
企業によるビットコイン寡占リスクは?
『ビットコインスタンダード』の著者サイファディーン・アモウズ氏は、25日に放映されたユーチューブ番組で、暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)についての様々なトピックを語った。
企業がビットコイン購入を進めるリスク、トランプ関税や、ビットコインが貿易赤字解消の手段となることなどを話している。
起業家で、資産運用会社Morgan Creek Digitalの共同設立者であるアンソニー・ ポンプリアーノ氏の番組に出演した際の発言だ。
ポンプリアーノ氏は、ビットコインネットワークの観点からみて、誰か単独のプレイヤーがビットコインを保有する上限はあるかと質問。例えば、ビットコインの供給上限2,100万の内、誰かが1,000万を保有してしまうと問題はあるかと聞いた。
アモウズ氏は、結局のところ深刻な脅威にはならないだろうと回答。
例えば、仮にビットコイン財務戦略で知られるストラテジー社が1,000万BTCを入手したとしても、それを担保にしてさらにBTCを購入するだろうと述べた。また、手持ちのBTCが下落することを考えれば、ハードフォークを行うとも思えないと続けている。
ハードフォークとは
主にブロックチェーンのアップグレードを意味する言葉。前後で互換性を保てない仕様上、プロトコルルールに適応するためにすべてのノードが最新バージョンのソフトウェアにアップグレードする必要がある。コミュニティ内で合意形成できずに分岐(フォーク)する場合、仮想通貨も分岐して新たなコインが誕生する。過去には、ビットコインがハードフォークしてビットコインキャッシュが生まれた。
また、ストラテジー社やブラックロックのような企業は、その株主やETF投資家の代理でビットコインを保有しているのであり、それが適切に行われているのであれば問題はないとも意見した。
背景として最近、ストラテジー社が、一般的なリスク開示事項として「保有するビットコイン(BTC)を売却しなければならない可能性がある」と記していることについて、改めて取り沙汰されていた。
ストラテジー社は、53万8,000BTC超、時価約7.3兆円以上を保有しているところだ。
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トランプ関税、ビットコインによる債務問題への対応
アモウズ氏は、ドナルド・トランプ大統領が行っている追加関税政策は、自国への罰になってしまうとも改めて強調した。
その上で、中国をはじめとする海外の製品に依存している消費者が最もダメージを受けるとしている。一方で、中国の事業者は米国以外の国にも製品を売ることができるため米国の消費者ほどダメージを受けないと続けた。
米国は中国の最大の輸出先であり、その12%を占めているものの、中国は残り88%の国に売ることができるとする格好だ。
さらに、トランプ氏が米国製の製品優遇を唱えているにしても、米国内のメーカーは、原材料を海外から輸入しなければならず、関税引き上げによりこのコストが高くなると指摘した。
現在、世界のサプライチェーンは複雑に様々な国を経由しており、自給自足的な考えは現実的ではなく、関税障壁を設けない方が世界から取引が集まるとの見解を示している。
アモウズ氏は24日にも、これについて詳しい分析を発表している。今回も、企業が来週や来月の関税を予測できない不安定性が、かえって投資を鈍化させていると再強調した。
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また、貿易赤字解消の手段としては、米国政府が保有するビットコインの価値が発行済みマネーサプライと等しくなるまで、政府がビットコインを買い続けるという大胆な方法を提案した。
その効果としてビットコイン価格はドル建てで上昇し、未払いのドルをすべて裏付けられるようになると話している。
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