頭角表す米ビットコイン採掘情勢、イーサリアムのバーン総量50万ETH突破 CoinPost週次データレポート Vol.30
10月の仮想通貨動向
10月第1週の暗号資産(仮想通貨)市場。株式市場が乱高下するなか、ビットコイン(BTC)はおよそ5ヶ月ぶりに55,000ドル(600万円)台を回復するなど上昇基調を継続した。
母数が少ないので参考程度にはなるが、過去の季節性アノマリーでは、例年「米国の4Q(第4四半期)」相場は上昇傾向にある。材料視されたニュースでは、世界三大投資家ジョージ・ソロス氏のヘッジファンドの仮想通貨保有が明らかになったほか、米国初となる「ビットコインETF(上場投資信託)」承認に関する思惑も買いの手掛かりとなっているとの指摘がある。
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時価総額2位のイーサリアム(ETH)は、週末にかけておよそ1ヶ月ぶりに40万円台に復帰。11日にはバーン(焼却)された供給量が累計50万ETHを超えた。執筆時点では2,000億円に相当する量に相当する。(WatchtheBurn参照)
米国のマイニング情勢
5ヶ月ぶりにATH(過去最高値)に迫る水準まで復帰したビットコインだが、21年5月の急落時には、中国の仮想通貨マイニングに対する規制強化もネガティブな影響をもたらしている。その後の取り締まり対象は、採掘事業者をはじめ、仮想通貨取引所やウォレット企業、中国向けにサービス展開する海外の関連事業者にまで広範囲に及んだ。
この問題でマイニング最大手のBitMainが中国への採掘機器の出荷を停止するなど、中国国内でのマイニング業者は事実上追い出される形になり、アメリカ、カナダ、ロシア、カザフスタンなどに拠点の移動を強いられた。ビットコインのハッシュレート1位を長らく保っていた中国が仮想通貨マイニングを全面禁止した一方で、同2位のアメリカではマイニング事業が活性化しつつある。
採掘事業を手がける米上場企業の報告によれば、第3四半期(7月から9月末)までの期間で米7社は約6,463BTCの採掘に成功。これは3Qのブロック報酬の約7.5%に相当する額だ。
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テキサス州の台頭
また、週末にかけて開催された「テキサスブロックチェーンカンファレンス」では著名アナリストのNic Carter氏や共和党のTed Cruz議員などが登壇した。Cruz議員は米国1位の風力発電設備を誇るテキサス州とビットコイン採掘の親和性があると指摘した。
従来、風力発電や太陽光発電、また火力発電では消費されなかった余剰のエネルギーを利用する手段がない場合には、インターネット設備が整っていればビットコイン採掘が可能であるとCruz議員は言及。2月の大停電など有事の際には予備電力として機能できるとして、マイニング業界の将来性を高く評価した。
一方、Carter氏は米大手マイニングプール企業Foundry社のデータを引用し、米国内でも以下の州でハッシュレートが高いと言及。(10月5日時点)
- ニューヨーク州(19.9%)
- ケンタッキー州(18.7%)
- ジョージア州(17.3%)
- テキサス州(14%)
ただ、同社のマイニングプールには多数の企業が参加している反面、テキサスで大きな採掘拠点を構えるRiot Blockchain社などは参加していないため、実際にはさらに大きい可能性があるとした。
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テキサス州では銀行の仮想通貨カストディを許可するなど、州全体で仮想通貨マイニングに有効的な政策を推進している。Gregg Abbott州知事も6月には「ブロックチェーンは急成長している業界であり、テキサス州もこれに参与していく必要がある」と積極的な姿勢を示していた。
時価総額TOP20の騰落率
Coinmarketcap(CMC)時価総額上位銘柄の週間騰落率は、以下の通り。(10日時点:ステーブルコイン除く)
- シバイヌ(SHIB)+207.02%
- ビットコイン(BTC)+13.63%
- リップル(XRP)+7.89%
- ポルカドット(DOT)+7.35%
- ドージコイン(DOGE)+3.63%
上位銘柄の週間騰落率では、芝犬をモチーフにしたSHIBトークンが群を抜いている。時価総額でも頭角を表し、5月以来、およそ5ヶ月ぶりに上位20以内に浮上した。
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ビットコインのオンチェーン・データ
ビットコイン(BTC)関連の注目のオンチェーンデータは、以下の通り。
難易度調整
ビットコイン・ネットワークは先週5日、+4.71%で難易度調整を完了。7月31日以降、6度目のプラス調整が続いている。
難易度調整とは
過去2016ブロックで実現したブロック生成時間を基準として、算出されるハッシュレートの推定値から次回2016ブロックの生成時間10分になるように調整する仕組み。平均で2週間に1回難易度が変更される。
▶️仮想通貨用語集
BTCドミナンス復調は気味
また、9月上旬には一時40%手前まで低下していたビットコインのドミナンス(市場占有率)は再び回復傾向にある。11日時点では45.55%を記録した。
BTCの実現価格がATH更新
また、仮想通貨分析企業Glassnodeによれば、ビットコインの実現価格は10日に21,648.78ドルを記録。前日の9日に続き、過去最高値(ATH)を更新した。
実現価格(Realized Price)は実現時価総額を現在の流通供給量で割った額で、市場価格に比べて、デリバティブなどの影響を加味しない状態で現物が取引された額を知るために適している。
実現時価総額とは
仮想通貨のUTXO(未使用の取引アウトプット)データを基に、現在の市場価格ではなく最後の取引時点での価格(実現価格)から算出した時価総額。市場全体がどれだけの価格で参入したかをおおまかに表す指標となっている。
▶️仮想通貨用語集
過去の歴史的には、ビットコインの実現価格上昇は、強気相場の際に起きる傾向があるという。
長期保有トレンド強まる
オンチェーンデータからはBTC保有者の長期保有傾向が過去最高水準になっていることが確認されている。
著名アナリストのWill Clemente氏はビットコイン供給量の約85%が過去90日間取引されていないと指摘。直近約1ヶ月では同数値は92%と、前代未聞の水準でネットワーク全体でHODL(長期保有)傾向が高まっているとした。
また、オンチェーン分析サイトSantimentの統計では、ビットコインの取引所預入残高も2019年6月以来およそ30ヶ月ぶりの低水準に達したという。
取引所預入残高とは
取引所に預入(デポジット)されている仮想通貨の総量を示す指標。取引所に入金されていない仮想通貨は即座に取引(≒売却)し難いため、同指標の低下は、売り圧力の低下を示唆する。
▶️仮想通貨用語集
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BTCクジラの動向
一方、著名オンチェーンアナリストのAlex Moskovski氏は100BTCから1,000BTCを保有する大口投資家層の保有するBTC供給量が5ヶ月ぶりの水準に達したと指摘した。
ビットコイン価格が55,000ドルに達した際には約5分の間で16億ドル(約1,800億円)もの買いが発生したというデータも確認されており、BTC価格の上昇に影響した可能性が浮上していた。
懸念材料も
停滞気味だった夏季の険悪ムードを払拭し、好調な推移を続ける一方で、ビットコイン市場にも注意して見守る必要がある指標も出ている。
機関投資家向け取引サービスのQCP Capital社は、「昨年に比べて、デリバティブ(金融派生商品)市場のOI(未決済建玉)が約3倍まで増加している」点を懸念。OIが上昇すれば、市場の乱高下(下落)リスクも強まるとの見解を示した。
CME(シカゴマーカンタイル取引所)のビットコイン先物取引でも取引量が低下する一方、OIは4〜5月の水準へと急増していることが伺える。
イーサリアムのオンチェーン・データ
イーサリアム(ETH)関連の注目のオンチェーンデータは以下の通り。
ETH2.0 ステーキング額
イーサリアムのステーキング額は前週から10万ETH増加した。
ステーキング額:793万ETH(前週比+10万ETH)
関連:仮想通貨ステーキングとは|初心者でもわかる「報酬」の仕組み
DeFi(分散型金融)
DeFiプラットフォームのTVLは10日時点で2028億ドル(22.8兆円)を記録。DeFiプロトコルのTVLは9月上旬の水準を突破して過去最高値(ATH)を更新した。
【前週比:+88億ドル(1.3兆円)】
TVL(Total Value Locked)は、DeFiプロトコルへ預入れされた仮想通貨資産の総ロック額を指す。
クリプト指標
日程 | 指標 |
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10/13 |
BlockFi 証券法違反に関する公聴会 |
10/15 |
リップル社 有価証券性をめぐる「エキスパート・ディスカバリー」終了期限 |
前回の週次レポートはこちら:ビットコイン採掘速度が復調、イーサリアムのバーン量は1,500億円相当に
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関連:クリプト指標導入「CoinPostアプリ」の使い方をトレーダー目線で解説|寄稿:Bit仙人
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します