融政策発表及びパウエル議長の記者会見を28日午前3時(日本時間)に控える中、投資家の警戒感が再び高まっている。
FRBがインフレ抑制策を最重要事項と位置付ける中、金融引き締め加速は、企業業績の悪化など景気を冷え込ませるリスクもある。原油価格の高騰やウクライナ情勢、欧米諸国のロシアへの経済制裁などの影響でインフレ上昇に歯止めが掛からない状況が続いていた。
13日に発表された6月の消費者物価指数は、約40年ぶりの前年比+9.1%という記録的な値に達し市場予想を上回った。これに伴い、前回のFOMCに6月に続き0.75%の追加利上げは織り込み済みと思われるが、問題は1.00%の追加利上げに踏み切った場合の市場の反応だ。
CME FedWatch Toolによれば、26日昼時点で0.75%の利上げ予想が76.9%を占めており、1.00%乗り上げ予想は23.1%に留まる。
直近相場では、CPI(米消費者物価指数)発表前やFOMC直前にはボラティリティ(価格変動性)が拡大する傾向にあり、通過時の反応を見定めるべく手仕舞い売りが入りやすい。
25日の米株式市場でダウは、前週末比90ドル(0.3%)高となるも、26日の暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコインは前日比3.79%安の287.7万円(21,062ドル)と続落した。
CoinGlassのデータによれば、先物市場では過去24時間で2億2300万ドルのロングポジションが清算された。
機関投資家の動向
資産運用会社CoinSharesの週次レポートによれば、暗号資産(仮想通貨)投資信託などのデジタル資産に対する機関投資家の資金フローは、先週は3億4300万ドルの流入超過となり、21年11月以来最大となった。
13日から20日までの仮想通貨相場の大幅反発が背景にある。BTCは18,892ドルから24,287ドルまで上昇し、ETHは1,005ドルから1,664ドルまで上昇した。
取引データの遅延で修正された前週分データでは、相場を先導したイーサリアム(ETH)は1億2000万ドルの流入となり、21年6月以来の規模となった。
ETH関連の金融商品は、今年5月に発生したテラ(LUNA)ショックや大手ヘッジファンド「Three Arrows Capital(3AC)」など破綻の影響、DeFi(分散型金融)市場の混乱を背景に11週連続の流出超過を記録。その後、大型アップデート「The Merge(ザ・マージ)」に関する進捗が材料視され反転していた。
関連:ビットコインの下落止まらず昨年最安値割り込む、USTの影響でLUNA下落率は前週比-99%に
IntoTheBlockのデータによれば、イーサリアム(ETH)のクジラ(大口投資家)が保有するアドレスは過去1ヶ月で22.3%まで上昇した。ETH価格が1000ドルを割り込んだ6月中旬には21.2%まで低下していた。
一方、コインベース・プレミアムは米機関投資家の買い圧力が低いことを示しているため、市場のセンチメントは依然として芳しくない。
アルト相場
24日には、分散型音楽ストリーミングプラットフォームのAudiusから8.4億円相当のトークンが不正流出したことがわかった。これに伴い、ガバナンストークンのAUDIOは前週比22.5%安と大幅下落している。
スマートコントラクトの初期化コードにおける未発見のバグ(脆弱性)を悪用し、イーサリアムメインネット上のAudiusガバナンス、ステーキング、および委任契約を不正操作・侵害したものと見られる。
公式ブログによれば、関連:分散型音楽配信アプリAudius、8億円相当のコミュニティー資産が不正流出
他方、Diem系ブロックチェーンAptosは25日、資金調達ラウンドでFTXベンチャーズなどから約200億円を調達したことを発表した。Aptosは米メタ社のブロックチェーン事業「Diem」の元チームメンバーが携わるブロックチェーンで、メインネットローンチは年内に予定する。
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