ETF目前、CMEビットコイン先物OIは歴史的水準に・DeFi市場活況 CoinPost週次データレポート Vol.31
10月の仮想通貨動向
10月第2週の暗号資産(仮想通貨)市場。ビットコイン(BTC)は米国初のETF(上場投資信託)承認に関する期待と憶測が強まり、BTC価格が急騰。5月以来およそ5ヶ月ぶりに60,000ドルの大台に復帰、円建てでは700万円に到達した。
時価総額2位のイーサリアム(ETH)も一時3,900ドル目前まで上昇。PithosテストネットではETH2.0への統合を行う「The Merge」の実装が始まった。
関連:イーサリアムPoS移行に向けたThe Mergeの公開テストネットが実装開始
時価総額TOP20の騰落率
時価総額上位銘柄の週間騰落率は以下の通り。(18日時点:ステーブルコイン除く)
- ポルカドット(DOT)+21.57%
- バイナンスコイン(BNB)+13.02%
- ビットコイン(BTC)+10.05%
- イーサリアム(ETH)+9.83%
- ユニスワップ(UNI)+5.70%
関連:2015〜2020年、仮想通貨「時価総額TOP20」の顔ぶれと変化
仮想通貨市場の時価総額
仮想通貨市場全体の時価総額は18日、5月12日前後の2.5兆ドル(約290兆円)のピーク時水準に迫る2.4兆ドル(約280兆円)台に復帰した。
主要銘柄の時価総額比率は以下の通り。
- ビットコイン(BTC):46.8%
- イーサリアム(ETH):18.3%
- バイナンスコイン(BNB):3.19%
- カルダノ(ADA):2.86%
- テザー(USDT):2.78%
- XRP(リップル):2.07%
- ソラナ(SOL):1.95%
ビットコインのオンチェーン・データ
ビットコイン(BTC)関連の注目のオンチェーンデータは以下の通り。
CMEのビットコイン先物
米SECによってCME(シカゴマーカンタイル取引所)のビットコイン先物を運用するETF(上場投資信託)の承認に対する期待が高まる中、同ビットコイン先物契約のOI(未決済建玉)は過去最高水準まで増加した。
追記:19日午後12時
CMEのOI(未決済建玉)はその後も引き続き増加。仮想通貨データサイトbybt上は19日、OIが36.2億ドル(4,100億円)になったと述べ、過去最高記録を更新したと伝えた。
ロング注文増加
仮想通貨分析サイトCryptoQuantのKi Young Ju CEOは成行注文が先行していると指摘。5月の急落以降から現在まで、ロングが主体になっているとした。
クジラが買い増し
また、仮想通貨アナリストのAlex Moskovski氏は100から1,000BTCを保有する大口投資家が10月に入りビットコインを買い増ししているとコメント。いわゆるBTCクジラが買い増ししている傾向を指摘した。
CryptoQuantのKi Young Ju CEOも15日、「今回の上昇はクジラの買いが先導したものであり、ショートの清算(踏み上げ)によるものではない」と分析。これを基に、①大規模なショート清算がまだ行われていない点と②5月の急落以降、クジラがロングしていたことが考えられると推測していた。
関連:ビットコイン約6万ドルまで急騰、CryptoQuant CEOはクジラの買いを指摘
BTCオプション市場の動向
仮想通貨分析企業Glassnodeは18日、10月のビットコインオプション市場の取引高とOI(未決済建玉)が9月に比べ、急増しているとコメント。
OIはすでに前月比から63億ドル(7,200億円)相当の107%増加、取引量は先週時点でピーク時には1日あたり15億ドル(1,700億円)に達したという。
オプション市場でも21年12月末に期日を迎えるコール・オプション(買う権利)ではOIの上昇が特に顕著だと言及。10万ドル(1,100万円)を予想する強気派も少なくないと分析した。
取引所への資金移動はニュートラルに
Glassnodeの共同設立者は取引所におけるビットコインの「ポジション変化」が直近1ヶ月でプラスマイナスゼロになったと指摘。ポジション変化は取引所への資金流入(Inflow)と出金(Outflow)の総量を示す指標で、過去30日間におけるInflowとOutflowがおよそ同等であったことを示すと説明した。
取引所からの出金は売り圧力の低下を示唆するため、Outflow優勢の状況ほど前向きな材料ではないものの、ニュートラルへの向かい方は2020年12月前後にも見られたと指摘。今後の上昇につながる可能性を示唆した。
ATH目前も感心は変わらず
6万ドル台を推移するなど、過去最高値の3,000ドル圏内にいるビットコインに対して、Google Trend上の検索データは21年5月のピーク時ほどの水準には達していない。
過去5年以内の長期スパンで見ると2017年12月の検索数がいまだに最高水準を誇る。
イーサリアムのオンチェーン・データ
イーサリアム(ETH)関連の注目のオンチェーンデータは以下の通り。
ETH2.0 ステーキング額
ステーキング額:798万ETH(前週比+86万ETH)
関連:仮想通貨ステーキングとは|初心者でもわかる「報酬」の仕組み
イーサリアムのバーン
仮想通貨分析サイトToken Terminalは17日、イーサリアムは過去30日間で10億ドル(約1,100億円)の手数料が支払われ、その内およそ82%がバーン(焼却)されたと指摘した。
バーン(焼却)とは
株式の「自社株買い」に近い形で仮想通貨の供給量を減らす仕組み。自社株買いをする企業は、発行している株式を自分たちのお金で買い戻す。買い戻されると市場に流通する株数が減少することで一株あたりの価値が向上し、株主に対してプラスの影響を与える。
トークンをバーンすることで、需要と供給の影響で、流通するETHの一枚あたりの価値が高まることになる。
▶️仮想通貨用語集
統計サイトWatchtheburnによれば、18日時点でのバーン総数は56万ETHを超えている。(前週比+6万ETH)
DeFi(分散型金融)
DeFiプラットフォームのTVLは日時点で2,235億ドル(25.5兆円)だった。前週に続き、2週連続でTVLは過去最高記録を更新中だ。
TVL(Total Value Locked)は、DeFiプロトコルへ預入れされた仮想通貨資産の総ロック額を指す。
クリプト指標
日程 | 指標 |
---|---|
10/19 |
Crypto.com Coin 「Cronos」メインネットアップグレード |
10/19 |
バイナンス 全取引ユーザーの本人確認(KYC)義務化 |
10/18-19 |
ビットコインETF (ProShares)ローンチ日 |
10/20 14時 |
Mt.Gox再生計画 決議のための債権者集会 |
前回の週次レポートはこちら:頭角表す米ビットコイン採掘情勢、イーサリアムのバーン総量50万ETH突破
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関連:クリプト指標導入「CoinPostアプリ」の使い方をトレーダー目線で解説|寄稿:Bit仙人
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します