- 2018年の約224日を超える長期の生産コスト割れ
- ハッシュレートはピーク比約19%低下、AI転換進む
BTC、生産コストを280日ぶり上回る
米金融大手JPモルガンのアナリストは23日付のレポートで、ビットコイン(BTC)が同行推計の生産コスト約8万5,000ドルを上回ったことについて、この水準が続けばマイナーの売り圧力が和らぐ可能性があると指摘した。米仮想通貨メディアのザ・ブロックが24日に報じた。
ニコラオス・パニギルツォグロウ氏率いる同チームによると、ビットコインは今週の上昇局面で生産コストを突破するまで、280日間にわたり同水準を下回っていた。価格はその後やや下げ、報道時点では約8万4,100ドルで推移している。
アナリストらは、生産コストが歴史的にビットコイン価格の「ソフトな下限」として機能してきたと説明する。価格が長期間これを下回れば、電力や設備のコストが高いマイナーは採算割れに陥る。その結果、保有BTCの売却や稼働停止、市場からの撤退を迫られるという。
関連記事:マイニング企業のAIシフトは不可逆的か、完全撤退も相次ぐ=コインシェアーズ分析
コインシェアーズの最新分析によると、BTCマイニング企業の採算悪化を背景にAI・HPC事業への転換が加速。Keel、IRENなどが採掘撤退を表明する一方、AI契約を持つ企業は企業価値が3倍以上に拡大している。
マイナーの対応と2018年との比較
採算悪化が続いたこの期間、マイナーは電力の安い地域への機材移転や旧型機の売却、一部機材の待機で対応してきた。効率の低いマシンは廃棄やリサイクルに回されたと同チームは述べている。同程度の長期低迷は2018年にもあった。当時の生産コスト割れは約224日間で、高コストのマイナーが撤退したことでハッシュレートと採掘難易度が低下した。業界は当時より大規模かつ産業化したものの、高コスト勢の退出による調整の仕組みは変わらないとアナリストらは分析する。
レポートは、生産コストを上回る状態が続く限り、マイナーの「強制売却リスクを低減」するとの見方を示した。米上院でクラリティー法案が前進しなかったにもかかわらずビットコインが上昇した点については、投資家による弱気ポジションの解消と整合的だとしている。
AI転換でハッシュレートの伸び鈍化
同チームは、マイニング業界で進むAI向け計算への転換にも言及した。事業の一部または全部をAIへ移すマイナーが増え、ハッシュレートは昨年10月のピークから約19%、採掘難易度は約15%それぞれ低下した。多くの上場マイナーが、長期のAI契約を背景にハッシュレートの成長予想を引き下げている。
AI企業は、高負荷の計算に対応済みの電力やデータセンターを確保するため、大きなプレミアムを支払っているという。ビットコイン価格が今年の大半で低迷するなか、1メガワットあたりの収入が高く安定したAI事業はマイナーにとって魅力的だ。こうした流れで、上場マイナーは非上場や国家系のマイナーに採掘シェアを奪われつつある。
アナリストらは、この構造変化がハッシュレートの過剰な伸びを抑え、ネットワークの過密化を防ぐ面もあると指摘した。ハッシュレートの上昇トレンドが緩やかになることで、半減期を除けば生産コストの上昇ペースも鈍るとみている。
関連記事:「ビットコイン、初のハッシュレート弱気相場に」トゥエンティワンCEOが指摘
テザー系ビットコイン保有会社トゥエンティワン・キャピタルのCEOが、ビットコインは史上初のハッシュレート弱気相場に入ったと指摘した。上場マイナーの多くがAI・HPC事業へ転換しており、投資家は採掘関連銘柄の収益構造の変化を見極める必要がある。



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