SEC委員長ら、UST騒動に言及
米証券取引委員会(SEC)で暗号資産(仮想通貨)擁護派の「クリプト・ママ」として知られるへスター・パース理事は19日、USTディペッグ騒動を巡る規制当局の対応についてコメントした。
ブルームバーグのインタビューでパース氏は、ステーブルコインについてはこれまでも議会で取り上げられていたが、その議論がさらに加速するかもしれないと指摘。規制を明確化する必要があるが、これに関しては議会での議論が助けになる可能性もあるとした。
また、ステーブルコインがSECの専門分野に当たるのかどうかは、事実や状況にも左右されるが、それらは議会が模索していることであるという。
英FCAも警戒
さらにパース氏は、規制を制定する際、性急に動いてしまうと、これまでうまく機能していたものを破壊してしまう恐れがあるため、関係者の意見を聞きながら慎重に進めていくことが重要だとも述べた。
英国金融行動監視機構(FCA)のサラ・プリチャード市場担当責任者は18日、今年後半に英国の規制当局と財務省が仮想通貨規制に取り組む際、「ステーブルコインの不安定性についても絶対に考慮する必要がある」とした。プリチャード氏は、次のように続けた。
ステーブルコインの件は、上手く機能する市場や消費者保護といった側面について、現在みられる非常に重要な問題を正面から示すものだ。
先週、大きな値動きがあったことで、この問題が前景化し、人々が自分のお金を置く場所のリスクを理解しておくことの重要性が明らかになった。
英国のリシ・スナック財務大臣は4月に、ステーブルコインに関する規制計画を発表したばかり。
英国を「仮想通貨技術と投資の世界的ハブ」にするための一連の施策の一環としており、ステーブルコインが規制対象になることで、同国で認知された決済手段として使用される道が開かれるという。
また、同国のジョン・グレン大蔵大臣もステーブルコイン規制案について説明。「政府は、世界を主導するステーブルコインの規制体制を実現するために、法案を導入する予定だ」と述べており、「消費者は安心してステーブルコイン決済サービスを利用できるようになる」と言及していた。
英国は、こうした規制を制定していく上で、今回のディペッグ騒動も念頭に法整備を進めていく模様だ。
国際的な規制議論に波紋
ステーブルコイン「テラUSD(UST)」のディペッグとそれに伴うテラ(LUNA)の暴落を巡っては、すでにフランス中銀総裁や、欧州中央銀行(ECB)理事が懸念を示していた。仏中銀のガロー総裁は16日、UST騒動は「グローバルな規制が早急に必要であるという大きな警鐘」であるとコメントしている。
ECBのファビオ・パネッタ専務理事も同日に、ステーブルコインには「いつでも額面で償還できる保証」がないと論じ、信頼できるデジタルマネーとして中央銀行デジタル通貨(CBDC)を提供することの重要性を論じた。
G7主要国も19日、包括的な規制の迅速な策定・実施を進めるようFSB(金融安定理事会)に要請したところだ。
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ステーブルコインとは
ステーブルコインは暗号資産の一種で、BTCやETH、XRPなど変動性のある資産とは異なり、米ドルなどに裏付けられその価値($1)を保つことが目的だ。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、DAIやUSTといったアルゴリズムを利用するステーブルコインもある。
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