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マイニング企業のAIシフトは不可逆的か、完全撤退も相次ぐ=コインシェアーズ分析

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

この記事のポイント
  • コインシェアーズ分析、BTCマイニングの採算悪化でAI・HPC転換が加速
  • Keel・IRENなどが採掘から完全撤退、データセンター事業へシフト

採算悪化と事業撤退

仮想通貨資産運用会社コインシェアーズ(CoinShares)は15日、2026年第2四半期(Q2)のビットコインマイニング業界を分析した「Bitcoin Mining Report Q2 2026」を公表した。レポートでは、マイニング事業の採算悪化に加え、AI・HPC(高性能コンピューティング)向けデータセンター需要の拡大を背景に、マイニング企業が採掘事業からAIインフラ事業へ転換する動きが加速していると指摘した。

採算割れが常態化する中、Q2は上場マイニングセクター全体が、現金収支ベースの損益分岐点を下回る四半期となった。レポートによると、上場マイナーの加重平均現金コスト(税引前)は1BTC当たり約7万5,500ドルに達した一方、ビットコイン価格は四半期末時点で5万8,400ドルと、2025年10月の史上最高値の半分以下にとどまった。

ハッシュレートはトレンドを約50%下回る水準となり、ハッシュ価格(1PH/sあたりの1日収益)は、6月に27.7ドル/PH/s/日と史上最低値を記録した。

こうしたマイニング環境の悪化を受け、ビットコインの採掘から完全に撤退し、AI・HPC向けデータセンター事業への転換を進める企業が相次いでいる。

Keel(旧Bitfarms)は6月29日に最後のマイニング拠点を停止し、第3四半期のマイニング収益がゼロとなる見通しだ。コインシェアーズは、同社をマイニング事業から撤退した企業として扱い、本レポートの上場マイナーの集計対象から除外している。

IRENも2026年末までにマイニング事業から撤退する計画を示しており、Cipher Digital (旧Cipher Mining)も追加設備投資を停止し、2027年末までの撤退を見込んでいる。

KeelとCipher は保有するビットコインを売却する一方で、資本をデータセンター開発へと振り向けているとレポートは付け加えた。

Core Scientificは、マイニング業界の構造変化を象徴する動きを見せた。同社は15EH/s分の次世代マイニング機器「Proto」の契約を解約するため、4,190万ドルを支払った。

コインシェアーズによると、少なくとも35EH/sが今後、上場マイニング企業のハッシュレートから離脱する予定だという。同社の試算によると、AIインフラ事業による推定年間利益は約150万ドル/MWであるのに対し、ビットコインマイニングは約50万ドル/MWと、約3倍の格差が存在する。

電力供給可能な拠点の希少性

AIデータセンターへの転換を後押ししているのが、米国で新規のデータセンター建設が規制により極めて困難になっているという現実だ。

ElectricChoiceの集計では、これまで全米でデータセンター開発に関する一時停止措置や規制が30州で少なくとも225件確認され、そのうち151件が現在も有効とされる。ニューヨーク州は7月14日、50MW以上の施設を対象に環境許可を1年間停止する州全体のモラトリアムを導入した。

メイン州は2026年4月に新規データセンターの建設を禁止したほか、オハイオ、ミシガン、ジョージア、インディアナ州でも郡単位で開発規制が広がっている。なお、許認可申請を完了済みのプロジェクトは規制の適用対象外となるケースが多く、既存の許認可自体が新規参入者にはない価値を持ちつつある。

規制強化は、深刻化する電力網の接続制約にも拍車をかけている。

米国の送電網への接続待ち案件の規模は約2,600GWに達し、これは同国の発電設備容量の約2倍に相当する。2025年に稼働したプロジェクトでは、申請から稼働までの中央値が5年を超え、米国東部・中西部の広域送電網(PJM)地域では、平均7年以上を要している。

すでに電力を確保し、送電網に接続されたマイニング施設は、AIデータセンター事業者にとって高い価値を持つインフラとなりつつある。レポートによると、完全にリースされたAIデータセンター3施設の取引では約2,700万ドル/MWの評価が付いた一方、一部の上場マイナーが保有する電力接続済み・未契約の容量の評価額は300万ドル/MWを下回った。

AI契約で高まる企業価値

AI・HPC向け転換への期待は、マイニング企業の企業価値にも反映されている。レポートによると、AI・HPC容量を契約済みの企業は、予想売上高に対する企業価値(EV/NTM売上高)が平均12.9倍となっているのに対し、契約を持たないマイニング企業は3.7倍だった。

ただし、契約額と実際の売上には大きな差がある。開示されたAI・HPC関連の契約・受注残は1,000億ドルを超える一方、現在の年間換算売上は約11億ドルにとどまる。課金中の容量は約550MWで、契約済みの4GW超を大きく下回っており、企業価値は今後、契約を実際の課金・収益に転換できるかに左右される。

関連記事:米マイニング大手Hut8、1GWのAIデータセンターの完全商業化 15年間98億ドルの追加契約締結 

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Q3の見通し

Q2末時点(BTC価格約5万8,400ドル)では、上場マイナーのうちアメリカン・ビットコイン、ビットディア、HIVE、IRENの4社のみが、ビットコインの実現価格を下回るコストで採掘していた。その後、BTC価格が約7万7,000ドルまで回復したことで、ハッシュ価格も約38ドル/PH/s/日まで上昇。Q3では、価格が四半期を通じて7万ドルを上回る水準を維持できるかが、業界全体の収益改善を左右する。

一方、ビットコイン価格が回復したとしても、AI・HPCへの移行という流れが覆る可能性は低いとコインシェアーズは指摘する。今後もマイニングへの新規投資を行う可能性があるのは、Riot、MARA、HIVE、ビットディアなど、電力や設備用途の柔軟性を残している企業に限られると見ている。

関連記事:MARA、米テキサスに最大2GW拠点取得 ビットコインマイニング拡大

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