ビットコイン5万ドルの節目ブレイクで続伸、パレットトークン(PLT)やカルダノ(ADA)高騰
ビットコイン相場と金融マーケット
週明け23日の暗号資産(仮想通貨)市場。ビットコイン価格は、前日比+1.58%の544万円(50,118ドル)と続伸した。週足は、これで5連続陽線。
オプション市場でも意識されていた心理的節目であり、レジスタンスライン(上値抵抗線)の5万ドルを打開した。決して一本調子ではなく、短期的な調整局面にて売り圧力を吸収しながら高値・安値ともに切り上げるN波動で上昇していることから、過熱感は抑え気味と言える。
また、今年5月〜7月まで悪材料が相次ぎ、足元の売り圧力が最大化する中で「ベア相場」からのトレンド転換であるため、デリバティブ市場の「Funding Rate(資金調達率)」も控えめだ。
一方、主要仮想通貨取引所の先物OI(未決済建玉)は、過去30日間で220億ドルから370億ドルまで急増した。行き過ぎた過熱相場でOIが溜まっていくと、乱高下リスクは上昇し得る。
相場の過熱感を推し量る指標として機能する仮想通貨市場の「Fear&Greed Index」は、23日時点で「Extreme Greed(過度の欲望)」を示す79に達した。
年初来安値28,000ドルの底割れ懸念が強まっていた1ヶ月前は、「Extreme Fear(過度の恐怖)」を示す22未満を推移するなど”総悲観”だったが、わずか1ヶ月で相場環境は大きく好転した。仮想通貨相場にとって、個人投資家のセンチメント(市場心理)改善はポジティブだと評価できるが、一部アルトの過熱シグナルは懸念点か。
個別銘柄の動向
今年5月以来となるアルトコインの急速な買い戻しが進んでいる。投資家の資金再流入で、個別銘柄は引き続き活況にある。
カルダノ(ADA)
Coinmarketcap(CMC)の時価総額ランキング3位のカルダノ(ADA)が、過去最高値を更新。前日比+12.22%の2.81ドルまで上昇した。過去30日間の騰落率(TOP10銘柄)では、CMC10位のSOLに次ぐ前月比+127.6%を記録したほか、年初来騰落率では、ビットコイン(BTC)の約20倍、イーサリアム(ETH)の約5倍の伸びを観測した。
ADAは、イーサリアムの共同創設者であるチャールズ・ホスキンソン氏が率いるブロックチェーンプロジェクトのネイティブトークン。開発企業IOHKによると、イーサリアムの主要機能の1つである「スマートコントラクト」導入予定を含む、大型アップグレード「アロンゾ」のメインネットローンチ目標日を9月12日としている。
7月2日には、大手資産運用会社のグレースケールが、デジタル資産運用ポートフォリオの4.26%にカルダノ(ADA)を加えたことがわかった。同社のデジタルラージキャップファンドは、ビットコインが67.47%、イーサリアムが25.39%を占める。
9月25日〜26日には、バーチャルイベントとライブイベントを組み合わせた、カルダノの大規模カンファレンス「Cardano Summit 2021」が開催予定となっているほか、8月25日には国内取引所ビットポイントジャパンに上場予定。
パレットトークン(PLT)
また、仮想通貨取引所コインチェックに上場した、国内初のIEO(Initial Exchange Offering)である「パレットトークン(PLT)」が、前週比+47.64%の92.1円台まで続伸した。8月上旬に記録した過去最高値94.8円に迫る騰勢を見せる。
事前準備されていたとは言え、上場1ヶ月足らずでのテストネット→メインネット(本稼働)ローンチは、過去の例を見ても異例の早さだ。31日には、公式ウォレットアプリをリリース(iOS版はApple審査完了次第)としている。
国内外の他取引所での上場思惑のほか、9月上旬にパレット・コンソーシアムにデリゲート(委任)する形で、現物PLTのステーキング需要が控えることなどが好感された。
パレット(Palette)は、アニメ・漫画を中心とした日本発のデジタルコンテンツ(NFT)を中心に発行・管理・流通するためのブロックチェーンネットワークとして期待を集める。PLTは、7月29日にコインチェックに上場。トークセールの募集開始6分で目標資金調達額の約9億円に達したほか、最終申し込み倍率24.1倍に及んだ。
ステーキングとは、仮想通貨をプロトコトルに預け入れることで、ネットワークの維持に貢献する見返りとして、対価(報酬)を得ること。中・長期用保有資産の運用方法の一つとして、株の配当と似たような仕組みとして認知されている。株と異なるのは、対象先が上場企業ではなく、サービス及び基盤を構成するブロックチェーンプロジェクトである点だ。
パレットは、DeFi(分散型金融)やNFT(非代替性資産)隆盛に伴うイーサリアムチェーンのガス代(ネットワーク手数料)高騰や、クロスチェーンエコシステムの相互関係など考慮し、「コンソーシアム(共同事業体)チェーン」として運用されている。
企業などが運用する各ノードの報酬額は、委任されている総PLT量で変化するほか、ステーキング報酬(還元率)を任意に決められるため、コンセンサスノード間の競争原理が働くことになるという。支援したいノードを選択し、保有量に応じたガバナンストークンとして、エコシステム運営に対する投票権としても機能するものとみられる。
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2017年の第一次仮想通貨バブルでは、日本の取引高シェアは世界上位の存在感を示していたが、2021年現在は欧米の発展を後目に大きく減衰した。
18年1月のコインチェックハッキング事件で規制強化に乗り出した金融庁による国内事業者への一斉立入検査と「業務改善命令」などを境に、日本市場の温度感や企業進出の機運が急速に冷めたことが背景にある。
しかし、コインチェックは18年4月に豊富な金融ノウハウを有する上場企業のマネックスグループの傘下に入り、顧客基盤をさらに拡大。相場環境の好転や企業努力も相まり、業績面での経営再建も果たした。
そのコインチェックが、仕組み上問題の多発したICO(Initial Coin offering)からの脱却と業界健全化を目指して支援するIEOは、日本国内の厳しい規制に準拠した形で行われることもあり、”試金石”としての側面も強い。
今回、国内発のトークンでグローバルでの成功事例が作れれば、コインチェックIEO「第二弾」など後続が続く道筋が生まれることになり、国内マーケット再興の機運となり得るだろう。
詳細:国内初IEO、パレットトークン(PLT)の特徴と将来性を解説
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