- 中央集権化された国家仮想通貨クリプトルーブルの実現可能性
- ロシア財務大臣はプーチン大統領にクリプトルーブルに対する批判を明確に伝え、本来の分散化が基盤とされる仮想通貨の根本にそぐわないと主張しました。
- 中央銀行の副総裁が国家仮想通貨導入の難しさを痛感
- ロシア連邦中央銀行の副総裁は、ロシアがユーラシア経済連合とブリックスとのメンバー間で国家仮想通貨の開発について協議するかもしれないことを述べました。
ロシアの財務大臣は、国家が関与しない前提で、法定通貨としての仮想通貨であるクリプトルーブルへ賛成の意を示しました。
ロシアメディアによると、財務大臣Anton Siluanov(以下 シルアノフ氏)は、仮想通貨の基盤が分散台帳であることを考えると、クリプトルーブルのような中央集権化されたコインの開発は、不可能に近いという見解をプーチン大統領に伝えました。
大統領への助言
Vladimir Putin(以下 プーチン氏)の要求に応じる形で、シルアノフ氏は“クリプトルーブル”の発行の実現可能性について模索を行い、プーチン氏に仮想通貨の特性について助言しました。
彼は2018年1月29日付の文書で、金融監査局の管理下であれば、ロシア財務省が仮想通貨を発行する私的なプロジェクトを反対することはないが、その投資に政府が関与することは一切ないだろうと綴りました。
Interfax(モスクワに拠点を置くロシアの非政府系通信社)の文書によると、シルアノフ氏は“通貨発行に伴う技術的課題”を鑑みると、中央集権化された国家仮想通貨発行をすることは不可能であるとの見解を示しています。
“仮想通貨技術は分散台帳が基盤”であることをシルアノフ氏は指摘しており、財務省は未だ国家資金を今回の開発に使う考えに賛成ではないようです。
またシルアノフ氏は、分散台帳を使用する技術は、法律規制や技術的な限界のもと成り立っていると述べました。
その点において、シルアノフ氏は、現在機能している通貨は、ビットコインやイーサリアムといった一部の仮想通貨のみに限られると言及しました。
シルアノフ氏はさらに、ロシア人の外国為替取引にかかる規制について言及し、“国家仮想通貨の使用により外国人投資家を引きつけることができたとしても、外国為替取引に関しても対処しなければならないでしょう”と述べました。
為替取引の規制により、ロシアの国家仮想通貨の取引が他国と行われる際には、何かしらの制限がかかることになるでしょう。
また当文書では、分散台帳が機密性にかけていることを指摘し、分散台帳を軍事目的で運用することへのリスクについても言及されました。
このことに関して、シルアノフ氏は、ブロックチェーン取引が完全に匿名で行われ、追跡不可能であるとの主張に強く反対の意を示しています。
また、多くの人がマネー・ロンダリングやテロ資金調達として不当に仮想通貨が使われることを懸念しています。
クリプトルーブル – 争いの種
昨年12月、シルアノフ氏の補佐官Alexei Moiseev(以下 モイセフ氏)は、クリプトルーブルの開発は財務省にとって“非現実的な考え”であると述べました。
シルアノフ氏の言及により、国家仮想通貨のアイディアに当初から興味を示していたロシア連邦中央銀行と、その開発に難色を示している財務省との間に齟齬が生じていることが明らかにされました。
中央銀行は、ビットコインのような合法化された分散型仮想通貨には反対の意思を示しています。
昨年の夏、ロシア連邦中央銀行は、“クリプトルーブル”とよばれる“国家仮想通貨”発行の可能性について研究する意思があったことを明らかにしました。
12月に入り、中央銀行の副総裁であるOlga Skorobogatovaは、ロシアがユーラシア経済連合とブリックスのメンバーで構成されるチームとともに、加盟国間での取引で使用可能なデジタルコインを開発することを協議するかもしれないと公表しました。
副総裁はさらに、“国家仮想通貨の導入は、マクロ経済学の観点からみると完全に正当なアイディアではないように思える”と述べ、中央銀行の意向が変わったことを示唆しました。
Centralized Cryptoruble Not Possible, Minister Tells Putin
February 23, 2018 by Lubomir Tassev
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