仮想通貨市場の動向
3月第3週の暗号資産(仮想通貨)市場。先週末60,000ドルを突破したビットコインは、米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に一時資金を引く動きが見られ、16日には一時6,000ドル以上の下落。
しかしFOMCを無難に乗り越えたほか、18日にはモルガンSのビットコインファンドへのアクセスを提供するニュースや、中国企業Meitu(美図)が約53億円相当のビットコインとイーサリアムを買い増すなど、好材料も相次ぎ再び58,000ドルまで回復している。
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イーサリアムも先週の日曜日にかけ、2月末到達していた2,000ドルの大台に再び近づいていたが、ビットコインに連れ安し急落。その後の値動きもビットコインに相関性を高めている。
金融市場の見方としては、米大手銀のバンカメ(Bank of America)がイーサリアムのポテンシャルを高く評価。伝統金融からもDeFi(分散型金融)の可能性が着目されている事例もあった。
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時価総額TOP20銘柄
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仮想通貨カルダノ(ADA)は週間騰落率で25%高を記録。バイナンスコインに代わりおよそ2週間ぶりに時価総額3位に浮上した。ADAは19日にCoinbaseProで取り扱いが開始しており、取引開始直後は一時1.88ドルまでの高騰材料となった。
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シータコイン(THETA)も引き続き好調を維持し、14位まで浮上。グレイスケールで取り扱いを開始したファイルコイン(FIL)も強い騰勢を見せ、TOP20位に上昇している。
3月第1週は時価総額14位だったネム(XEM)は19日時点で31位に。新通貨Symbol(XYM)のスナップショット取得後、エアドロップの権利確定売りでが影響した。17日には無事Symbolが誕生している。
仮想通貨市場のドミナンス
また仮想通貨市場のマーケットシェアおよびドミナンス(市場占有率)を見ると、ビットコインの割合が10%近く下がっていることが伺える。
19日時点でビットコインの市場占有率(ドミナンス)は60.5%を記録。年初1月3日時点ではビットコインのドミナンスは72%だったが、その後下降基調になり1月下旬からは60%台を推移している。
対照的に、年初時点では10%だった時価総額2位のイーサリアム(ETH)のドミナンスは2月初旬には16%まで上昇。執筆時点では11.6%を記録。時価総額3位のカルダノ(ADA)は2.5%の市場占有率だった。
年初来騰落率では驚異的な700%近い上昇をしたバイナンスコイン(BNB)は0.7%から一時は1.5%まで時価総額が拡大していた。現在は2.37のドミナンスとなっている。
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ビットコインのオンチェーンデータ
ビットコインのオンチェーンデータ分析は以下の通り。
BTCハッシュレート推移とチャート
今週は2021年3月13日から2021年3月19日の期間を対象に、BTCのハッシュレート(採掘速度)および価格について分析を行なった。
BTCハッシュレート(採掘速度)について
最低値:約129.7TH/s(前週比 84.1%)2021年3月18日
最高値:約141.2TH/s(前週比 90.2%)2021年3月14日
BTC価格について
最低値:約582万円(前週比 115.4%)2021年3月16日
最高値:約673万円(前週比 107.3%)2021年3月14日
今週、大幅な価格下落を見せたビットコインだが、それにつられるようにハッシュレートも前週に比べ大幅に低下している。
ビットコイン・ネットワークへの新規参入数が過去最高水準に
またglassnodeによれば、ビットコイン・ネットワークへの新規参入数が過去最高水準に達しているという。
過去数週間では新規ユーザーが急増しており、個人投資家の流入を示唆していると指摘した。
The number of new participants in the #Bitcoin network is unprecedented.
— glassnode (@glassnode) March 15, 2021
Over the past weeks, we have seen a large growth of new entities. This is a strong indication that new retail investors have been entering the space.
Chart: https://t.co/3w1LwtUFZV pic.twitter.com/MXNXwimnfZ
強まる個人投資家の関心
BNYメロンやモルガン・スタンレーなど機関投資家からの注目が集まっている仮想通貨市場だが、個人投資家からの関心も高いことは他の指標からも伺える。
JPモルガン・チェースの分析によれば、2021年のQ1期(1月から3月)におけるビットコインの購入総額は米国の個人投資家と機関投資家でほぼ同水準だったという。
ビットコインが購入できるアプリのSquareやPayPalのBTC取引量が個人投資家の購入、そして機関投資家の購入はビットコイン・ファンドへの流入、米シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のポジション指標、そして企業のビットコイン購入から算出した。
またブルームバーグの分析では個人投資家の購入数量は18万7,426BTC、機関投資家は17万2,684BTCという結果も。一部ではNFT(非代替性トークン)の人気台頭が米国の個人投資家の関心の高まりにつながっているとする見方がある。
GoogleTrend上ではNFTの検索数が2月中旬以降から右肩上がりを続けており、今週は最高水準の検索数に達していた。
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グレースケール新規流入
今週の購入枚数
BTC:-249BTC(累計約65.5万BTC)
ETH:+3160ETH(累計約318万ETH)
先週に続き、ビットコインの購入枚数はやや減少。イーサリアムはプラスへと転じた。
グレースケール投信、価格乖離は引き続きマイナス
なおグレースケール社は先週11日からビットコイン投資信託(GBTC)の私募を一時的に停止。GBTCは適格投資家などから資金やビットコインを調達してビットコインを購入、その代わりにGBTCを(6ヶ月のロックアップ期間の後に)配当する仕組みとなる。
具体的な停止の要因は明かされなかったものの、グレースケール社のビットコイン投信(GBTC)は2月末から現物価格(NAV:Net Asset Value)に対する価格乖離がマイナスに転じていた背景がある。過去には現物価格と比較するとプラスだった乖離(プレミアム)は3月に入り、マイナスの状態が続いており、事実上のディスカウントとなっていた。
GBTCプレミアムのマイナス化の要因としては、カナダで21年2月から取引が開始されたビットコインETFなどが挙げられている。これまではグレースケール社の仮想通貨投信が機関投資家向けの数少ない商品だったが、大手金融機関も出資しやすい金融商品の台頭が影響したと言えるだろう。
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イーサリアムのオンチェーンデータ
ステーキング額
先週、先々週に引き続き、今週もステーキング額はやや増加している。
ステーキング額:355万ETH(前週比:+1.7% [349万ETH])
ガス代
ガス代とは手数料の一種で、送金を行った場合、マイナーがデータ計算処理をした報酬として、その手数料を受けとる。
平均ガス代:158.80 Gwei(前週比:-8%[171.78 Gwei])
DeFi(分散型金融)
TVL(Total Value Locked)は、DeFiプロトコルへ預入れされた仮想通貨資産の総ロック額を指す。
今週のTVLは、前週よりも20億ドル多い446.9億ドルで、Defi市場の盛況ぶりが見られた。
TVL:446.9億ドル(約4.8兆円)
Makerドミナンス:16.07%
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