- ブロックチェーンとAIの統合
- ブロックチェーンは既存の産業のあり方を根本から覆す可能性を秘めた新規技術です。現在、研究者はこの適用範囲をより広い領域にまで広げ、ブロックチェーン技術をビッグデータ、IoTといった先進的な分野、さらにAIにまで活用する方法について模索しています。
- ブロックチェーンとAIの類似点
- 本記事では、人工知能とブロックチェーン技術について、データ共有、セキュリティ、信頼(トラスト)などの観点から共通点を考察し、両者の親和性が高いことを示しています。
ブロックチェーンにAIはどう使われるのか
ブロックチェーンは既存の産業のあり方を根本から覆す可能性を秘めた技術として広く喧伝されています。
ブロックチェーン技術の非中央集権化システムは現在多く使われている中央集権的なシステムとは相反するものです。
非中央集権的なデータベースでは、一つの機関ではなく複数の第三者から合意が得られることにより、記録や承認といったプロセスが完了します。
他の中央集権的な技術と比較すると、ブロックチェーン技術はより安全で、素早く、透明性が高いといった特徴を有しています。
この技術のインパクトは、ビットコイン、イーサリアム、ライトコインといった仮想通貨という形で経済的に実証されています。
しかし、この技術の応用範囲は、広告、ヘルスケア、物流、セキュリティといった他分野にも及びます。
現在、研究者はこの適用範囲をより広い領域にまで広げ、ブロックチェーン技術をビッグデータ、IoTといった先進的な分野、さらにAIにまで活用する方法について模索しています。
人工知能とは何か?
「人工知能」は、独立かつ効率的に稼働する機械を指す、包括的な言葉です。
音声パターン認識から自動運転車まで、AIが実現する技術は多岐に渡ります。
AIの目的は、大量に流れるデータを収集して知識を学び、自身をより賢いものへ成長させることができる、学習機能を備えた機械を提供することです。
AIとブロックチェーンの統合
ブロックチェーンは記録、承認、実行といったプロセスを正確なものにし、AIはある特定のパターンやデータセットを識別し、評価、理解することを手助けします。
AIとブロックチェーンは互いに共通する特徴を有しており、遠くない将来にシームレスな関係を形作ることでしょう。
AI・ブロックチェーンとデータ共有
非中央集権的なデータベースでは、クライアント間でのデータ共有がより重要なものとなります。
同様に、AIはビッグデータに大きく依存しており、そのデータ共有が必要不可欠です。
オープンなデータを解析すればするほど、AIの予測や評価の精度は高くなり、生成されるアルゴリズムはより信頼性を増します。
セキュリティ
ブロックチェーンネットワーク上で高価値の取引を扱う際には、セキュリティへの高いニーズが求められます。
このセキュリティは現存するプロトコルによって十分に補強することが可能です。
また、AIが悪用されることにより壊滅的な事件が起こる可能性を減らすため、AIにおいてもハイレベルなセキュリティが求められます。
信頼の必要性
信頼(トラスト)の欠如によって、AIやブロックチェーンが除外されることは、技術進展を妨げる最も大きな脅威です。
AIにおいて、コンピュータ同士が相互に情報交換するシステムを確立するために、一定水準の信頼が求められています。
また、ブロックチェーンネットワーク上でも、取引を実行させるために信頼が求められています。
データの公開市場
先述した通り、AI技術の進歩は無数にある情報源から得られるデータをいかに入手できるかに大きく依存しています。
Google、Facebook、Amazonなどの企業はAIの学習プロセスにおいて有効なものとなる莫大な情報源にアクセスできますが、これらのデータに他の市場参加者はアクセスすることができません。
ブロックチェーン技術にはP2P通信の技術が導入されており、この問題を解決することができます。
ブロックチェーン上の情報はオープンで分散化されているため、ネットワークに参加する皆がデータにアクセスすることができます。
現在のデータ寡占の状態はいずれ終焉を迎え、オープンでフリーなデータ公開市場がこれから普及していくことでしょう。
大量データのマネジメント
データが利用可能になったとしても、それをどう管理、活用するかはまた別の問題となるでしょう。
現在得られるデータ量は1.3ゼタバイトと見積もられています。
大量のデータが分散型システムに蓄積されているために、従来の中央管理サーバーと比較して多くの利点が得られます。
自然災害などの不測な事態が発生し被害を受けたとしても、データが一括で管理されていないため、それらは保存され続けます。
また、ハッキングのリスクも排除でき、データ改ざんへの耐性も高く保つことができます。
AIモデリングと信頼性の高い予測
コンピュータシステムの基本原則のひとつにGIGO(Garbage In, Garbage Out)があります。
AIの分野は大量のデータに依存しており、ある個人、または会社が意図的にデータを改ざんすることで、その結果が改変されてしまうかもしれません。
また、役に立たないデータはセンサーの故障や他のデータ源からも意図せずに得られる可能性があります。
そこで、ブロックチェーンを用いた承認データベースを用いることで、有効性が実証されたデータセットのみに基づいた、正しいモデルが構築されるでしょう。
ブロックチェーンでは、サプライチェーン上のデータにあるイレギュラーな欠陥データも検出することができます。
また、これらのデータはセグメントで管理されているため、トラブルシューティングや異常なデータセットの検知に要するストレスを削減することにも寄与します。
ブロックチェーン技術は「immutability(不変性)」という特徴を有しており、データの追跡、検査を追求することができます。
データ、モデル利用のコントロール
ブロックチェーン、AI技術が進展するために、データ・モデル利用のコントロールは非常に重要な側面となります。
例えば、Facebook、Twitterといった従来のインターネットプラットフォームでは、我々はアップロードしたコンテンツの権利をサービス提供者に譲渡しています。
これは、歌手がレコード契約を結ぶ際と同様の扱いを受け、AIデータとモデルについても、同じ考え方が適用されます。
つまり、データがモデル構築のために作成されたものであるとき、そのデータへの制限と許可を決定するライセンスは作成者に紐づけられます。
そこで、ブロックチェーン技術を用いることでこのプロセスを簡便に進めることができます。
ブロックチェーンネットワークでは、閲覧やデータ使用の許可権を資産として扱うことができます。
仮想通貨プラットフォームでコインが交換できるように、情報へのアクセス権もまた資産として交換が行えます。
HOW ARTIFICIAL INTELLIGENCE CAN BE USED IN A BLOCKCHAIN
Posted on 22 March 2018
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