包括的な仮想通貨規制の策定と実施を促す
G7(先進7カ国)の財務相と中央銀行総裁は19日、暗号資産(仮想通貨)の規制策定を促す文書を発表した。ロイター通信などが報道した。G7は18日から20日にかけて、ドイツで会合を開いているところだ。
文書は、「仮想通貨市場における最近の混乱を考慮して、G7はFSB(金融安定理事会)に、一貫した包括的な規制の迅速な策定と実施を進めるよう要請する」としている。
「最近の混乱」は、ステーブルコイン「テラUSD(UST)」のディペッグとそれに伴うテラ(LUNA)の暴落という一連の騒動を指しているとみられる。
この件については、仏中銀のフランソワ・ヴィルロワ・ド・ガロー総裁が、現在開催中のG7の議題に含まれる可能性を示唆していた。総裁はUSTディペッグを巡る騒動を背景として、「世界的な規制の必要性」を明確にしたと発言。欧州のMiCA法案やG7会議で、規制を巡る議題を取り上げることになるだろうと推測していた。
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MiCAとは
Markets in Crypto Asset(仮想通貨市場)の略称。2020年9月に欧州委員会(EC)が提案した、欧州連合(EU)加盟国全域を対象とする仮想通貨の規制案。欧州の仮想通貨市場の制度化促進を目指すもので、成立後には、現在EU各国で解釈の異なる仮想通貨規制の一貫化が期待されている。
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フランス中銀総裁、ECB理事発言
仏中銀のガロー総裁は16日、国際金融システムのリスクについて語り、地政学リスクに加えて、仮想通貨が無秩序に発展した場合のリスクについても話していた。
ガロー総裁は、「ステーブル(安定)コイン」というのは「やや誤った名称」であり、「ここ数週間の混乱が示すように、仮想通貨は非常に不安定である」としている。その上で、規制の必要性について以下のように説明した。
私たちは以前から、このような投機的な投資のリスクを強調してきた。しかし、それだけでは十分ではない。今回のことは、グローバルな規制が早急に必要であるという大きな警鐘として受け止めなければならない。
欧州側のMiCAは正しい道を開くものだ。法域を越えて一貫した適切な方法で規制、監督、相互運用されなければ、仮想通貨は国際金融システムを混乱させる可能性がある。
また、欧州中央銀行(ECB)のファビオ・パネッタ専務理事は16日、ステーブルコインについてUSTのディペッグに触れながら「いつでも額面で償還できる保証はない」と述べている。ステーブルコインは、預金保険に加入しておらず、各国中央銀行に支えられていないため、暴落に対して脆弱であると話した。
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さらに、「非現金決済の普及と仮想通貨の拡大により、即時決済やデジタル化への要求が高まっていることが明らかになった」と指摘。
公的セクターがこの需要に応えなければ、民間セクターがこれに対応するだろうとして、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の重要性を論じている。パネッタ理事は次のように語った。
中央銀行が発行するデジタルマネーは、誰もがデジタル決済に公的資金を利用できる可能性を提供することになる。それは、公共の利益のために設計された、健全で信頼できる決済手段だ。
CBDC(中央銀行デジタル通貨)とは
各国・地域の中央銀行が発行するデジタル化された通貨を指す。仮想通貨との大きな違いは、CBDCはデジタル上の法定通貨であること。通貨の管理や決済等においてコスト削減や効率性向上が期待できる一方で、個人情報やプライバシーの保護、セキュリティ対策、金融システムへの影響など考慮すべき課題は多い。
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