ステーブルコイン店頭決済実証 体験レポート
ローソンでJPYC決済を体験 コンビニのレジで払うステーブルコイン
〈写真左から、キャナルペイメントサービス代表取締役社長の清水亮佑氏、JPYC代表取締役の岡部典孝氏、HashPort代表取締役CEOの吉田世博氏、ローソン金融カンパニー兼マーケティング戦略本部部長の田村太郎氏 提供:HashPort〉
東京都にあるローソン高輪ゲートウェイシティ店で、POSレジを使ったステーブルコイン店頭決済の実証実験が実施された。利用したのは株式会社HashPortのウォレット「HashPort Wallet」と、円建てステーブルコインの「JPYC」だ。
現地取材のために参加したCoinPost編集部も実際に会計を済ませたが、スマートフォンにバーコードを表示してレジで読み取ってもらうと、支払いはスムーズに完了した。
POSレジに直結する国内初の試み
今回の実証実験は、ローソン店舗へのステーブルコイン決済の導入を検討するために行われたもので、デジタル資産を活用した決済基盤やサービスを提供する株式会社HashPort、そしてキャナルペイメントサービス株式会社の協力のもとで実施された。POSレジでのステーブルコイン決済の実証実験は国内初の試みとなるとのこと。
これまで小売店舗でステーブルコインを使う場合は、通常のレジとは別に専用の決済端末を置いたり、QRコードを掲出したりする必要があった。今回は利用者がスマートフォンに表示したバーコードをPOSレジで直接読み取り、ゲートウェイ事業者がウォレット事業者と決済情報をやりとりする方式をとる。ステーブルコイン用の端末をレジに追加する必要はない。
補足:店舗のPOSレジと利用者のウォレットの間は、キャナルペイメントサービス株式会社が提供するマルチコード決済ゲートウェイサービス「PAYTREE」が仲介する。レジで商品と支払い用バーコードを読み取ると、決済情報がゲートウェイ経由でウォレット事業者に送られ、残高の確認と取引可否の応答が返ってくる。店舗側の決済受け入れにはHashPortの企業・店舗向けサービス「HashPort Wallet for Biz」が用いられ、これがコンビニのPOSに組み込まれた。店舗が自らウォレットを開設して管理する必要はない。
実証は2日間の日程で組まれている。8月6日はローソン高輪ゲートウェイシティ店で、HashPort WalletとJPYCを使用。8月17日はローソンゲートシティ大崎アトリウム店で、MetaMaskを使いUSDC、USDT、JPYCの3種類を対象に実施する。いずれも対象者は関係者に限定されており、一般の来店客は参加しない。検証項目は、POSシステムとの連携要件、レジオペレーションの検討、決済にかかる時間、ウォレットの操作性などだ。
補足:今回の舞台となったローソン高輪ゲートウェイシティ店は、KDDIとローソンが2025年6月に開いた未来型店舗「Real×Tech LAWSON」の1号店にあたる。TAKANAWA GATEWAY CITYのTHE LINKPILLAR 1 NORTH 6階に位置し、AIカメラと連動するサイネージ、飲料陳列や清掃を担うロボティクス、3Dアバターによる遠隔接客などを実装した実験拠点として運営されている。新しい決済手段の検証を持ち込む場としては、もともと相性のよい店舗といえる。
バーコード提示だけ、体感5秒での完了
実際の手順は、既存のコード決済とほとんど変わらない。商品をレジに出し、スマートフォンでウォレットアプリを開いて支払い用のバーコードを表示する。あとは店員がスキャナーで読み取るだけだ。今回の決済はPolygon上で処理され、読み取りから完了画面の表示までは体感で5秒ほどだった。
HashPortは、ガスレスでステーブルコイン決済を行った事例としても日本初になるとしている。
補足:ブロックチェーン上で送金や決済を行う際は、通常ネットワーク手数料(ガス代)が発生し、利用者がその分の通貨を用意しておく必要がある。ガスレスはこの負担を利用者に求めない方式で、コンビニのように少額決済を数多くさばく場面では導入のハードルを下げる要素になる。
レシートに残った「stablecoin」の一行
会計を終えて受け取ったレシートには、支払い方法として「stablecoin」と印字されていた。日付は2026年8月6日、金額は322円。軽減税率の対象商品を1点購入した、どこにでもある買い物の記録だ。
クレジットカードや電子マネーと同じ欄に、同じ書式でステーブルコインが並んでいる。ブロックチェーン上の資産が、コンビニの会計処理のなかで一つの決済手段として扱われていることが、この一行に集約されている。
現場に集まった各社の顔ぶれ
当日の店舗には、実証に関わる各社の経営陣や担当者が顔をそろえた。決済ゲートウェイを担うキャナルペイメントサービス株式会社の清水亮佑代表取締役社長、JPYCを発行するJPYC株式会社の岡部典孝代表取締役、ウォレットを提供する株式会社HashPortの吉田世博代表取締役CEO、店舗を運営する株式会社ローソンの金融カンパニー兼マーケティング戦略本部部長の田村太郎氏らが出席した。このほかにも各社の関係者が集まり、店内は取材陣を含めて人だかりができていた。
形式ばった発表会ではなく、それぞれが自分のスマートフォンで実際に支払ってみる場になっていたのが印象的だった。会計を終えた画面を見せ合いながら、決済の速度や画面遷移について言葉を交わす場面もあった。
8月17日の第2弾と、その先
実証は8月17日に第2弾が控える。ローソンゲートシティ大崎アトリウム店でデジタルウォレットのMetaMaskを使い、USDC、USDT、JPYCの3種類を対象に、同じくPOSレジ連動での決済を検証する。円建てだけでなく米ドル建てのステーブルコインも対象に含まれる点が、6日の実証との違いだ。
ローソンは2026年8月中に追加の実証実験も予定しているとしており、店舗におけるステーブルコイン決済の可能性を引き続き探る構えだ。今回の実証はいずれも関係者に限定した検証であり、一般の利用者が店頭でステーブルコインを使えるようになる時期は示されていない。
それでも、専用端末を置かずに既存のPOSレジへ収まったこと、そしてレシートに一つの決済手段として印字されたことは、ステーブルコインが実験の対象から日常の決済手段へ近づくうえでの現実的な一歩といえる。



WebX完全ガイド
TOP
新着一覧
取引所
WebX








































