
マクロ経済と金融市場
トランプ米大統領は16日夜、カナダでのG7サミットを予定より早く切り上げてワシントンに帰国した。ホワイトハウスのリービット報道官は「中東情勢を鑑みて、多くの重要な案件に対応するため」と説明している。
大統領は自身のSNSであるTruth Socialに「全員、(イランの首都)テヘランから直ちに避難すべきだ」という警告メッセージを投稿。ロイター通信によると、ホワイトハウスの危機管理室で国家安全保障会議に準備を整えるよう要請したという。
これらの動きが判明したことで、株や暗号資産(仮想通貨)市場ではリスク回避の動きが出て相場が下落した。
イスラエルとイランの軍事衝突は、攻撃対象がエネルギーインフラに拡大している。イスラエルは前週末にイランの首都テヘラン近郊の石油貯蔵所を標的とし、イランも14日夜に石油関連施設への報復攻撃を実施した。
特に懸念されるのは、イラン高官がホルムズ海峡の封鎖を警告したことだ。同海峡は世界の原油輸出の2割以上が通過する戦略的要衝であり、封鎖されれば国際的なエネルギー物流が麻痺する可能性がある。
これを受けて原油価格が急騰し、WTI原油先物は1バレル70ドルを超えて約5か月ぶりの高値となった。
モルガン・スタンレー傘下のクリス・ラーキン氏は「もしもこの先予期せぬ展開となれば、投資家心理に極めて大きな影響が及ぶ可能性がある」と警鐘を鳴らしている。
仮想通貨市況
暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコイン(BTC)は前日比+0.9%の1BTC=106,787ドルに。

現在のビットコイン相場は、過去最高値からは約5%の調整を見せている。チャート上では、10万ドルという心理的な大台を明確に上回って推移していることが見て取れる。
移動平均線では、50MAが200MAを大きく上回るゴールデンクロス状態が継続しており、中・長期的な上昇トレンドが維持されていることを示している。現在価格は50日移動平均線を上回って推移しており、短期的にもサポートを受けている状況だ。
下値については、現在のサポートライン105,000ドル近辺を維持できれば上昇トレンドの継続が期待できるが、割り込んだ場合は10万ドルの心理的な節目が強固なサポートして機能するかが注目されるだろう。
しばらく膠着状態が続いていることから、大きな方向性を決定づける材料が現れるまでは、現在のレンジ内での値動きが継続する可能性が高いと見られ、今後の展開としては、地政学リスクやFRBの金融政策動向など外部要因に大きく左右される局面が続くと予想される。
金融政策の行方
6月18日に予定されているFOMC(米連邦公開市場委員会)では、FRB(米連邦準備制度)の利下げは期待されておらず、CME(米シカゴ・マーカンタイル取引所)のFedwatchツールによると現時点での金利据え置き率は99.8%と予測されるなど、市場のコンセンサスはほぼ固まっている状況だ。
可能性は低いが、次回FOMCで想定外の利下げ示唆があれば、株や仮想通貨などリスク性資産の押し上げ要因となるだろう。
機関投資家の買い需要は
資産運用会社CoinSharesの週次レポートによれば、地政学的不確実性の高まりにもかかわらず、先週の上場投資商品(ETP)への資金流入は19億ドルに達し、9週連続の流入を記録した。
同期間の流入総額は129億ドルに達し、年初来流入額は過去最高の132億ドルを更新した。同社は「地政学的な懸念がリスク資産の重しとなったにもかかわらず、デジタル資産は底堅く推移し、金とともに資金流入を集めた」と分析している。
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