2024年、エアドロップシーズンの幕開けか?VC投資動向が示すトークン発行ラッシュの兆し
エアドロップ・シーズンへの期待
2024年に向けて、暗号資産(仮想通貨)の世界では「エアドロップのシーズン」としての期待が高まっている。
2023年にはArbitrum、Celestia、Pyth Network、Jitoなどのプロジェクトが注目を集め、初期ユーザーに対するトークン報酬の配布を行った。一部のプロジェクトでは、ユーザーが平均1万ドル相当の報酬を受け取っている事例も報告された。
エアドロップは、新しいユーザーをエコシステムに惹きつけする戦略として用いられる一方で、プロジェクトに投資したベンチャーキャピタル(VC)へのリターンを提供する目的も持つとされる。
ブラジルの研究組織Paradigma EducationのリサーチャーChico氏は仮想通貨メディアCryptoBriefingに対して、2024年にVCにとってエアドロップを通じた資金回収の時期が来るとの見解を示した。
2022年に、VCによる仮想通貨スタートアップに対する出資額が、221億ドル(過去最高額)に上ったことが主な根拠だ。
VCへのトークン配分は通常、発行後1年間のベスティング(権利確定待機期間)を経ることを踏まえると、2024年にプロジェクトがトークンを発行すると考えることは妥当だ。2025年まで続く強気市場を考慮すると、VCはこの期間中にトークンを売却する機会を得る。LayerZero、EigenLayer、zkSyncなど、大規模なエアドロップが予測される。
CoinGeckoの統計によれば、2022年には分散型金融プロジェクトへの仮想通貨スタートアップの資金調達額が27億1,000万ドルに達し、前年比で190%増加した。これは、2021年に調達された9億3,000万ドルのほぼ3倍であり、DeFiブームが最も盛り上がった2020年に調達された6,500万ドルの41倍以上だ。
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エアドロップの目的
本来エアドロップはトークンの分散化と、ガバナンス提案に関与するユーザーを引きつける手段として使用される。Chico氏によると、イーサリアムのレイヤー2ブロックチェーン、Cosmosエコシステム、ソラナ上のdAppsなど様々な機会が見込まれる。
しかし、トークンのコミュニティへの配分には限りがある。エアドロップの対象者が増えるほど、一人当たりに配布されるトークンの量は減少し、個々のユーザーの受け取る利益は希薄化してしまう傾向にある。
また、初心者や一般のユーザーがエアドロップを受け取るハードルが上がっている現状もある。エアドロップを受け取るためには通常、ブロックチェーン上でのトランザクション履歴が必要になるが、エアドロップの資格要件は徐々に複雑化しており、より活動的で忠実なユーザーを優先すべく、継続性や特定の金額閾値を設けるプロジェクトが増えてきている。
さらに、スマートコントラクト詐欺が横行しており、不注意な契約の署名によって資金を失う危険があるため、慎重さが求められる。ブラジルの研究チームModular Cryptoの共同創業者であるMatheus Guelfi氏は、「プロジェクトごとに個別の評価が必要であり、全てのエアドロップが大きな報酬をもたらすわけではない」と指摘した。
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エアドロハンティングはリスク管理が重要
また、仮想通貨ウォレットMetamaskの開発組織を傘下に持つ米Consensysによれば、dAppsへのトークンアクセス権限を許可する前にリスクを評価することが推奨されている。
主なチェック項目には、プロジェクトの評判、稼働期間、正当なコミュニティチャネルの存在、開発者の透明性、スマートコントラクトの監査の有無、ブロックエクスプローラーでのコントラクトアドレスの確認などが含まれる。
さらに、DEXを利用する際には「Custom Spend Limit」フィールドを活用してアクセス権に制限を設け、Metamaskではトークン数量のアクセス承認を管理することで、不必要なリスクを避けることができる。
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