ビットコインにおける取引処理を支えているのがマイニング。このマイニングの仕組みについて正しく説明できる方は多くはありません。
本記事では、暗号資産(仮想通貨)のマイニング(採掘)について、仕組みや報酬、3種類の方法などについて初心者向けに解説します。
- ブロックチェーン・ナンス値・ハッシュ値など、マイニングの仕組み
- ビットコインのマイニング報酬と半減期の歴史
- ソロ・プール・クラウドの3種類のマイニング方法と具体的なやり方
読了時間の目安:約8分
マイニング(採掘)とは
マイニングとは、PCなどの電子計算機器を用いて仮想通貨の取引処理を手助けすることで、対価として仮想通貨を獲得する行為のことを表します。
仮想通貨は、一定期間ごとにすべての取引記録を取引台帳に追記することで整合性を管理しています。その追記の処理には、ネットワークに分散されている今までの取引台帳データと、追記の対象期間に発生したすべての取引のデータの整合性を記録することが求められます。
また、この取引台帳データのことは「ブロックチェーン」と呼ばれ、追記作業が「ブロック生成」と呼ばれています。このシステムのお陰で中央管理する機関を必要とせずに正当性を保つことができているのです。
関連: 仮想通貨の仕組み【初心者向け図解】暗号技術と問題点について
なぜ「採掘」「マイナー」と呼ばれるのか
マイニング(採掘)という名称は、金(ゴールド)の採掘作業に由来しています。
マイニングを行うには、高性能なコンピューターや電気代などの先行投資が必要です。その投資をもとに新たなコインを生成し、そのコインが流通として流れていく。この一連の流れが、採掘道具を用意して金を掘り出し、その新しい金が市場に流通していく流れと非常に似ています。
こうした類似性から、仮想通貨のブロック生成が「採掘(マイニング)」と呼ばれ、それを行う人たちが「採掘者(マイナー)」と呼ばれるようになりました。
マイニングできるコインとできないコイン
マイニングは、すべての仮想通貨で行えるわけではありません。主にコンセンサスアルゴリズム(取引の合意形成の仕組み)にPoW(プルーフ・オブ・ワーク)を採用しているコインでのみ、マイニングが可能です。
PoWを採用している代表的なコインにはビットコイン(BTC)、ライトコイン(LTC)、モナコイン(MONA)などがあります。一方、イーサリアム(ETH)はかつてPoWを採用していましたが、現在はPoS(プルーフ・オブ・ステーク)に移行しており、マイニングではなく「ステーキング」という別の仕組みで取引を検証しています。
関連:プルーフ・オブ・ワーク(PoW)とは?ビットコインを支える仕組みを解説
関連:仮想通貨のPoS(プルーフ・オブ・ステーク)とは|PoWとの違いとメリットを解説
マイニングの仕組み
マイニングの取引台帳データの整合性を確かめる作業は、コンピューターによる計算で実現できます。しかし、その作業には膨大な計算量が必要です。
分散されて保存されている1つの大きな取引台帳のデータ、追記対象の取引のデータのすべてを正確に検証してから追記しなければなりません。そこでビットコイン(BTC)を始めとする仮想通貨では、この追記作業に有志のコンピューターリソースを借りています。余っているコンピューターの計算能力を借りることによって、膨大な計算を行い、みんなで共有する1つの大きな取引台帳に追記を行っているのです。
しかし、わざわざ膨大な計算力を取引台帳データの整合性を保つために無料で貸し出すメリットがありません。そこで、この追記作業のために膨大な計算処理をし、結果として追記処理を成功させた人に対し、報酬として新たな通貨が支払われます。これがマイニングの仕組みです。
ナンス値とハッシュ値とは
マイニングにおける計算作業とは、具体的には「ナンス値」と呼ばれる数値を発見する作業です。マイナーたちは競い合いながらこのナンス値を計算で探し出し、最も早く発見したマイナーだけがブロックの生成権を得て報酬を受け取ります。
ナンス値が発見されると、取引データは「ハッシュ値」という不規則な文字列に変換(暗号化)されてからブロックに保存されます。各ブロックには1つ前のブロックのハッシュ値も含まれるため、仮に過去のデータを改ざんすると後続のすべてのブロックとの整合が取れなくなります。この構造がブロックチェーンを改ざんに強くしている理由です。
PoW(プルーフ・オブ・ワーク)とは
PoW(Proof of Work)とは、膨大な計算をPCなどで行うことで、取引処理を行いブロック生成を行うコンセンサスアルゴリズムのことです。
PoWはビットコインを始めとし、ライトコイン(LTC)、モナコイン(MONA)、Conflux(CFX)等といった、メジャーコインからマイナーコインまで幅広く採用されています。なお、PoWを採用しているコインはマイニングをすることが可能です。
マイニングの報酬
報酬としてビットコインが支払われる
マイニングにより獲得したいコインは、自分で選択することができます。ただし、後述しますが、マイニングを行うにはいくつか方法があり、そのうちの一つとして演算資源を提供することでマイニングを代理で行うサービスなどがあります。それらは例外として、掘ったコインが別のコインとして還元されるという場合もあります。
なお、この報酬は新たに発行された通貨によって支払われます。つまりマイニングが成功した瞬間に、新規の通貨発行が行われます。通貨の新規発行はこのマイニング以外の方法では存在しないため、仮想通貨の発展を信じる人たちがマイニング活動に力を注いでいるのです。
報酬が半減する半減期とは
ビットコインには、マイニング報酬が半分になる「半減期」という仕組みがあります。ブロックが21万個生成されるごとに半減期が来る設計になっており、ブロックは約10分に1個生成されるため、逆算すると約4年に1度の頻度で半減期が訪れます。
マイニングによって無制限に新規発行を続けると通貨の希少価値が薄れてしまうため、この半減期によって発行量を段階的に抑制しています。過去の半減期と報酬の推移は以下の通りです。
直近では2024年4月に4回目の半減期を迎え、現在の報酬は3.125BTCとなっています。今後も約4年ごとに半減期が訪れる予定です。
マイニングとセキュリティの関係
マイナーはブロック生成による報酬を受け取るだけでなく、ブロックチェーンのセキュリティを維持するという重要な役割も担っています。
マイニングは、取引を中央管理者(政府・銀行など)が監視する代わりに、取引が正当に行われているかをネットワーク参加者全体で監視する仕組みです。
仮に悪意のあるマイナーが高性能なコンピューターと大量の電力を使ってシステムを攻撃しようとした場合、取れる行動は主に2つです。
- 自分が送信したコインを再度自分のものにして二重支払いを行うこと
- 他のマイナーより圧倒的に速くブロックを生成し続けて報酬を独占すること
前者を実行するとブロックチェーンの機能が失われ、そのコイン自体の価値がなくなってしまいます。したがって、膨大なコストをかけて攻撃を仕掛けるよりも、後者のように正当なマイニングで報酬を得続ける方が合理的です。この経済的なインセンティブ設計が、悪意ある攻撃を限りなくゼロに近づけています。
結果的にマイナーは、報酬を得ながら同時にセキュリティの管理という役割も担っているのです。
マイニングの3つの方法
マイニングには大きく分けて3種類の方法があります。それぞれメリット・デメリットが異なるため、自分の状況に合った方法を選ぶことが重要です。
方法①:ソロマイニングとは
ソロマイニングとは、その名の通り1人でマイニングを行う方法です。マイニングに成功すると報酬がすべて自分のものになるというメリットがありますが、ASICなどの高スペックな演算機器を揃えない限り、マイニング成功までなかなか結びつかないというデメリットもあります。
ソロマイニングの基本的な手順
マイニング用の演算機器(GPUまたはASIC)を用意する
演算機器を稼働させるための環境(電源・冷却設備など)を整える
マイニングソフト(CGMiner、EasyMinerなど)をダウンロードする
報酬を受け取るためのウォレットを用意する
マイニングを開始する
方法②:プールマイニングとは
プールマイニングとは、複数のマイナーがグループ(プール)を組んで協力してマイニングを行う方法です。参加者のハッシュレート(演算能力)を集約することでブロック生成の成功率が上がり、報酬を安定的に得やすくなるメリットがあります。一方、プールへの参加手数料が差し引かれる点はデメリットです。
プールマイニングの基本的な手順
マイニング用の演算機器(GPUまたはASIC)を用意する
演算機器を稼働させるための環境を整える
マイニングプール(AntPool、Binance Poolなど)に登録する
プールからマイニングソフトをダウンロードする
報酬を受け取るためのウォレットを用意する
マイニングを開始する
方法③:クラウドマイニングとは
クラウドマイニングとは、マイニングを行っている企業に出資し、出資額に応じて利益のリターンを受け取る方法です。自分でマシンを用意する必要がないため、機材や専門知識のない初心者でも参加しやすいというメリットがあります。一方、マイニングの運用費・管理費が差し引かれるため手数料は割高になりやすい点に注意が必要です。
クラウドマイニングの主な形式
ホストマイニング:マイニング企業が持つ演算機器に出資(購入またはレンタル)し、その稼働によって生じた報酬を受け取る
ハッシュパワー購入:演算機器が生み出す演算能力の一部を購入する方法で、初期投資を抑えやすい
代表的なクラウドマイニングサービスには、Hashing24・Genesis Mining・Binance Poolなどがあります。
📺 動画でマイニングの始め方を学ぶ|マイニング投資の始め方と初心者が注意すべきポイント(約18分)
3つの方法を把握したうえで、「では実際にどう始めるか」を動画で補足できます。WebX STUDIO(旧CONNECTV)では、CoinPost代表・各務貴仁が、モデル・タレントの広瀬未花氏を聞き手に迎え、マイニング投資の始め方を初心者向けに解説しています。
動画で扱う論点は主に4つです。マイニングに必要な機材、個人で行うマイニングの実態、業者に依頼するクラウドマイニング、そしてマイニングプールの仕組みと業者選びの注意点。上で解説した3つの方法の内容を、動画で視覚的に補足できます。
制作:WebX STUDIO(旧CONNECTV)|CoinPostと幻冬舎「あたらしい経済」が共同運営する仮想通貨・ブロックチェーン教育番組|再生時間:17分59秒
マイニングへの参入難易度
マイニングによって新たに発行した通貨を得ようとする人たちがいるおかげで、仮想通貨の整合性が保たれています。しかし、現在ではマイニング競争が激戦化しており、個人での新規参入は難しい状況となっています。
報酬を受け取れるのは、計算によって最も速く新しいブロックを生成したマイナーだけです。2番目以降には報酬は支払われません。年々マイニング専用機器(ASIC)の性能が向上し、大規模なマイニング企業も増加していることから、個人が高い報酬を安定して得るのは以前よりも困難になっています。
マイニングへの参入を検討する際は、機材費・電気代などのコストと期待できる報酬を事前によく試算することが重要です。
関連:マイニングにおけるDifficulty(採掘難易度)とは|ハッシュレートとの相関性について解説
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