仮想通貨市場のデータ傾向
5月以来およそ5ヶ月ぶりに56,000ドル(600万円)台に到達、時価総額も1兆ドル(約110兆円)に回復するなど騰勢を強めるビットコイン(BTC)。一部アルト銘柄も好調な兆しを見せている。
直近では、BTCクジラの大口取引が観測された。仮想通貨分析サイトCryptoQuantのKi Young Ju CEOも約5分間に16億ドル(約1780億円)もの買いが発生したと指摘した。
Someone(s) bought up $1.6B worth $BTC via market orders in just 5 minutes.
— Ki Young Ju 주기영 (@ki_young_ju) October 6, 2021
Short liquidations seem relatively smaller like $17M at that time.
This is more like whale buying, not cascade liquidations.https://t.co/dD3OsykiET pic.twitter.com/0NnvbmaYYm
ビットコインの長期保有強まる
本記事では、ビットコインやイーサリアムの長期トレンドが強まっていることをデータから紹介する。直近数ヶ月続いているトレンドとしては、ビットコインのHODL(長期保有)傾向が高まっていること等が挙げられる。
オンチェーンアナリストのWill Clemente氏はビットコイン供給量の約85%が過去90日間取引されていないと指摘。直近約1ヶ月では同数値は92%と過去に例を見ない水準で投資家の保有傾向が拡大していると分析さており、マーケットの需給に影響する要因になっている可能性がある。
An estimated 38.2% of BTC supply is lost
— Will Clemente (@WClementeIII) October 7, 2021
92% of supply hasn't moved in at least 30 days
85% of supply hasn't moved in at least 90 days
The scarcity of #Bitcoin cannot be overstated.
動いていないビットコインの内、約38.2%のビットコインが事実上「永久に失われている」状況にあるという。ビットコインの希少性が高まっていると分析した。
20年12月にデータ分析企業Glassnodeが発表した分析によると、秘密鍵の紛失などにより、アクセス不可能となった供給量は300万BTCと仮定していたが、Clemente氏の見解はその2倍を超える水準に相当する。
ビットコインの保有傾向は他の指標からも確認されている。
また、オンチェーン分析サイトSantimentの統計では、ビットコインの取引所預入残高は2019年6月以来約2年半ぶりの低水準に達した。取引所に預け入れられているビットコインの比率が低下したことで、BTCの大量売却が発生するリスクの減少につながるため、前向き材料として捉えた。
👍 With #Bitcoin on the cusp of returning to $50k for the first time in four weeks, this comes as the percentage of supply on exchanges has now dropped to its lowest level since June 4, 2019. The 30-month low further de-risks chance of a major selloff. https://t.co/pejKn7byGS pic.twitter.com/ifgTSzocGK
— Santiment (@santimentfeed) October 5, 2021
取引所預入残高とは
取引所に預入(デポジット)されている仮想通貨の総量を示す指標。英語ではExchange Supply。
取引所にない仮想通貨は即座に取引しづらいため、同指標の低下は、急激な大量売却の可能性が減少することを示唆する。
▶️仮想通貨用語集
ビットコインの取引所預入残高は9月にも過去3年間で最低水準に到達。CryptoQuantのKi CEOも流通するビットコインの供給量不足は、価格面にポジティブとの見方を示していた。
関連:オンチェーンデータから見るビットコイン長期保有傾向は過去最高水準に
米採掘企業の保有も拡大
また、中国の仮想通貨規制強化を受け、次なるマイニング拠点として白羽の矢が立っているアメリカではマイニング企業が相次いで3Q(第3四半期)におけるBTC採掘量を報告。2Qに比べ、採掘能力は82%向上しており、米企業が本腰を入れていることが伺える。
Riot、Marathon、Bitfarms、Hut8など7社の上場企業は合計6463BTCの取得に成功しており、これは3QにおけるBTCネットワーク全体におけるブロック報酬の7.5%に相当する。
7社の保有するビットコイン量は通算では20,000BTCを超えており、執筆時点では1,200億円以上に相当する額だ。
関連:北米上場の仮想通貨採掘企業、合計で1200億円相当のビットコインを保有
イーサリアムの保有傾向も
Santimentによれば、イーサリアムマイナーが保有するETH量が増加中だ。2016年6月以来およそ5年半ぶりに53万ETHの高水準に達している。ETH価格の上昇を受け、これは時価総額換算で過去最大規模の185億ドル(2,000億円)に相当する額だ。
ステーキングが開始したことで、マイナーも次のビジネスに繋げる目的で保有を意識している可能性がある。
#Ethereum is up to $3,480, the coin's highest price in 16 days. Notably, miner balances have continued to skyrocket. 532.75k $ETH is the largest balance held by miners since July 13, 2016. The value of these coins is $1.85B, easily an #AllTimeHigh. https://t.co/zf2g4ypqiJ pic.twitter.com/atPnYLhAgc
— Santiment (@santimentfeed) October 5, 2021
また、イーサリアムの取引所預入残高も9月上旬、観測開始以来では過去最低水準の17%を記録したばかり。同指標は20年3月からの1年半で27%から10%低下していた。
🎇 #Ethereum's long-awaited return to $4,000 finally happened today. On-chain metrics agree with this event, & the ratio of $ETH on exchanges tells an incredible story. Since March 15, 2020, exchange supply has dropped from 27% to 17%. Price is up 3,447%. https://t.co/5YqKraSGzV pic.twitter.com/LZuqmVt6gZ
— Santiment (@santimentfeed) September 3, 2021
他にも8月に導入されたEIP−1559の影響で、バーン(焼却)されたイーサリアムの総数は47万ETHを超えており、執筆時点では1,900億円に相当する(参照:Watch the Burn)。