
低相関資産としてのビットコイン
ブラックロックの米国株式ETF責任者ジェイ・ジェイコブス氏は25日、世界経済の不確実性がビットコイン(BTC)にとって追い風になると述べた。ジェイコブス氏によれば、米国株とビットコインの長期相関性は約0.2~0.3と低く、特に世界的な不安定期において異なる動きを示す傾向があるという。トランプ大統領による対中国などへの関税導入以降、世界の金融市場のボラティリティが高まる中、ビットコインのような従来型資産と異なる動きをする投資先が注目されている。
ジェイコブス氏は今回のCNBC取材で、ブラックロックが「世界市場を形作る巨大な力」と呼ぶ地政学的分断に言及し、「世界的な不確実性がさらに高まる軌道にあるなら、金やビットコインのような資産は上昇を続けるだろう。人々は異なる値動きをする資産を求めているのだ」と述べた。
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また同氏は、中央銀行や主権国家が長期にわたりドル準備から金へとシフトしている傾向が高まっているが、近年はビットコインにも目を向け始めていると指摘。「ドル保有から金保有へ、そしてビットコインのような他の種類の資産への移行は、何年もかけて形成されてきたトレンドだ」と説明している。
ブラックロックは伝統金融の巨人でありながらビットコインのETF商品を通してビットコインの世界的地位の向上を促進してきた。ブラックロックのラリー・フィンクCEOは先月、米国が債務を制御できなければ、ドルの世界準備通貨としての地位がビットコインなどのデジタル資産に奪われる可能性があると警告した。フィンク氏は「分散型金融は市場をより速く、安価で透明にする革新である一方、投資家がビットコインをドルより安全とみなし始めれば、それが米国の経済的優位性を損なう恐れがある」と指摘した。
米国の債務状況について、フィンク氏は年次書簡で今年の政府利払いが9,520億ドルに達し、国防支出を上回ると述べた。このままでは2030年までに義務的支出と債務返済が連邦収入のすべてを消費し、恒久的な赤字状態に陥ると警告している。
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