
価格が5倍以上の予測
英大手金融機関スタンダード・チャータード銀行は4月8日、XRPの投資分析レポートを公開し、2028年までに現在の価格から500%以上上昇し12.5ドルに達する可能性があるとの予測を示した。The Blockなどの海外メディアが報道した。
同行のデジタル資産調査部門のグローバル責任者であるジェフリー・ケンドリック氏は、決済とトークン化のユースケース拡大により、XRPの市場価値がイーサリアム(ETH)を上回り、2028年末にはビットコイン(BTC)に次ぐ時価総額第2位の仮想通貨になりうると分析している。
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要因分析
ケンドリック氏はXRPの成長要因として、規制環境の改善、機関投資家の採用拡大、ユースケースの拡張を挙げている。特に、リップル社CEOのブラッド・ガーリングハウス氏が最近発表した米証券取引委員会(SEC)によるXRP関連訴訟の控訴取り下げは、親仮想通貨派のドナルド・トランプ大統領の選出後に予想された展開だったと指摘。また、2025年第3四半期にはXRPの現物ETFが承認され、初年度に40億〜80億ドルの資金流入が見込まれるとの見通しを示した。
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同氏によれば、XRPの主要機能である国境を越えた通貨間決済は、ステーブルコインと同様、デジタル資産の中で最も急成長している用途に合致している。ステーブルコインの取引量は年間50%成長しており、今後4年間で10倍に増加すると予想されているところだ。さらに、リップル社は米国債ファンドのトークン化やドル連動ステーブルコインRLUSDなど、トークン化分野への展開も進めている。
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ケンドリック氏はレポートで、「XRPのブロックチェーンであるXRPレジャー(XRPL)は決済チェーンであり、トークン化チェーンになる可能性がある」と述べ、XRPLはステラと類似した構造を持つと指摘した。ステラはトークン化市場で現在2番目の規模を持っており、XRPLも同様の成功を収めるポテンシャルがあるという。こうした分析に基づき、同氏は2025年末までにXRPが5.50ドル、2026年には8.00ドル、2028年には12.50ドルに達し、2029年末までその水準を維持すると予測している。

出典:スタンダード・チャータード
これらの見通しは、同期間内にビットコインが50万ドルに達するという前提に基づいており、XRPがより高いインフレ率(XRPは6%、BTCは0.8%)にもかかわらず相対的なパフォーマンスを維持することを示唆している。ただし、XRPの開発者エコシステムは競合他社と比較して比較的小規模であり、低手数料モデルは価値獲得を制限するという課題も残されているが、前述のポジティブな要因によって相殺される可能性があるとケンドリック氏は分析している。
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なお、米国では4月8日、テウクリウム・トレーディング社が米国初のXRP関連上場投資信託「Teucrium 2x Long Daily XRP ETF(XXRP)」のNYSEアーカ取引所での取引を開始した。このETFは現物保有ではなく先物契約を通じてXRPの日次価格変動に対する2倍のレバレッジ・エクスポージャーを提供するものである。ブルームバーグのETFアナリスト、エリック・バルチュナス氏は「新たな資産の最初のETFがレバレッジ型というのは非常に珍しい」としながらも、「現物XRPはまだ承認されていないが、我々の予想では可能性は高い」とコメントしている。
スタンダード・チャータード銀行の強気な予測とXRP関連ETFの登場は、SEC訴訟の不確実性が排除され、トランプ政権下での仮想通貨規制の緩和期待が高まる中、XRPを取り巻く投資環境の大きな転換点となる可能性がある。実際の活用事例拡大と機関投資家からの注目度上昇がXRPの中長期的な成長を後押しする要因として注目されている。