概要
エックス・アール・ピー(XRP)は、高速なトランザクションと高いセキュリティ性能で送金可能な金融機関において主流なパブリック・ブロックチェーン。2004年にカナダのプログラマーであるRyan Fuggerによって考案され、2011年にJedMcCalebがリップル独自のコンセンサスアルゴリズム「Ripple Protocol Consensus(現XRP Ledger Consensus Protocol)」を開発し2012年にメインネットが起動。
リップル社によって管理運営が行われており、中央集権型の暗号資産(仮想通貨)である。企業によって管理されることでトランザクション速度が高速になり、低コスト化することが可能。よって、金融システムにおいて最適な仮想通貨である。
使用用途としては主にブリッジ通貨として利用されている。日本円⇆XRP⇆米ドルのように外貨交換の際に両通貨間の橋渡し的な機能を果たす。
価格
- 現在価格(2024年9月5日時点): 0.557ドル(約80円)
- 年初来高値(2024年3月): 0.718ドル(約103円)
- 年初来騰落率(YTD): -11.44%
- 過去最高値(2018年1月): 3.842ドル(約552円)
価格予想
Finderのフィンテック専門パネルによるとXRPは平均して2024年に66セントで終了すると予想している。その後、2025年末までに1.05ドル、2030年までに2.49ドルに達すると予測している。
Unicoin Technologies Private LimitedのCEOであるSathvik Vishwanath氏は最も強気な立場を取っており、XRPは2024年末までに1.50ドルの価値になると予想している。XRPの価格予測は金融分野におけるユニークな位置付けにあり、クロスボーダー決済と大手金融機関との提携に重点を置いていることに影響を受ける。一方で、XRPは大きな成長の可能性を秘めているが、長期的な評価に影響を及ぼす可能性のある規制上の課題に直面しているとも付け加えた。
Omnia Marketsの創業者であるMitesh shah氏は保守的な見方をしており、2024年末までにXRPが0.75ドルに達すると予想している。Rippleのステーブルコイン構想などの前向きな勢いやSEC訴訟の解決が進み規制の明確化、暗号通貨の強気相場による市場サイクルを基に予測されている。
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時価総額
リップル(XRP)の時価総額は2024年9月時点で約300億ドル、「交換媒体トークン」セクターの中で2位に位置する。同セクターで1位のUSDCの時価総額は約350億ドル。ドージコイン(DOGE): 約140億ドルが3位に位置する。以降はビットコインキャッシュ(BCH)の約60億ドルが追従する。
主な出来事
- 2020年12月:米SECがリップル社を提訴
- 2023年4月:仮想通貨の流動性サービスを開始
- 2023年11月:リップルネットの進化版「Ripple Payments」発表
- 2024年4月:リップル社、米ドルステーブルコイン発行へ
- 2024年8月:裁判所がリップル社に183億円の罰金、仮想通貨XRPめぐるSECとの裁判で
エコシステム支援組織
リップル社: 2012年9月にNewCoin Inc.として設立。後にOpenCoin Inc.に社名を変え、2013年9月に現在のRipple Labs Inc.へと改名された。リップル社はRipple Netなどのソリューションを使って経済的な国境のない世界のための画期的な暗号ソリューションを構築することを目指している。カストディ企業を買収して既存のサービスを強化、システム開発など幅広い分野でリップルのエコシステムを主導している。
リップル社、米仮想通貨カストディ企業を買収 ライセンス拡大へ リップル社、米ドル建てステーブルコイン「RLUSD」の公式サイト公開トークンアロケーション
XRPの総発行枚数は1,000億枚で、全てネットワークの立ち上げ時に発行された。当初Ripple Labsが全体の80%を自社のアカウントで保有し、そのうちわずかな割合が流通供給になり、20%が開発者のアカウントが保有した。
リップル社が保有するXRPは総発行枚数の上限1,000億XRPのうち約60%に当たる630億XRPを保有していた。リップル社が保有する大量のXRPが市場に出れば短期間で市場供給量が増え、価格が暴落するというユーザーからの懸念を払拭するためにリップル社が保有する630億XRPのうち90%の550億XRPがロックアップされることを2017年5月に発表した。
現在はプロジェクトの半分以上が市場に流通し、循環供給は2024年9月時点で610億XRP、残りの390億XRPがチームやプロジェクト基金、助成金基金などに分配されている。
リップル社の2Qマーケットレポートによると2024年6月時点でリップル社が保有するXRPの合計は46億XRPで、XRP Escrowの対象となるXRPの合計は395億XRPである。
出資している主なVC
- 資金調達総額:2.9億ドル
- シリーズC: 2019年12月20日 調達資金は2億ドル
- リードインベスター: Tetragon Financial Group Limited
- フォロー投資家: SBI Investment、Bossanova Investimentos、Route 66 Ventures
リップルの将来性
ロードマップ
Ripple社の公式ブログで機関投資家向けDeFiのロードマップを発表した。XRPLへのAMM機能の導入により資産の自動取引を可能にし、流動性の確保と市場の効率性の向上がされる。
分散型ID(DID)機能によるDeFi領域でID管理を強化することや現実のデータを取得するオラクルの開発によりリアルタイムの市場データの信頼性とアクセス性の確保を目指すなどXRPL開発者コミュニティで分散型アプリケーション(dApp)開発基盤の強化が行われる。
他にも、今後は複雑なトークン構造を構成できるマルチパーパストークン(MPT)の開発やXRP Ledgerネイティブレンディングプロトコルの開発で貸付及び借入による資金調達の機会を提供するレンディング機能など技術開発を推進していくことが記述されている。
期待される今後の動向
リップル社は9月2日にスマートコントラクトなどの高度なプログラム機能を2025年にXRPレジャー(XRPL)に導入するよう取り組んでいると報告した。2つの開発が進められる。
1つ目は数ヶ月後に正式稼働予定のサイドチェーン「XRPL EVM Sidechain」の導入。イーサリアムのEVM互換性があるサイドチェーンである。この開発によって開発者は使い慣れたツールとプログラミング言語を使用することが可能になり、XRP Ledgerでの開発が活発化することが予想される。
2つ目はXRP Ledgerメインネットへネイティブでスマートコントラクト機能を備える予定。スマートコントラクト機能の導入により
- エスクロー(金融取引を円滑に進めるための2者間の契約)
- NFT(非代替性トークン)
- 承認済トラストイン機能(発行者が明示的に承認したアカウントのみが保有できるトークン)
- 支払いチャネル(分割後払いシステム)
- DEX(分散型取引所)
- AMM(自動マーケットメーカー機能)
など様々な機能が開発者のユースケースに対応し、低コストと高速性のあるXRP Ledgerでアプリケーションの構築を行うことが可能になる。
今回の取り組みでビルダー、起業家、ユーザーに様々なユースケースを提供し、イノベーションの加速とXRP Ledgerの拡張機能を活用したい開発者が増加することが予想される。
リップル社、XRPLのプログラム機能強化を発表 数ヶ月でEVM互換のサイドチェーンローンチへエックス・アール・ピー(XRP)に投資したい方はこちらをチェック(PR)
投資リスク、懸念材料
現行の裁判である米SECによるリップル社の訴訟について簡単にまとめる。2020年12月23日に米SECがリップル社、Garlinghouse CEO、共同創業者のChris Larsen氏を提訴した。主張内容は「2013年から7年間に渡り、有価証券登録を行なっていない暗号資産XRPを販売し、1300億円を超える資金を調達したと主張した。」
2024年8月7日、リップル社は米国証券取引委員会(SEC)に対して1億2500万(181億円)ドルの罰金を科された。罰金額は当初のSECが求めた20億ドルの制裁金を大きく下回っている。今回の判決でリップル社に対して今後証券取引法に違反しないよう命じた。米SECとリップル社の裁判が現在も進行しており、裁判内容や判決が仮想通貨業界全体に大きな影響を与えることが予想される。
裁判所がリップル社に183億円の罰金、仮想通貨XRPめぐるSECとの裁判で 米SECが提訴した「リップル裁判」まとめ(20年12月~23年10月)ネイティブ通貨「XRP」
XRPLのネイティブ通貨であるXRPは、2024年5月時点で、時価総額世界第7位の仮想通貨です。日本のコミュニティが発展している仮想通貨で、投資に加え、仲介者不在の個人間送金でXRPを利用することが可能です。
一方で、XRPが高く評価されているのは、ブリッジ通貨としての役割です。ブリッジ通貨とは、「日本円⇆XRP⇆米ドル」のように、ある通貨を他の通貨に両替する際に、両通貨間の橋渡し的な機能を果たす通貨を指します。
マイナー通貨同士、例えば南アフリカランド(ZAR)をアルゼンチンペソ(ARS)へ両替したい顧客がいたとすると、ブリッジ通貨を介さない場合、銀行は需要がほとんどないARSを常に保有する、または基軸通貨として機能している米ドルへ交換してからARSを渡す必要があり、コストおよび処理速度の観点から効率的ではありません。
このようなケースにXRPを導入した場合、システム内で円滑に移動できるXRPのみを外貨準備金として用意すれば良いため、為替ヘッジなどのコストが削減でき、素早い送金も可能です。
5つの注目点
1.米地裁が有価証券ではないと判断、判決時は前日比2倍超に高騰
2020年12月に米証券取引委員会(SEC)から提訴されたリップル社は、XRPの各種のやりとりが「未登録有価証券の販売」にあたるかどうかを2年半に渡って争っていましたが、23年7月にデジタルトークンとしてのXRPは有価証券ではないと地裁に判断されました。
一部の販売については、有価証券法に違反しているとするSEC側の主張も認められましたが、XRP自体や取引所での一般的な売買は証券性がないと判断されたことが好感され、判決後に前日比2倍超に価格が高騰。SECは多くの仮想通貨が有価証券に該当するとの考えを示していますが、XRPについては地裁が有価証券ではないと判断しました。この点について、SECは上訴していません。
2.XRPの現物ETF上場に関心高まる。リップル社が関連求人掲載
XRP自体は有価証券ではないと判決されたことで、ビットコインに続いて米国でXRPの現物ETFが誕生するのではないかと期待が高まっています。
米仮想通貨投資企業ValkyrieのSteven McClurg最高投資責任者(CIO)は24年1月、ビットコインの次の現物金融商品について質問された際「イーサリアムまたはXRPの現物ETFが誕生しても驚かない」と発言しました。
また、同月にはリップル社が「機関投資家向けDeFi」の分野における事業開発部シニア・マネージャーを募集していることがわかりました。職務に関して「社内のトレーディングチームや関連パートナーと仮想通貨関連ETFのイニシアチブを推進する」と書かれています。
ETFへの言及は限定的で、どのような事業に発展するかは詳しく書かれていませんでしたが、これによって現物ETF誕生への期待が一段と高まりました。
3.ブロックチェーンのユースケースが増加、AMMやステーブルコインを開発
国際送金以外でも、基盤のXRPLのユースケースは増加しています。例えば24年3月には、XRPLのメインネットに「AMM(自動マーケットメイカー)」がローンチされたことが発表されました。
AMMの名称は「XLS-30」で、これはXRPL上のネイティブのDEX(分散型取引所)として機能。XLS-30は、ユーザーがプールにXRPなどの流動性を提供して報酬を得ることができることに加え、NFT(非代替性トークン)などのデジタル資産の取引における活用も期待されています。
また同年4月にはリップル社が、XRPLとイーサリアムのブロックチェーン上で米ドルステーブルコインを発行する計画を発表。24年後半にローンチする計画であると説明しました。
4.開発者・ユーザー体験向上へ、サイドチェーンの開発進む
ほかにもXRPLは、サイドチェーンの開発が進められています。サイドチェーンとは、メインチェーンであるXRPLを補完する役割を持ちます。サイドチェーンは、独自のルールを持つ独立したブロックチェーンです。
XRPLのサイドチェーンは24年3月、開発者向けに実験的にローンチされました。サイドチェーンをローンチすることで、資産のトークン化やDeFiなど独自のユースケースが誕生することが期待されています。
5.拡充するユースケース、CBDCや金融領域以外にも普及へ
今後については、上述した以外にも中央銀行デジタル通貨(CBDC)やサプライチェーンなどの分野でもXRPLの活用が進む可能性があります。
CBDCについては、23年5月に開発プラットフォームを立ち上げたことをリップル社が発表。このプラットフォームは一連のサービスを提供するもので、中央銀行、政府、金融機関などをユーザーとして想定しています。ユーザーはCBDCとステーブルコインを発行、管理、取引、償還することが可能です。
また24年5月にはリップル社が、日本にXRPLを活用した企業向けソリューションを導入することを目的に、東京拠点のブロックチェーン企業HashKey DXと戦略的パートナーシップを締結したことを発表しました。
このソリューションを最初に利用するのはSBIグループの企業であることがすでに決まっていて、まずサプライチェーンファイナンスのソリューションをXRPL上に構築する計画です。
こういった全てのユースケースで仮想通貨のXRPが使用されるとは限りませんが、ユースケースの増加はXRPの信頼性や知名度の向上につながります。
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