CoinPostで今最も読まれています

仮想通貨のPoS(プルーフ・オブ・ステーク)とは|PoWとの違いとメリットを解説

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

仮想通貨のPoS(プルーフ・オブ・ステーク)とは

仮想通貨のPoSとは「Proof of stake」の略で、ブロックチェーンにおけるガバナンスモデルのひとつです。具体的な話をする前に、イメージをお伝えします。このイメージを浮かべつつ、本文を読み進めてください。

PoSは、株式会社の株(債券)と似たような仕組みです。

株式会社の社員でない者が、特定の株式会社の運営に多かれ少なかれ関わる場合、その部外者は投資家として株を購入します。株式会社では、1株が1票のような働きをもつため、経営者選びや会社方針の策定に多少の影響を与えることができます。

もちろん、保有する株の数が多くなればなるほど、その影響力は大きくなります。

株はお金で購入することができ、その会社の経営がうまく運び、会社が大きく成長すれば、その株の価値は上がり、投資家は配当を受けれるようになります。

実は、PoSはこれと似ています。ブロックチェーンでのPoSは、株がStake(掛け金)にあたり、その量によって受け取ることのできる暗号通貨量が変動します。株では会社の成長により株価が変動し、配当も増えます。PoSでは、Stakeした暗号通貨の量により、受け取れる報酬が変動します。

なぜPoSに注目が集まっているのか

PoSの存在自体は、ブロックチェーン業界の開発者や関係者の間で以前より知られており、数年にわたり大きな議論対象のひとつでした。

しかし、とりわけ2019年後半頃より一層議論が白熱化しています。その理由のひとつは、仮想通貨イーサリアムのコンセンサスアルゴリズムがPoSへ移行することにあります。

イーサリアムは、開発が始まった当初から、複数の段階を経てプラットフォームとして完成されていくことを標榜してきました。

インターネットがかつてはダイヤルアップだったものが、徐々に進化してADSL、光ファイバーと通信ケーブルが進化すると同時に、通信速度が向上しました。それと同様に、イーサリアムが処理できるトランザクション量を増やす、つまり決済や送金にかかる時間を短縮したり、より多くのユーザーが快適に利用できるようになるために必要なアップデートを、数年間かけて行っていくのです。

現在イーサリアムで利用されているコンセンサスアルゴリズム、PoW(Proof of Workでは、スケーラビリティの限界が問題視されています。

PoWでは、一度に処理できるトランザクション数に限界があり、増加し続けるユーザーやDapp数に対応しきれなくなり、結果としてトランザクションの遅延、およびガス代の増加に繋がっていきます。イーサリアムでは、この課題を解決するためにPoSを基盤にしたイーサリアム2.0(ETH2.0)へのアップグレードを計画しています。

20年にはPoSが導入されるイーサリアム2.0のテストネットがローンチされ、翌21年にはPoSへの完全移行が予定されており、多くの論争が巻き起こっています。

現状のイーサリアムからPoSを採用するイーサリアム2.0への移行がどのように行われるのか、現状のイーサリアムとどのような違いがあるのか、PoSは想定通りに機能するのかなど複数のテーマについて、世界中の開発者や起業家、経済学者などが熱い議論を重ねてきました。

コンセンサスアルゴリズムとは?

多くの人が参加するプラットフォームやネットワークでは、その場を利用するためのルールはもちろんのこと、運営・管理している主体のガバナンスも重要です。

そのネットワークの秩序を誰が保ち、そのために参加者にどのような行動をとらせるかは、誰もが参加でき、金銭を含む価値のやりとりが行われるブロックチェーンでは非常に重要です。悪意のある人物が存在しても、悪事を働けない仕組みが不可欠です。

とりわけ、パブリックブロックチェーンを利用したアプリケーションやシステムにおいては、特定の管理者が置かれないことが原則となっています。

そのため、中央集権的な組織・個人が運営するプラットフォームで発生しうるリスク、例えば利用者の個人データをユーザーの知らないところで売買したり、価値交換について恣意的な操作を加えたり、妨害したりするといった事態が発生しにくくなっています。

こうした理由から、それぞれのブロックチェーンアプリケーションや暗号通貨には、それぞれのアルゴリズムが立案・実装されています。

この記事では、PoSについてお伝えしていますが、理解しやすくするためにPoW(Proof of Work)についても触れます。

PoWもPoSも、それらが採用されているネットワークのインセンティブとしてのコインの新規発行のルール、そのネットワークの維持・運営に関わるノードにどのような条件や配分で報酬を与えるのかを定めています。

ブロックチェーンは様々な暗号通貨に採用されていますが、その暗号通貨の価値や取引の記録を保管するための仕組みがブロックチェーンであり、そのブロックチェーンに取引記録を書き込むためのルールが、コンセンサスアルゴリズムです。

合意の仕方、という意味合いになりますが、暗号通貨のように特定の企業・人が取引をコントロールしない仕組みを実装する上で、どのようなコンセンサスアルゴリズムを採用するかは非常に重要です。

PoWの仕組み

PoW(Proof of Work)は、特定の計算問題を早く解いたノードが報酬を受け取るコンセンサスアルゴリズムです。

ビットコイン(BTC)のPoWが有名で、ビットコインでは計算問題を一番最初に解いたノードがブロックを追加します。PoWは、計算問題の答えをいかに早く出すか、つまり、計算処理能力の高いマシン(ノード)がブロック形成と新規コインの発行を担っている形になります。

PoWでは、計算処理能力を高めるために、複数のマイナーがグループを作ることがあります。

このグループはマイニングプールと呼ばれ、マシンパワーを結集して自分たちだけが優位に計算できるように結託します。すると、一部のマイナー達にブロック生成権が偏ることとなり、個人でノードを運営する弱小マイナーはネットワークに参加しなくなります。

こうなると、マイナー数は減り、51%を超えるマイニングプールが誕生しやすくなり、そのブロックチェーン上でのトランザクションがマイナー達によって改ざんされるリスクが高まります。

もうひとつ、PoWの欠点は消費電力が大きいことです。強力な計算処理能力を持つマシンは、その消費電力量も大きくなります。PoWのマイニングに多額の電気代がかかってしまうため、現在は電気代が安い中国などへマイニングが集中しています。また、電力消費による環境への影響も懸念されています。

PoSの仕組み

PoSは、保有する資産の多さによってブロックチェーンに新たなブロック追加を承認するノードが決まる仕組みです。

ブロックの内容に誤りや不正がないことを証明するのは、計算ではありません。この証明を行うノード、およびその所有者が、一定水準以上の資金を掛ける(預け入れる、投資する)ことが承認者となるための条件です。

この承認者は、掛けた金額に応じて、ネットワーク上のトランザクション手数料を報酬として受け取ります。

ただし、これでは大富豪がマイニング報酬を独占することにもなってしまうため、アルゴリズムによっては掛け金を保有している期間の長さ、利用した掛け金の量、あるいはランダムで承認者を決定するPoSアルゴリズムもあります。

PoSは、PoWの欠点のひとつである消費電力量を削減することができます。なぜなら、必要なのは計算処理能力の高いマシンではなく、そのネットワークを維持するために必要な資金だからです。

また、PoSのようにマイニングプールが作られることにより、51%攻撃に対して脆弱になる心配もありません。なぜなら、51%攻撃を仕掛けることで自身が掛け金としてステークしている資産の価値が下がる可能性があるためです。

特にイーサリアム2.0におけるシャーディング導入では、51%攻撃の観点からPoSが重要視されています。ブロックチェーンのシャーディングとは、トランザクションの検証作業をグループ毎に分割して行う技術のことであり、これにより処理能力が飛躍的に改善すると言われています。

シャーディングにPoWを採用した場合、ブロックチェーン分割によって競争率が低下し51%攻撃に曝されるリスクが高くなってしまうため、イーサリアムのシャーディング導入は、PoSへの移行が前提となっています。

さらには、PoSはPoWよりもブロック生成時間が短くて済みます。例えば、PoWを採用しているビットコインでは、送金ごとに最低でも10分ほど待つ必要がありますが、PoSであれば数秒でトランザクションが完了します。PoSに移行することで、より多くの人が暗号通貨を利用し、かつ、その暗号通貨のやりとりにかかる時間が大幅に削減することが期待されています。

CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
03/29 金曜日
14:34
イーサリアム共同創設者ブテリン氏、Dencun後の改善点を語る
仮想通貨イーサリアムの共同創業者ヴィタリック・ブテリン氏は、Dencunが完了した今後の技術的な改善点を提案した。
14:11
CoinTradeがソラナ含む4銘柄の取扱い開始、ステーキングサービスにSOL追加
暗号資産(仮想通貨)販売所CoinTradeがソラナを含む4銘柄の取り扱いを開始。ステーキングサービスにSOLを追加した。条件をクリアすることでSOLをプレゼントするキャンペーンを開催中。ジパングコイン(ZPG)など三井物産デジタルコモディティーズも新規で取り扱う。
12:55
日本DAO協会4月1日に立ち上げ 府令改正も同日公布
日本DAO協会が4月1日に設立される。DAOの自主規制や健全なエコシステムづくりを推進していくもので、協会自体の運営もDAOで行う計画だ。
12:24
ビットコイン7万ドル台で高止まり、ブラックロックの新規ファンド好調でRWA関連銘柄買われる
暗号資産(仮想通貨)市場ではビットコインが7万ドル台新高値をうかがう展開。アルト相場ではブラックロックのトークン化ファンド「BUIDL」絶好調の影響で、ONDOなどのRWA関連銘柄が買われた。
11:30
Googleサーチ、ビットコインやArbitrumなどのアドレスで資産残高を確認可能に
全ての資産を表示するわけではなく、残高は各ネットワークのネイティブトークン(ETHやARB、OPなど)のみを表示。
10:50
5月のローンチ目指す、香港でビットコイン現物ETF申請のVSFG
仮に香港で承認された場合、アジア初の事例となり、今後日本でのビットコインETF上場や発行にも追い風になりうるとみられる。
10:00
FTXのサム前CEOに懲役25年の判決 カリフォルニアで服役へ
米国地方裁判所の判事は28日、破綻した仮想通貨取引所FTXのサム前CEOに対して懲役25年、および最大1.7兆円の資産没収という判決を言い渡した。
08:40
2.6兆円相当のBTC保有数到達、ブラックロックのビットコイン現物ETF
純流入再び加速 ブラックロックのIBIT・ビットコイン現物ETFの運用資産は初めて、250,000 BTC(2.6兆円)を超えた。1月11日の取引開始からわずか11週間で2兆円…
08:10
Wormholeの仮想通貨「W」、取得開始日明かす
Wormholeは、今月7日に、Wトークンのエアドロップアロケーションや適合対象アドレスを公開。ソラナ、EVM系、Sui、Aptos、Osmosis、Injectiveといったネットワークでのユーザーや、ソラナNo.1NFTコレクションである「Mad Lads」のホルダーを対象としている。
07:40
米投資会社、マイクロストラテジーの株はBTCより割高と指摘
マイクロストラテジーの株価から概算する仮想通貨ビットコインの価格は17万ドル超であると米ケリスデールが分析。同社の株は、ビットコインに対し正当ではないプレミアムがついて取引されているとの見方を示した。
07:20
アバランチ財団「Codebase」、最初の支援プロジェクト15社を選出
アバランチではすでに「Colony Lab」という分散型アクセラレーターが活動しているが、今回Codebaseと連携し支援対象への資金提供を拡大し、1プロジェクトにつき、100万ドルを超える金額を提供する可能性がある。
06:45
5月承認の可能性低いもBitwiseらがイーサリアム現物ETFの上場申請行う
イーサリアムETFが現在の多くの申請の最終期限となる5月に承認される見込みは、SECがイーサリアム財団を調査しているとの報道などを受け大幅に後退している。1月には70%あったが、現在は20%程度まで低下してきた模様だ。
05:50
Bybit、ソラナミームコイン「POPCAT」の永久先物提供
ソラナの仮想通貨ミームコインへの需要は未だ高い。代表的な犬系ミームコイン「WIF」は29日過去最高値を更新し、前日比で20%上昇している。
03/28 木曜日
17:35
分散型AIの3大プロジェクトが団結、新トークン「ASI」に統合へ
SingularityNET、Fetch.ai、Ocean Protocolが人工超知能連合を結成し、各プロジェクトの暗号資産(仮想通貨)を新トークンASIに統合する計画を発表。単一の分散型AIネットワークとしてリニューアルを目指す。AGIの父と呼ばれるベン・ゲーツェル博士が主導する。
15:58
ビットコインのレイヤー2「BEVM」ローンチ
BEVMがメインネットをローンチ。暗号資産(仮想通貨)ビットコインをガス通貨として利用するEVM互換のレイヤー2ネットワーク。シリーズAで数十億円を調達し、分散型ビットコインクロスチェーンカストディサービスを実現。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
イベント情報
一覧
2024/04/06 ~ 2024/04/09
香港 香港コンベンション・アンド・エキシビション・センター3FG
2024/04/09 14:00 ~ 16:00
その他 オンライン
2024/04/13 ~ 2024/04/14
東京 東京都港区
2024/04/13 10:00 ~ 17:00
その他 オンライン
重要指標
一覧
新着指標
一覧