- 登録仮想通貨交換業者16社が新団体設立に正式合意
- 登録仮想通貨交換業者16社を中心に、日本仮想通貨事業者協会(JCBA)と日本ブロックチェーン協会(JBA)が、金融庁と連携して自主規制に取り組むため、新団体設立に合意しました。JCBAとJBAは継続し、新団体と3団体で併存してく予定とのことです。
- 利用者保護やセキュリティ体制構築に向けた動きが加速
- 認定自主規制団体とは、「自主規制規則に対しての強制力を持つ団体」になるということです。自主規制の違反が起こった場合、ペナルティを各業者に課すことができます。
仮想通貨新団体設立:記者会見の内容
3月2日に登録仮想通貨交換業者による、新協会設立合意に関する記者会見が行われました。
登録仮想通貨交換業者16社が、資金決済に関する法律第87条に規定する認定自主規制協会を目指すことを合意したとの事で、今回合意した登録仮想通貨交換業者は、以下の通りになります。
- 株式会社マネーパートナーズ
- QUOINE株式会社
- 株式会社bitFlyer
- ビットバンク株式会社
- SBIバーチャルカレンシーズ株式会社
- GMOコイン株式会社
- ビットトレード株式会社
- BTCボックス株式会社
- 株式会社ビットポイントジャパン
- 株式会社DMM Bitcoin
- 株式会社ビットアルゴ取引所
- エフ・ティ・ティ株式会社
- 株式会社BITOCEAN
- 株式会社フィスコ仮想通貨取引所
- テックビューロ株式会社
- 株式会社Xtheta
の16社となります。
新団体の設立で何が変わるのか?
では、今回のこの認定自主規制団体の設立でどう変わるか。
証券業に関しては、日本証券業協会が自主規制を行っているように、今回設立される仮想通貨交換業者による自主規制団体によって、仮想通貨交換業に関するルール制定が促進される事が期待されます(設立した団体が、これから金融庁に認定を受ける事を前提に)。
直近のコインチェック事件の問題や、年明けからの仮想通貨市場の下落によって、消費者保護や仮想通貨交換業者による内部管理体制について「強く危機感があった」旨の話が、記者会見の中でありました。
現時点では、新協会の名称、所在地、設立および認定申請時期などの詳細については未定とプレスリリース文では記されていましたが、質疑応答の中で、「設立はいつ頃になるのか」との問いに対し、加納氏は以下のように回答しています。
「設立は、定款など必要な書類を揃えて、登記手続きをする事になるが、概ね1ヶ月程度かかると考えている。」
「実際に設立し、運営していくにあたっては数ヶ月かかるといった印象です」
と答えており、奥山氏は
「認定自主規制団体を目指す社員(会員)を迎え入れ、体制をしっかりと整備していく必要がある。最短で進めていきたいが、設置は金融庁などの当局による承認によってなるものであり、それにふわさしい箱(団体)を作っていく。」
「その為に、設立までには加納の方も話していたように、1ヶ月は見ております。」
との事でした。
新団体での規則の制定について
新団体内でどういった規則が話し合われるかについては、
- 利用者管理に関する規則
- 仮想通貨インサイダー情報管理規則
- 不公正取引防止の為の取引管理体制に関する規則
- 注文管理体制に関する規則
- 仮想通貨交換業に関与する従業員に関する規則
- 広告等の表示および景品等の提供に関する規則
- 仮想通貨差金決済取引に関する規則
- セキュリティに関する規則
- AML/CFT(マネーロンダリング防止とテロ資金供与対策)に関する規則
などが具体的に挙げられていました。
また、規制に関するプライオリティ、どういった点を早急に重点的に話し合われるべきかとの問いには、
「技術的な側面も含む、内部管理に関して取り組む必要があると考えております。」
「”ICOに関する線引き、ガイドライン、ホワイトペーパーの整備”が急がれているとも思いますし、”システム障害の問題、入出金のトラブル、お客様からの苦情の対応”に関しても必要だと考えている。」
と奥山氏が回答。加納氏からは
「プライオリティはセキュリティ、広告規制に関して重点的に議論されるべき。不公正な市場だと思われると業界全体にマイナス。」
「犯罪を防ぐようなものは早急に、重点的に議論されるべき。」
との回答がありました。
さらに注意点として、日本仮装通貨事業者協会(JCBA)と日本ブロックチェーン協会(JBA)の活動は、今後も継続していくとの事で、JCBAとJBAと新団体の3団体が併存していく状態になるとの事です。
質疑応答
他にも、質疑応答では、以下の問いと回答がありました。(回答は奥山氏、加納氏、または両者の回答を統合して一部表現を変えながら、記載しております)
注目内容一覧
―仮想通貨交換所の公共性についてどう考えているか(証券取引所であれば、”上場する企業に対する法令、登記上の問題がないか”などを調査しているが、仮想通貨交換所はそういった上場銘柄についてどう考えているか)
取り扱う仮想通貨に関しては(金融庁に)届け出が必要であり、(ホワイトペーパーなどに基づいて)お客様に対して取り扱う仮想通貨に対する説明の義務は生じると思います。
取り扱う仮想通貨が不適切だと判断した場合は、取り扱い拒否にするなど、当局と確認しながら、しっかりと取り扱う仮想通貨に関しては精査して参りたい。
ユーザーに対するリスクの大きいものは排除すべきだと考えている。
新しいブロックチェーンという技術を規制の中にどこまで盛り込んでいくのか、どこまで規制から離れた自由なところで、どう推進していくのか、両協会の中で考え方の違いがあっただけでなく、お金に関する規制の考え方、技術をどう推進していくかという考え方の違いがあった。
今後は、両協会歩み寄り、技術的知見を連携、共有していきたい。
無登録業者に関しての警告については、金融庁の方から出されるという認識。
今回、認定自主規制団体の設立にあたっては、早急には登録を受けた仮想通貨交換業者が集まり、結成することになる。
みなし業者に対しては、受け入れの体制を進めていくが、無登録業者についてはなんとも言い難い。
登録を目指している業者に関しては、これから設立する団体にも申請をいただきながら、金融庁の登録が住み次第、正会員となる。
証券業界の自主規制団体の場合、証券会社の設立に関する支援も行っている。
認定自主規制団体として、現在無登録の業者が登録される為には何が必要か、また設立する会社に関しても何が必要か助言していくのも役割だと考えている。
みなし業者と無登録業者に関しては、一括りにすべきではない状況と認識はしている。
「認定自主規制団体とは、自主規制規則に対しての強制力を持つ団体になるということ。」
自主規制の違反が起こった場合、ペナルティを各業者に課す事ができる。
その為、認定自主規制の”認定の言葉”は重たい意義があり、認定を受けるだけの体制、ガバナンスを発揮していることが強く求められる。
しかし一方で、必要以上に強制力を発揮するような団体になってもよろしくない。
バランスを鑑みながら、利用者保護と業界の健全な発展に寄与する団体であり、そういう事ができる。」
多くの人に認識されて、多くの人にご利用いただいて、注目されているという点で違っており、公共性、信頼性のある業界になることが求められている。
直近、残念な事件があって、再びそういったことが起こらないように、信頼を回復していきたい。
技術的にイノベーティブで、可能性のある技術。技術的なイノベーションと規制のあり方を議論していくタイミングになっている。(加納氏)
CoinPost考察
利用者保護のための自主規制制定に向けた動きが、さらに加速していきそうです。
これは業界にとっては、好感されるべきニュースであり、今後自主規制やルールが整備されることで、仮想通貨に関する投資やビジネスが安心して行われるものになっていく事でしょう。
加納氏、奥山氏の両氏も話していたように、規制とイノベーションのトレードオフの関係も課題になってきますが、今回の認定自主規制団体を中心に、しっかりとしたルールが整備され、イノベーションの促進がされていくことを期待しております。
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