UST暴落の法的影響
暗号資産(仮想通貨)相場で波紋を呼ぶテラ(LUNA)および無担保型のステーブルコイン・テラUSD(UST)の急落が米議会でも注目を集めている。
米上院銀行委員会の議長を務める民主党のシェロッド・ブラウン議員は共和党は仮想通貨関連のリスクを軽視していると批判。2008年の金融危機に至ったデリバティブ市場の状況と比較しながら以下のようにコメントした。
彼らの会合は仮想通貨の将来性を信じている。しかし、仮想通貨のもたらすリスクについては無関心だ。
我々(民主党)は共和党とは違い、億万長者を生み出すシステムの持つ本来のリスクを認知している。
また、ブラウン議員はテラUSDの急落はステーブルコイン規制の必要性を示す事例だと指摘。規制されていない金融システムのもたらす脅威とその深刻さを露わにしたと語った。
一方で、仮想通貨関連の業界ロビー団体が活動を続ける限り、仮想通貨法案の実現は難しいとコメント。SECや米連銀、FDICやCFTC、OCCなどと連携して法整備を行なっていく方針だと述べている。
民主党派の見解
また、仮想通貨やDeFi(分散型金融)などの懐疑派として定評のあるエリザベス・ウォーレン議員はCoinPost提携メディアThe Blockに対して、以下のようにコメントした。
我々はステーブルコインが消費者だけではなく、経済全体にもたらすリスクに対応していくべきだ。管轄が行き届かなかったり、裏付け資産がない場合、金融システム全体にとって脅威となり得る。
同じく民主党のコルテズ・マスト議員も今週10日に開催された公聴会で同様の見解を示しており、「仮想通貨市場は(2008年の)金融危機を引き起こしたサブプライム市場を上回る規模に達している」と警鐘を鳴らしていた。
共和党派
一方、共和党のパット・トゥーミー上院議員はUSTの状況について、海外メディアCoinDeskに対して以下のようにコメントした。
テラの一件で、ステーブルコインに対して再び注目が集まるのは合理的だと思う。
しかし、失敗も選択肢の一つであるべきだ。この領域では幾つの失態を経てから市場がようやく解決策を見出すことになるだろう。
早急に規制枠組みの策定を目指す民主党議員とは対照的に、新興市場の淘汰と成長を見守るべきとの意見を示している。
UST暴落の波紋
ステーブルコインに対する規制はこれまでも言及されてきたが、「ステーブル」性を謳う暗号資産の急落は法整備の必要性を露わにしたとする声も少なくない。
米財務省のジャネット・イエレン財務長官もUSTのディペッグ化が仮想通貨市場の金融安定性やリスク管理を行う法制化が必要性を示していると発言しており、年内を期限にあげている。
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