売上高最高も株価下落
米大手半導体メーカーのNVIDIA(エヌビディア)は20日、8~10月期の決算報告を行った。売上高は過去最高の351億ドル(約5.4兆円)を記録し、市場予想の331.6億ドルを上回っている。二期連続で過去最高を記録した形だ。
また、今期11~1月の収益見通しは375億ドル(プラスマイナス2%)と予想。これはアナリストの事前予想370.9億ドルをわずかに上回っていたものの、増収率は8~10月期の94%から約70%に下落する予測となる。
このことを一つの背景にして、エヌビディア株式は決算発表後、時間外で一時的に約3.5%下落した。
エヌビディアのジェンスン・フアン創業者兼CEOは、AI(人工知能)の台頭が事業の後押しになっているとして、次のようにコメントしている。
AIの時代が本格的に到来し、世界的に当社のコンピューティングの導入が進んでいる。
基盤モデル(汎用AIモデル)メーカー各社は、事前トレーニング、事後トレーニング、推論の規模を拡大しており、ホッパーへの需要とブラックウェルのフル生産への期待が非常に高まっている。
ホッパーはGPUアーキテクチャである。ブラックウェルはその後継であり、大規模言語モデル用に特化したものだ。
フアンCEOらは、今四半期にはブラックウェルの出荷が伸びて、その売上高も当初見通しの数十億ドルを上回ると予想している。
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ソフトバンクもAI事業に活用
エヌビディアは、最近の事業進捗状況も説明。ソフトバンク株式会社がブラックウェルのプラットフォームを使用して強力なAIスーパーコンピューターを構築したことに言及した。ソフトバンクは2025年初頭までにこのコンピューターを導入し、AI関連事業に活用する見込みだ。
また、ソフトバンクはエヌビディアのAIを活用した次世代通信ネットワーク向けソリューション「AI Aerial」を利用しAIと5Gを組み合わせた通信ネットワークの試験運用に成功している。
その他、AWS、CoreWeave、Microsoft Azureなどの複数のクラウドサービスで、エヌビディアのホッパーH200搭載インスタンスが利用可能になった。Google Cloudと、Oracle Cloud Infrastructureでもまもなく利用可能になる見込みである。
エヌビディアは、11月8日よりインテルに代わって、ダウ工業株30種平均に加わったところだ。インテルは、PCチップ市場でのシェア低下やAI市場への参入の遅れなど課題に直面しており、勢力図が入れ替わった。
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オープンAIに出資
エヌビディアは、生成AI開発で知られるOpenAI(オープンAI)にも出資している。10月に完了した66億ドル(約1兆円)規模の資金調達ラウンドに参加した格好だ。
関係筋によると、このラウンドはベンチャーキャピタルThrive Capitalが主導し、エヌビディアの他にマイクロソフトやソフトバンクも参加している。オープンAIは、エヌビディアの販売するAIチップの最大の顧客の一つだ。なお、オープンAIは投資家を公表しなかった。
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