- マネーフォワードフィナンシャル神田社長に独占インタビュー
- 5月23日にマネーフォワードの仮想通貨事業の参入に伴い、設立されたマネーフォワードフィナンシャル株式会社の神田潤一代表取締役社長にCoinPost独占インタビューを行いました。プレスリリースを元に同社が発表した今後の仮想通貨事業の構想と、インタビュー内容を合わせて解説しております。
マネーフォワード仮想通貨交換事業参入へ
5月23日、株式会社マネーフォワードはブロックチェーン・仮想通貨の普及と実用化を目指し、ブロックチェーン・仮想通貨に関するメディア事業と仮想通貨交換事業に参入し、同事業を新設のグループ会社マネーフォワードフィナンシャル株式会社で行う事を発表しております。
事業内容
1.メディア事業(2018年夏予定)
・ブロックチェーン・仮想通貨関連のニュースや国内外の交換所の価格比較などを発信
・ブロックチェーン・仮想通貨の基礎的な理解の促進を通じて普及を後押し
2.仮想通貨交換所(金融庁へ仮想通貨交換業者登録のための手続きを開始、審査中)
・セキュリティを最優先し、仮想通貨交換所を開設
・UI/UX と利便性にこだわり、取引履歴や資産状況を分かりやすく表示
3.送金・決済プラットフォームの構築(予定)
ブロックチェーン・仮想通貨をハブとして、法定通貨や電子マネーなどあらゆる決済 手段がつながる送金・決済プラットフォームを構築
・ブロックチェーン・仮想通貨の実用化による金融サービスの利便性の向上
神田潤一社長へ独占インタビュー
- ―Q1.マネーフォワードグループが仮想通貨事業に参入した経緯とは
既に展開している自動家計簿・資産管理サービス「マネーフォワード」内で、仮想通貨取引所と連携し保有残高を把握できるようにするなど、仮想通貨に関連する機能をもっと拡充してほしいという声が寄せられるようになったのがまず一点。
そしてもう一点は、仮想通貨やブロックチェーンの業界に資金や人、ユーザーさんが集まってきており、使い勝手がよく、支持されるサービスが生まれるような下地、基盤ができあがりつつあります。
そのようなイノベーションが生まれる業界をキャッチアップして既存のユーザーさんに利便性の高いサービス提供をしていくことを、私どもとして取り組んでいく必要があると考えています。
- ―Q2.メディア、仮想通貨交換所、送金・決済プラットフォームの構築という三つの事業を行なっていくと発表された。狙いと今後の構想については
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今回、マネーフォワードフィナンシャル社の立ち上げにあたり、仮想通貨取引経験のある(マネーフォワードの)既存ユーザーに対し、「2018年は去年と比べてどういうスタンスで取引を行うか」というアンケートを取りました。その結果が以下の図になります。
コインチェックの事件が発生し、仮想通貨の相場が低迷している中、取引が減少していくのではないかと考えていたところ、昨年と同程度の取引を行う予定と回答したユーザーさんが44%、昨年以上に取引を行うと答えたユーザーさんが39%という結果となり、ユーザーさんの関心が非常に高いと感じております。
その他、仮想通貨取引をしたいけれども取引を開始していないユーザーさんにその理由についてアンケートを取ったところ、以下の結果となりました。
コインチェックの事件などを受けてなのか、セキュリティに不安があるといった回答がトップでした。
一方で、取引のタイミングや、仮想通貨の交換所が数多くある中でどこで取引をしていいか分からないなど、仮想通貨の基本的な情報や理解不足が要因で、取引になかなか踏み出せていないというのがアンケートからわかりました。
この結果から、仮想通貨の交換所の機能を提供するだけでなく、仮想通貨を理解し、安心して仮想通貨の取引を行っていただく必要があるため、私どもとしてもメディアの機能を持つ必要があると考えました。
また、仮想通貨を単純に保有するという事だけではなく、仮想通貨を持っていただいた上で決済や送金など様々な金融サービス上で仮想通貨を使っていただく機能がその先に必要になるだろうというところで、仮想通貨交換所、メディア、決済・送金プラットフォームの三つの機能を基本的なコンセプトとして(仮想通貨事業を)考えております。
- ―Q3.仮想通貨交換所は、仲介販売を行う販売所と板取引ができる取引所の機能の二つに大別されるが、どちらを行う予定なのか
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ユーザーさんに仮想通貨を持っていただいた上で金融サービスに(仮想通貨を)使っていただこうと展望しておりますので、最低限仮想通貨を法定通貨と交換する、持つという観点から販売所の機能をまず提供していきたいと考えております。
板取引などを中心とする取引所については、販売所の機能を整備した上で整備していきたいと考えております。
- ―Q4.仮想通貨交換所については競合が多いが、勝算は
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マネーフォワード (アプリ)には、既存の650万人の利用者がいます。
現在は(同アプリ上で)様々な金融関連サービスの残高や利用履歴が一元管理できる機能を提供しておりますが、その見える化できた金融資産や預金について残高を活用したいというニーズが出てくると想定しております。
今後、仮想通貨は決済や送金などの様々な金融サービスのハブのような形で使われていくのではないかと考えており、資産や預金を仮想通貨に交換して、マネーフォワード・アプリ上で一元管理ができる。
そういった形でシナジーを働かせていくことで、マネーフォワードとしての強みが発揮できるのではないかと考えております。
- ―Q5.金融庁への登録に時間がかかるという課題をクリアする為に、既に仮想通貨交換業者として登録済みの企業やみなし業者を買収する動きがあるが、それは考えていないのか
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常に様々な可能性は検討しております。
当然、登録済みというステータスがあれば早めにビジネスを始められるという面はあるでしょうし、一方で登録済みというステータスを持っている事業者さんが体制を整備していく中で、資本や人材など様々な面を中々自前で整備していく事が難しいといったこともあるでしょう。
そこは私どもに限らず、外部の人材や外部の事業者さんと一緒に体制整備を図っていくという選択肢も当然あるのではないかと考えております。
私どもとしても、様々な業者さんとの対話の中であらゆる可能性を考えておりますし、それが登録というステータスを持っている事業者さんと一緒に取り組んでいくという可能性も選択肢の一つとして十分にあると考えております。
まとめ(CoinPost考察)
今回は、仮想通貨交換業参入と話題の中心にあるマネーフォワードフィナンシャル社の神田潤一社長にお話を聞く事ができました。
コインチェックの事件や仮想通貨相場の低迷にもかかわらず、仮想通貨への取引ニーズが依然として高い事や、取引所セキュリティだけでなくどのような点が仮想通貨取引への壁になっているのか、同社の調査結果は非常に興味深いものです。
今後、顧客のニーズに応じたサービス提供をしていく同社の展開に仮想通貨市場、ユーザーからも更に関心が高まる事でしょう。
様々な企業が仮想通貨事業への参入を発表しておりますが、マネーフォワード(アプリ)の650万人の顧客基盤を持つ企業はそう多くはいないでしょうし、現在この市場において顧客基盤の厚さでいえばトップクラスに違いないでしょう。
仮想通貨市場に旋風を巻き起こすのか、同社の今後に注目です。