米SECゲンスラー委員長「有価証券を裏付け資産に持つ仮想通貨は証券法を遵守すべき」 

仮想通貨の有価証券性

米証券取引委員会(SEC)のゲーリー・ゲンスラー委員長は、有価証券を裏付け資産に持つトークンやステーブルコインなどの暗号資産(仮想通貨)関連商品が、有価証券に分類される可能性があるという見解を示した。

具体的な名称は挙げていなかったようだが、バイナンスやFTXが提供を開始した株式トークンのような商品を念頭に置いた発言と見られる。こういったサービスを提供するプラットフォームは、中央集権型でも分散型であっても、米連邦証券法を遵守して報告義務にも従い、SECの管轄下に置かれるべきだと語った。

株式トークンとは

上場企業の株式をトークン化した金融商品を指す。

バイナンスは、アップルやコインベース、テスラなどの株式をトークン化して取引サービスを提供。バイナンスの株式トークンは、米国や中国本土など一部の地域はサービス対象外となっているが、その他の国の規制当局から注視されている。

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ゲンスラー委員長は21日、デリバティブや先物に関する、米法曹協会主催のオンラインイベントでプレゼンテーションを行なった。今回の発言はそのイベントで行われたもので、仮想通貨に関する話は、プレゼンテーションの最後に行われた模様だ。

ゲンスラー委員長は「プレゼンテーションを終える前に、仮想通貨などの金融技術や有価証券に基づいた取引について議論したい」と前置きして上述した話を開始。「有価証券の価値によって価格が決まるトークンやその他の金融商品を提供しているプラットフォームがあり、そういった金融商品がデリバティブのように提供されている」と指摘した。

その上で「その商品が株式トークンであっても、また有価証券を裏付け資産に持つ価格が安定したトークンなどの商品であっても関係ない」とし、「こういった商品を提供するプラットフォームは、中央集権型か分散型かに関わらず、連邦証券法に従うべきだ」と語っている。

そして最後に、「我々は、今後もあらゆる手段を使って、投資家を確実に保護できるように取り組んでいく」と結んだ。

規制対象となる可能性のある金融商品

ゲンスラー委員長がSECのトップに就任したのは今年4月。今回ゲンスラー委員長が示した見解は、SECの前体制から変わっていない。

例えば2020年7月、SECは米商品先物取引委員会(CFTC)と共同で、仮想通貨・株式の投資アプリAbraを運営する米国企業らに、計30万ドル(約3,300万円)の罰金を科すことを発表した。

「Abraおよびフィリピンの提携企業Plutusは、正式な法的登録を行わずに、米国の個人投資家に有価証券のデリバティブ商品を提供した」と主張。また、正規ライセンスを持つ取引所で取引を行なっていなかったとも指摘している。

当時、仮想通貨業界の弁護士Marco Santori氏は、「株式・上場投資信託(ETF)などを原資産とする合成証券化取引(インデックスファンド等をトークン化したデジタル資産の取引など)を提供するAbraが、当初米国の個人投資家に向けてサービスを提供していたことで、『適格投資家にしか販売していはいけない』とする条項を違反していた」と説明。

たとえ現物の株式等ではないケースでも、米国では適切な登録が必要で、登録なしに米居住者へサービス提供を行う場合は法に触れることになることが明らかになった。

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また最近では、ステーブルコインの時価総額としては1位と2位のUSDTとUSDCが裏付け資産を公開。どちらも債券やコマーシャルペーパーといった有価証券を裏付け資産に含んでいるため、今後はステーブルコインも有価証券に分類される可能性があるとの見方も出ている。

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米国では最近、ステーブルコインの規制を求める声が多い。今週にはイエレン米財務長官が、米金融規制当局の責任者たちに、ステーブルコイン規制の策定を促した。

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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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