- テレグラムICO関連と思われていた詐欺プロジェクト
- サイドプロジェクトと誤認させる目的を持っていたTelegram open network limitedは、テレグラムICOとは何も関係がない、と公式で否定された。
Telegram open network limitedは偽会社
テレグラムの創業者である、Pavel Durov氏の名のもとに2018年2月イギリスで、Telegram open network limitedという名前の会社が登記されました。
テレグラムは月間2億人のユーザー数を誇るチャットアプリです。
仮想通貨業界ではICOのチームや投資家が直接的にやり取りするプラットフォームとして使われています。
そのテレグラムのオープンネットワークを利用した新たなプロジェクトのトークンセールにて、ファイルストレージに似たサービス、分散型のブラウジングプラットフォーム、dAppsのためのサービス提供、マイクロペイメントやP2Pの決済サービス能力を有していることなどがうたわれ、17億ドル(約1,820億円)を集めたのです。
そしてTelegram open networkは、そのテレグラムICOのサイドプロジェクトのように思われていました。
この企業は、投資家にとって合法的なプロジェクトであるように見えたのです。
しかしながら、そのプログラムは4月6日に公開されたあるtweetによって、全くテレグラムと関わり合いがないことが明らかになりました。
This entry is fake (https://t.co/vs6ZKJyiCG). Most likely a prank or scam, no such company was registered by Pavel.
— Telegram Messenger (@telegram) 2018年4月6日
「このプロジェクトは偽物です。詐欺といっていいでしょう。そのような企業をPavelは登録していません。」
明らかになる実態
Telegram open networkは、登記時に1.13億ドルもの払い込み資本金があると主張しました。
このことに、よってある大きな疑問が浮かび上がったのです。
彼らが実際にイギリスに拠点を置いているのか、本当にこのプロジェクトを営んでいるかどうか、疑う人が増えたのです。
なぜなら、これほどの規模のプロジェクトであれば、現行のイギリスの法律では高額の税金を求められるからです。
あるイギリスの投資家がこうした疑問から調査を行いました。
より詳細に調べてみると、設立者であるDurovの名前は、ディレクターから秘書までありとあらゆる役割に記載されているという有様でした。
また、現在Durov氏はイギリス市民ではないことが明らかになっています。
イギリスでの企業の登記プロセスは厳格ではありません。
登録者は自分の詳細な身元を証明するために、厳格な監査を必要としません。
また登録のプロセスはオンラインで企業登録局に20ドル程度払ってしまえば完了してしまう、との指摘もあります。
2012年にイギリスの企業局が公開した情報によれば、その当時実に528もの虚偽の企業が登記されていたようです。
ですがこれはあくまでも一例で、近年の数値は公開されていません。
登記が簡単すぎることによって、詳細に企業を調査せず、登記内容のみで企業を判断してしまうような投資家を食い物にする虚偽の企業を生み出すことが可能になっています。
こうした法的な問題は、急速に発展する仮想通貨業界ではよく話題になります。
ICOブームの陰
SECに登録された情報によれば、Telegramは2月に行われたプレセールで獲得した8.5億ドルの資金に加え、同額の8.5億ドルを追加で調達しました(合計で17億ドル、約1,820億円)。
すでに多くの投資家はプレセールによりTlegramが公式に発表を行う前から、その恩恵を受け取っています。
昨今のこうした急激なICOブームを見てみると、虚偽の企業が投資家の熱心な投資行動の対象になってしまうケースは珍しいものとは言えないでしょう。