米議員ら策定中の仮想通貨法案、アルゴ型ステーブルコインを2年間禁止か
ステーブルコイン法案の進捗
超党派の米議員ら2名が暗号資産(仮想通貨)やステーブルコインを規制する法案を策定中であることがわかった。関係筋の情報としてブルームバーグが報じた。
法案は米下院金融サービス委員会の会長を務める民主党のMaxine Waters議員と共和党のPatrick McHenry議員が策定中。
主な条項としては、発行主体が別に提供している暗号資産(仮想通貨)を「内因的に担保する」アルゴリズム型(アルゴ型)および無担保型のステーブルコインの発行を禁止する。また、法案はステーブルコインや秘密鍵、現金などの顧客資産と企業資産の混合を禁止する。法案の内容
注目されている条項は現金や米国債券など流動性の高い資産に裏付けされていないステーブルコインに対して2年の禁止令を発令する点だ。また、現在は担保型ではないステーブルコインを発行する団体などには2年の猶予期間が設けられ、この期間中にビジネスモデルの変更を申請できる。
今後も細部の修正が予想される反面、最新の法案では以下の性質を持つステーブルコインが内因的に担保されているステーブルコインに該当する予定だ。
一定額の金銭的な価値で換金、発行、又は再購入できると宣伝されるステーブルコイン
そして価格の安定性を一定に保つ為に同じ発行体を持つ仮想通貨を利用するもの
また、銀行だけではなく、銀行でない団体のステーブルコイン発行も認める条項も含まれている。
銀行はOCC(通貨監督庁)などから承認を得る必要がある一方で、銀行以外の団体における承認はFRB(連邦準備制度)が整備するよう指示する方向だ。
なお、銀行以外の団体は法案の可決後180日以内に登録すれば、今後もステーブルコインの発行が認められる。
実現のメドは
関係者によれば、現時点ではMcHenry議員が最新版の法案を認めていないと説明。早ければ来週投票するという楽観的な推測を示した。
ただ、米国では中間選挙が控える中、新たな法案を検討する時間は少なくなってきている為、法案が実現する可能性は低いとの見方もある。
同法案は22年7月より策定の動きが進められてきたが、草案段階で細部の合意で交渉が難航してきた。
テラ騒動を意識した動き
明言されていないが、法案が取り締まりを目論む「内因型のステーブルコイン」は22年5月のテラ(LUNA)やテラUSD(UST)のディペッグ騒動を意識した動きと捉えられる。
これまでにも仮想通貨反対派の民主党シェロッド・ブラウン議員やエリザベス・ウォーレン議員はテラ騒動がステーブルコインの規制策定の必要性を示すと指摘。金融経済全体へのリスクも懸念する声が上がっていた。
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米FRB(連邦準備制度)も6月に発行した金融政策報告書でステーブルコインの脆弱性を危惧。米財務省のイエレン長官なども既存の金融法に準拠する格好でステーブルコインも適切な監視の必要性があるとの見方がある。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します