ビットコイン価格、今後どうなる? 17年バブル崩壊時の類似ポイントと専門家の見解まとめ
21年Q1の仮想通貨市場の総括
3月第4週の暗号資産(仮想通貨)市場。2021年も早いことで第一四半期(Q1)を終え、来週木曜日からは新年度を迎えることとなる。
週明けからメジャーSQを控えていたビットコイン市場は、市場急変動を警戒したポジションの引き上げもあり、一時は51,000ドル台まで急落。その後SQを無事通過したことを確認すると再び買いが入り、週末には55,000ドル(600万円)台まで反発した。
一方、時価総額2位のイーサリアム(ETH)やその他アルトコイン市場も、ビットコインの軟調な相場状況にトレンド転換の警戒感も強まり、ビットコイン市場と相関性を高める値動きとなった。
2021年Q1の総括
ビットコインの過去最高値をはじめ、上昇トレンドに突入した2020年年末の盛り上がりから勢いよくスタートした2021年。ビットコイン価格は年始にも早々300万円の大台を突破し、レジスタンスラインの存在しない高値圏で、天井を探る展開が続いている。
月間騰落率から見てもビットコインは5ヶ月連続で続伸。大幅な調整局面も見られた3月も、28日時点では月間騰落率で28%高と、このままの価格水準を保てば、月足は陽線で取引を終える。
アルトコインを含めた仮想通貨市場全体の時価総額(市場規模)は、125%の成長率を記録。85兆円(約7,760億ドル)から192兆円(約1.7兆ドル)まで拡大した。ビットコインを除く市場の時価総額に至っては211%の拡大(25兆円から77兆円)とアルト市場も盛り上がった四半期となった。
目立ったのは、DeFi(分散型金融)銘柄や、2月中旬からブームの兆しを見せたNFT(非代替性トークン)などの台頭。
DeFiプロトコルに預け入れ(ロック)された暗号資産の総数を示すTVL(Total Value Locked)は、年初来で約170%の増加率(1.6兆円から4.5兆円)を記録している。
2021年Q1:個別銘柄の推移
好調を維持する仮想通貨市場全体、個別銘柄では年初来からのパフォーマンスも見ていく。以下のチャートでは上位銘柄や国内取引所で取り扱われる銘柄の、騰落率を記録したデータとなる。
- ビットコイン(BTC):+84%
- イーサリアム(ETH):+124%
- バイナンスコイン(BNB):+567%
- カルダノ(ADA):+564%
- ポルカドット(DOT):+245%
- XRP(リップル):+145%
- ビットコインキャッシュ(BCH):+32%
- チェーンリンク(LINK):+132%
- シータ(THETA):+578%
- ユニスワップ(UNI):+440%
- ステラ(XLM):+184%
- Klaytn(KLAY):+463%
- ドージコイン(DOGE):+1150%
- テラコイン(LUNA):+2836%
- ファイルコイン(FIL):+342%
- Crypto.comコイン(CRO):+320%
- Vechain(VET):+700%
- IOST(IOST):+880%
- ネム(XEM):+54%
- シンボル(XYM):+23%
- リスク(LSK):+347%
- エンジンコイン(ENJ):+1715%
- ベーシックアテンショントークン(BAT):+455%
ビットコインとドルインデックスの相関性、17年バブル崩壊時と類似か
一方で、上昇傾向を維持するビットコイン市場だが、トレンド転換を示唆する指標もある。
過去にもビットコイン価格と逆相関の関係を見せてきたドルインデックスが再び上昇しつつあり、警戒感を指摘する業界関係者もいる。
ドルインデックスは主要な法定通貨に対する米ドルの価値を指数化したデータ。一般的にはドルインデックスの上昇はドル高、下落はドル安を示すデータで、歴史的にはビットコイン価格の変動と逆相関を示していたことで、注目を集めた。
2017年のバブル相場が転換点を迎えた際、同様に下落を続けていたドル指数が上昇に転じる局面が見られている。
関連:米ドル指数が2年7ヶ月ぶりの安値、ゴールドとビットコイン市場で明暗
仮想通貨市場、今後の行く末|有識者の見解は?
仮想通貨市場だが、気がかりなのはこの上昇傾向がいつまで続くかだ。仮想通貨界隈の有識者の見解をまとめた。
著名仮想通貨アナリストのWilly Woo氏は3月末の下落は短期的なものだと主張している。長期保有者のホルダーらは、依然としてビットコインの下落時に押し目買いを行っているとして、市場の底堅さがその傾向を示していると指摘。仮想通貨取引所のBTC残高と長期保有ウォレット内のBTC枚数が3月に入り再び上がっている事例も根拠として挙げた。
オンチェーン分析において、長期保有ウォレットはビットコインを数年単位で保有し続けるアカウントのデータ数で、マーケットに影響する需給を見る一つの重要指標となる。
関連:Willy Wooオンチェーン考察「ビットコイン高騰の背景に富裕層動向と需給面」
Moskovski CapitalのLex Moskovski CEOも長期保有ウォレットに、過去3年間で最多のおよそ21万BTCが流入したと指摘した。
S2Fモデル提唱のPlanB氏は「まだ時期尚早」との見方
また仮想通貨市場に「ストック・トゥ・フロー」(S2F)モデルを応用し、年内にビットコインが10万ドル(1,100万円)に到達すると予想する著名アナリストのPlanB氏は現在もシナリオ通りに進んでいると説明。
さらにビットコインのRSI(相対力指数)が2011年や2013年、2017年など過去の上昇相場の水準に到達していないと述べた。過去の上昇相場の際にはいずれもRSIが95を超える月が最低でも3ヶ月継続していたと言及し、まだ上昇トレンドの終わりまでは「時期尚早」との見解を示している。
関連:「過去10年のあらゆる金融商品で最大のリターン」著名アナリストPlanB氏が語るビットコインの資産価値
著名ブロックチェーン分析サイトglassnodeの共同設立者らの@Negentropic_氏は4月に期限を迎えるビットコインのオプションデータで「80,000ドルのコール」がダントツで多いと指摘。投資家からビットコインの上昇に対する期待が高いと言及した。
著名アナリストのJosh Rager氏も過去の上昇相場を引き合いにし、30%以上の価格後退があったと説明し、時には数週間プルバック(反落)が続く場面もあったと述べ、下落時もパニックに陥らないよう、落ち着きを呼び掛けた。
関連:ビットコイン暴落で一時3万ドルの節目割り込む、大荒れ要因と今後の展望
ビットコイン半減期後のサイクルの比較に重きを置く仮想通貨アナリストのEcoinometrics氏もRager氏と同様、過去の上昇相場の際にも一時的な下落はあったと言及。3月下旬の約19%の下落は比較的には規模の小さい下落だったと解説している。
関連:仮想通貨アナリストが考察、過去2回のビットコイン「半減期」相場からみる今後の展望
時価総額TOP20銘柄
関連:2015〜2020年、仮想通貨「時価総額TOP20」の顔ぶれと変化
先週に比べるとバイナンスコイン(BNB)がカルダノに変わり時価総額3位に復帰。最も多い流通量を誇るステーブルコインのテザー(USDT)は24日、時価総額が400億ドル(約44兆円)に到達しており、昨年3月時点には40億ドル(約4.4兆円)だったことから一年間で900%拡大した格好だ。
また今四半期、好調を継続する仮想通貨シータ(THETA)は強い騰勢を保ち、時価総額9位まで続伸。投資ファンドが総額100億円相当のThetaをステーキングした報道など、好材料が続いており、前年比では200倍と著しい成績を残している。
関連:前年比200倍の仮想通貨シータ(Theta)が時価総額9位まで高騰、分散型ストリーミング銘柄に高い関心
15位には韓国のモバイル大手Kakaoの手かげるKlaytn(KLAY)が浮上。VeChain(VET)も前週比10%高を見せ、20位にランクインした。
ビットコインのオンチェーンデータ
ビットコインのオンチェーンデータ分析は以下の通り。
RSI
BTCハッシュレート推移とチャート
今週は2021年3月19日から2021年3月26日の期間を対象に、BTCのハッシュレート(採掘速度)および価格について分析を行なった。
BTCハッシュレート(採掘速度)について
最低値:約157.6TH/s(前週比 102%)2021年3月19日
最高値:約166.7TH/s(前週比 105.7%)2021年3月26日
BTC価格について
最低値:約481万円(前週比 98.5%)2021年3月23日
最高値:約615万円(前週比 110%)2021年3月22日
今週はハッシュレートの急激な上昇とは別にビットコイン価格は大きく下落し、500万円を下回る結果となった。
グレースケール新規流入
今週の購入枚数
BTC:-249BTC(累計約65.4万BTC)
ETH:-1468ETH(累計約317万ETH)
先週に続き、ビットコインの購入枚数はやや減少。イーサリアムはマイナスへと転じた。
グレースケールのビットコイン、マイナス乖離が過去最高に
米仮想通貨投資大手のグレースケール社が提供するビットコイン投資信託(GBTC)の現物価格に対するマイナス乖離(ディスカウント)は25日時点で-14%と過去最高の水準に到達していた。
グレースケール社のビットコイン投信は過去には現物価格に対してプラスの価格乖離(≒プレミアム)があることで、プレミアムを狙った裁定取引も盛んに行われており、ビットコイン現物市場の需給にも影響していた一要因だった。2020年から特に新規流入数が顕著になり、BTC保有数も65万と流通市場の3%相当に当たる規模に成長し、BTC市場にもプラス影響が出ていた。
グレースケールのプレミアムが下降傾向に転じたのは昨年12月、2月下旬にはマイナス域に突入した。
ビットコイン投信のマイナス乖離の要因としては、カナダのビットコインETFなど他の仮想通貨関連の金融商品の台頭が挙げられている。グレイスケールのGBTC以外にも、証券口座を経由して取引できるビットコイン商品が増加し、取引先が分散した。
関連:グレースケール投信の「マイナス乖離」が過去最低の-10%台に、ビットコイン市場に及ぼす影響は
イーサリアムのオンチェーンデータ
ステーキング額
先週、先々週に引き続き、今週もステーキング額はやや増加している。
ステーキング額:358万ETH(前週比:+0.08% [355万ETH])
ガス代
ガス代とは手数料の一種で、送金を行った場合、マイナーがデータ計算処理をした報酬として、その手数料を受けとる。
平均ガス代:145.28 Gwei(前週比:-9%[158.80 Gwei])
DeFi(分散型金融)
TVL(Total Value Locked)は、DeFiプロトコルへ預入れされた仮想通貨資産の総ロック額を指す。
今週のTVLは、前週よりも40億ドル近く減少している。
TVL:409.2億ドル(約4.4兆円)
関連:DeFi(分散型金融)とは? 特徴と仕組みを初心者にもわかりやすく解説
クリプト指標
日程 | 指標 |
---|---|
3/31頃 | Avalanche ユーロ・スイスフランのステーブルコインをローンチ予定 |
3/31頃 | NEO3.0 テストネットのローンチ予定へ |
3/31頃 | 2021年第1四半期 THETA Networkのロードマップ |
4/6 | Enjin「JumpNet」のリリースへ |
Avalanche ユーロ・スイスフランのステーブルコインをローンチ予定へ
2021年3月31日頃
2021年第1四半期、e-Money社はAvalanche上でデジタルユーロ(EUR)、スイスフラン(CHF)、ノルウェー・クローネ(NOK)、スウェーデン・クローナ(SEK)、デンマーク・クローネ(DKK)を含む欧州通貨のステーブルコインのローンチを2021年第1四半期にリリースを予定している。
発行されたステーブルコインは、e-Moneyウォレットを介して売買される予定。
NEO3.0 テストネットのローンチ予定へ
2021年3月31日頃
2021年第1四半期、NEO3.0のテストネットローンチが計画されている。
また、2021年6月中にはメインネットのローンチが計画されており、プロジェクト移行、初期プロジェクト開発、トークン移行開発にコミットするとのこと。
2021年第1四半期 THETA Networkのロードマップ
2021年3月31日頃
2021年第1四半期、THETA Networkは以下の計画を発表している。
・TNT20規格「Theta Network Token」の発表
・Elite Edge Nodeのリリース
・Thetaウォレット上でデリゲート・ステーキング
・Thetaブロックチェーン上で分散型取引所(DEX)のローンチ
・Thetaブロックチェーン上でNFTマーケットプレイスのローンチ
・第2回 Theta Hackathonの開始
Enjin「JumpNet」のリリースへ
2021年4月6日
2021年4月6日、イーサリアムのスケーリング技術であるJumpNetのリリースを予定している。
イーサリアムのスケーリング技術であるJumpNetは、2つのフェーズに分けてリリースが予定されている。
最初のフェーズでは、ユーザーはEnjin Coin(ENJ)をイーサリアムブロックチェーン上からJumpNetに移行することができる。
次のフェーズでは、Enjin Coin(ENJ)とすべてのERC-1155トークンをイーサリアムブロックチェーンとJumpNetの間でシームレスに取引することができるようになる。
前週の週次レポート:ビットコイン市場、新規参入数が過去最高水準に|CoinPost週次レポート
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関連:クリプト指標導入「CoinPostアプリ」の使い方をトレーダー目線で解説|寄稿:Bit仙人
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